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群馬大学



群馬大学工学部 生物化学工学科 助手  箱  田  優
群馬大学工学部 機械システム工学科 教授     早乙女 康典


 
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はじめに
緒論
1.実験装置および方法
1-1. 実験装置
1-2. 細胞険濁液の調整
1-3. 実験方法
2.結果と考察
2-1. 捕集速度に及ぼす周波数の影響
2-2. 捕集率の経時変化
2-3. 生細胞率に及ぼす電場の影響 
2-4. 捕集速度に及ぼす電極間距離の影響
結論
おわりに
 


2.結果と考察

2-3. 生細胞率に及ぼす電場の影響

図7 酵母細胞の生菌率に及ぼす電場の影響
(1MHz,30min,pine-plate electrodes)

 誘電泳動による細胞の分離法は、生細胞に対して電場による悪影響を及ぼす可能性がある。そこで細胞に電場を加えて、生細胞率に及ぼす電場強度の影響を実験的に検討した。生細胞率に及ぼす電場の影響を検討するため、ピン−プレート電極型誘電泳動用セルとワイヤー−円筒電極型誘電泳動用セルを用い、生細胞率の経時変化を測定した。図7はピン−プレート電極型誘電泳動用セルを用いた場合の酵母生細胞率の実験結果である。電場強度1000V/cmでも生菌率は100%を保ったが、ピン−プレート電極型誘電泳動用セルでは、電極セル全体に電場が加わらないため、電極セル全体に電場が加わると生細胞率が低下する可能性がある。

図8
酵母細胞の生菌率に及ぼす電場の影響
(1MHz,10min,wire-cylinder electrodes)


そこで、電極セル全体に電場が印加されるワイヤー−円筒電極型誘電泳動用セルを用いて同様な実験を行った。図8は、ワイヤー−円筒電極型誘電泳動用セルの実験結果である。ピン−プレート電極型の場合よりも電場印加時間が短いが、ワイヤー−円筒型では電極セル全体に電場が加わることになる。その結果、電場強度100V/cmでは、ピン―プレート型電極セルに比べると生細胞率は低下したものの、約90%の生菌率を維持することができ、電場による生細胞への悪影響は僅かなものであった。

 
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