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群馬大学



群馬大学工学部 生物化学工学科 助手  箱  田  優
群馬大学工学部 機械システム工学科 教授     早乙女 康典


 
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はじめに
緒論 
1.実験装置および方法
1-1. 実験装置
1-2. 細胞険濁液の調整
1-3. 実験方法
2.結果と考察
2-1. 捕集速度に及ぼす周波数の影響
2-2. 捕集率の経時変化
2-3. 生細胞率に及ぼす電場の影響
2-4. 捕集速度に及ぼす電極間距離の影響
結論
おわりに
 


緒論

 微生物細胞、動物細胞、植物細胞などの生体触媒から多くの生体関連物質が生産されている。それらの細胞は、培養過程で栄養源の枯渇、増殖阻害代謝産物の蓄積、細胞の寿命等により、細胞の一部は死に至る。死細胞の蓄積は培地の汚染や生細胞への悪影響など培養環境の悪化が顕著となる。そこで、バイオリアクター内の死細胞を選択的に分離除去する技術の開発は極めて重要となる。しかし、生細胞と死細胞は、大きさ、形状も殆んど相違がないため、膜分離等の方法では分離除去することができない。そこで、細胞の生死によって誘電率が異なる現象を利用した誘電泳動による細胞分離の方法が検討されている。

 誘電泳動は、不均一な電場内にある微粒子に誘起された双極子と電場との相互作用を駆動力とする泳動で、その泳動挙動は粒子及び媒体の複素誘電率、電場の周波数、印加電圧、粒子半径などに依存する。電気泳動とは異なり、粒子と媒体の複素誘電率に差があれば、電荷をもたない粒子も泳動することができる。しかし、この誘電泳動を利用した生細胞と死細胞の分離に関する研究は、主に酵母細胞を対象として、数10〜100μm程度の極めて微小な電極セルによる培地からの死細胞分離の可能性に関する報告であり、バイオリアクターに実用化できるほどの処理量ではないのが現状である。

 そこで、本研究は酵母、大腸菌及び動物細胞に関して、誘電泳動による生細胞と死細胞の分離の可能性について検討すると共に、誘電泳動による実用的なスケールでの連続式細胞分離装置の開発を目指して、その設計指針となる細胞分離効率と電場強度の細胞への悪影響に関して検討することを目的とした。
 
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