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群馬大学




群馬大学 医学部 薬理学教室 講師 田中 恒夫


 
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1. 体内のエネルギー通貨ATP、GTP
2. エネルギーの使い手ATPase、GTPase
3. 従来のATPase、GTPase活用測定法とその問題点
4. 測定の原理
5. 測定の実際 
6. 測定法の検証
7. 今後の改良点と展望
 


5.測定の実際

 以後、ATP、GTPをNTPと、ADP、GDPをNDPと表記します。実際の手順は以下の5ステップからなります。

(1) 反応の開始:蛋白質溶液にNTPを添加し、NTPase反応を開始させます。
(2) 反応の停止:一定時間後、蛋白質変性剤を加えてNTPase反応を停止させます。
(3) 蛋白質の除去:反応液に遠心力をかけると、 変性した蛋白質だけが沈殿します。上澄みには、分解されなかったNTP、分解されたNDPとPiが混在しています。
(4) NTPとNDPの分離:上澄みを逆相カラムにかけてNTPとNDPを分離します。逆相カラムは、金属の筒の中に、コスモシルという樹脂が詰めらていて、液体が詰まっています。液体中の物質は、水に溶けやすいほど弱く、溶けにくいほど強く樹脂と結合する性質を持っています。カラムには高圧ポンプがつながっていて、溶液を強制的にカラムの中に入れてやり、カラムから出てきた溶液を順次調べていきます。この装置を、HPLC (高速液体クロマトグラフィー装置)と呼んでいます。
(5) NDPの定量:溶出された液体は、細い管を通って検出器に入ります。検出器から259nmの波長の光(紫外線)が発射され、溶液を通過した後の光の強さを測定し、どれだけ光が吸収されたか(吸光度)という値に換算します。これを溶出した時間を横軸に、吸光度の値を縦軸に取ると、図1のようになります。理論的には、このときの山の総面積が、NDPの濃度ということになります。

図1 0.05mMのATP、ADP、0.3MPCAを含んだ溶液20ミリリットルの溶出パターン

 
 
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