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群馬大学




群馬大学 医学部 薬理学教室 講師 田中 恒夫


 
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1. 体内のエネルギー通貨ATP、GTP 
2. エネルギーの使い手ATPase、GTPase
3. 従来のATPase、GTPase活用測定法とその問題点
4. 測定の原理
5. 測定の実際
6. 測定法の検証
7. 今後の改良点と展望
 


1.体内のエネルギー通貨ATP、GTP

 皆さんは、ATP(アデノシン三リン酸)、GTP(グアノシン三リン酸)という言葉、耳にしたことがおありでしょうか。私たちの遺伝情報は、4種類の物質の並ぶ順番によって遺伝子(DNA)の中に書き込まれていますが、その4つの物質の中のふたつ、といえば思い出す方もおられるかもしれません。このATP、GTPですが、それ以外にも、様々な場面に登場します。私たちは、体を維持するために、多くのエネルギーを使用しています。エネルギー源は、私たちの口から入る食物で賄われているのですが、食物は体の中で分解され、得られたエネルギーはATP、GTPという形で体内に蓄えられていきます。ATP、GTP はリン酸を3個結合していますが、リン酸を1個切り離してADP(アデノシン二リン酸)、GDP(グアノシン二リン酸)に変わると、一定量のエネルギーが放出されます。この放出されたエネルギーを、生物は「通貨」として利用しています。

  私たちが社会生活を営む上で、必要なもの全てを物々交換で手に入れようとすると、労力がかかり無駄も多くなるかということは容易に想像がつくと思います。この無駄を少なくするために、私たちは一定の価値を持つ通貨を発明し、それを介して品物を入手しています。同じ事が体の中でもおきています。肉、魚、米、麦、ジャガイモ、トマト・・・、いろんな食べ物がありますが、これらが持っているエネルギーはそれぞれみんな異なっています。得られたエネルギーをそのとき全部使ってしまったのでは、無駄が多くてたまったものではありません。そこで、食物のエネルギーを一旦全てATP、GTPに蓄積し、必要なときだけADP、GDPに分解してエネルギーを利用する。余ったエネルギーは再びリン酸を結合させてATP、GTP として蓄えるという、効率的なシステムになっています。

 
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