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群馬大学




前橋工科大学 建設工学科 講師 田中 恒夫


 
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1. はじめに
2. 生物・電気化学ハイブリッド法の原理
3. 実験装置 
4. 実験方法
5. 結果および考察
6. まとめ
 


3.実験装置

3-1 電極ユニット
 陽極ユニット(写真1)は、不溶性の陽極材、ポリエチレンメッシュおよび直径1cmのポリプロピレン中空円筒ろ材で構成される。ポリエチレンメッシュおよびポリプロピレン中空円筒ろ材は、微生物による電解酸素の消費および残留有機物・アンモニウム塩の酸化・硝化を目的として充填した。電解により発生する酸素は脱窒素反応の効率を低下させるため、陽極近傍で消費させることにした。ポリエチレンメッシュとポリプロピレン円筒ろ材は、写真1のようにプラスチックバスケットに充填し、陽極ユニットとした。ユニットの大きさは、縦65cm、厚10cm、幅20cmである。

写真1 電極ユニット

 写真2には、陰極ユニットを示した。陰極材には厚さ約5cm(縦65cm×幅20cm)のフェルト状炭素を用いた。微生物(脱窒細菌)は、このフェルト担体へ固定化する。陰極で発生した水素は、フェルト付着微生物により消費され、その結果、脱窒反応は進行する。炭素材と微生物の親和性は以前より報告されており3)、通電時には、フェルト電極は脱窒のための微生物電極として機能すると考えられる。また、微生物のフェルトへの付着によりフェルト内部は嫌気的となり、反応槽内における遊離酸素の有無に関わらず、脱窒反応はスムーズに進行する(※4)。なお、フェルト状炭素材とリード線の結線は、結線抵抗が小さくなるように、ステンレス板を介して行った。結線部はエポキシ樹脂を用いてコーキングした。

写真2 陰極ユニット


3-2 生物活性炭充填層
 本研究では、陽極ユニットと陰極ユニットの間に生物活性炭(物理吸着と付着微生物による酸化・分解の複合的な機能をもつ)充填層を設けた。陽・陰の電極間に導体・半導体の粒子を充填し通電すると、電界により半導体粒子が分極し、それぞれアノード側に向いている面はカソード、カソード側に向いている面はアノードとして働くことが知られている。この現象により、電極間に設置した生物活性炭充填層(生物活性炭粒子のそれぞれ)は微生物電極のように機能すると考えられる。生物活性炭充填層の大きさは、縦50cm、厚さ5〜7cm、幅20cmとした。充填した生物活性炭の大きさは4〜6メッシュ程度である。


3-3 電解反応槽
 有効容量約50リットル(縦50cm×横50cm×幅20cm)のアクリル製の装置に、上記の陽極ユニット、陰極ユニットおよび生物活性炭を設置・充填し、電解反応槽を構築した(写真3)。陽極ユニットは流入側より約15cm、陰極ユニットは流出側より約12cmのところに設置した。電極ユニットと生物活性炭層の合計の充填率(嵩体積)は約45%である。なお、電解槽内はポンプを用いて循環した。

写真3 電解反応槽

 
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