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群馬大学




前橋工科大学 建設工学科 講師 田中 恒夫


 
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1. はじめに 
2. 生物・電気化学ハイブリッド法の原理
3. 実験装置
4. 実験方法
5. 結果および考察
6. まとめ
 


1.はじめに

 群馬県は畜産業の盛んな地域であり、その排水から発生する窒素負荷の水環境への影響は年々深刻化している。1995年において、畜産排水から発生する窒素負荷量は生活系排水から発生するそれの実に約3倍であった1)。地域によっては、WHOの水道水基準を上まわる硝酸性窒素による地下水の汚染が明らかとなっており(※1)、地域住民の関心も年々高まりつつある。群馬県においては、畜産排水から発生する窒素負荷量の低減は不可欠である。

 畜産排水は、多くの場合、その有機物除去の安定性から活性汚泥法により処理されている。しかし、活性汚泥法の栄養塩類の除去性能は必ずしも十分とはいえない。オキシデーションディッチ法による処理においても、有機物はほぼ完全に除去されるものの、処理水の全窒素濃度を排水基準の100mg/L以下にするのは困難である(※2)。これは、生物学的脱窒に必要な電子供与体の不足が主な原因である。その対策として2次処理プロセスへの電子供与体の直接的な添加が挙げられるが、それが困難な場合は新たな装置の付加も検討する必要がある。本研究では、窒素除去を目的とした付加型装置の研究開発を行う。

 生物・電気化学ハイブリッド法は生物学的反応と電気化学的反応を組み合わせた処理法で、水素(電子供与体)や酸素の供給および物質移動の効率化等を目的としたプロセスである。このプロセスは、排水中の電子供与体の量が窒素の存在量に比較して少ない排水(2次処理水や窒素汚染地下水等)の高度処理に適していると考えられる。ここでは、付加装置のプロセスとして、生物・電気化学ハイブリッド法を適用した。

 
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