〔さ〕
ざ【座】
山を数える時の単位として使われる。安置されているものを数える単位。
【サーダー】
シェルパ頭、シェルパ(ヒマラヤの山岳ガイド)のリーダー
【サーマル】thermal{E}
熱気泡。地表で熱せられ軽くなった空気の塊。[熱の]
【サーマレスト】THERMAREST{c}
自然に膨らむマットレス(寝るときに使う敷物)。商品名。⇒マット
空気マットの一種で、栓を開けるとマット内に閉じこめたスポンジの復元力で自然に空気が入り膨らむ。こういうタイプを【セルフインフレータブル】という。1972年にジム・リーが開発した。
さいこうほう【最高峰】
その地域で標高がいちばん高い山。
ちなみに、各大陸の最高峰は、アジア/チョモランマ(8848m)、ヨーロッパ/モンブラン(4807m)、北アメリカ/マッキンリー(6190m)、南アメリカ/アコンカグア(6960m)、アフリカ/キリマンジャロ(5895m)、オセアニア/ジャヤ(5030m)、南極/ビンソンマシーフ(5140m)である。
日本の最高峰は、言わずと知れた富士山。【最低峰】(日本で一番低い山)は、徳島市方上(かたのかみ)町にある弁天山(標高6.1m)。他に、仙台市の日和山(6.1m)、大阪市の天保山(4.5m)もあるが、いずれも人工の山。
さいこうてん【最高点】
その山で標高のいちばん高い地点。一般に三角点を設けている場合が多いが、三角点がある位置が必ずしも最高点とは限らない。⇒三角点。
さいだいけいしゃせん【最大傾斜線】【フォールライン】fall line{E}
山の斜面で(谷に向かって)真下に向かう線、(地面の細かな凸凹がないとして)水が流れ落ちる方向。
さいていあんぶ【最低鞍部】
高くなったり低くなったりしているひとつの稜線上で、標高の一番低い地点。⇒鞍部
【ザイテングラート】Seitengrat{G} そくりょう【側稜】
岩壁の支尾根。主岩稜にたいする側岩稜。グラードは痩せ尾根のこと。穂高のそれは固有名詞になっている。Seten[側面の] Grat[尾根]。⇒アレート
【サイドステップ】side step{E}
雪の斜面をスキーや登山靴で登るときに、斜面に横向きになって、階段を登るように登る技法。
さいのかわら【賽の河原】
(1)死後の世界にあるという三途の川の河原。死者を弔うために石を積んでも鬼が来て崩してしまう。無駄な努力をすることを【賽の河原の石積み】という。
(2)広いごうらやガレ場の地帯。道標にするためにケルンを積んである場合が多い。⇒ごうろ
【ザイル】Kletterseil{G}【ロープ】climbing rope{E}、corde{F}
登攀の際、確保などに利用する綱。⇒ロープ。アルペンクライミングではザイル、フリークライミングではロープ、または、昔はザイル、最近はロープといったよびわけもある。
直径9mm以上で、墜落時の衝撃を吸収するため強い力が加わると伸びるもの、またはUIAA(国際アルピニスト協会連合)の規格をクリアしたものをザイル(登攀ロープ)という。8mm以下は【補助綱】といい、登攀の確保用には使用しない。荷揚げなど補助的な作業に用いる。
一般に9mmはダブルで、10mm以上はシングルで使用する。⇒ドッペル。防水処理されたものを【ドライ】という。
【ザイルパーティ】seil party{J} Seilpartie{G}【ザイルの仲間】
岩登りの仲間。いまアンザイレンしている(ザイルでつながっている)仲間。「ザイルの仲間」は互いに信頼できる親友と言った意味で使われる。
【さかさま谷】【逆谷】
本流と逆向きに流れている谷。例えば、川の本流が東から西に流れているとき、西から東に流れてきて合流する谷。
さぎょうごや【作業小屋】
林業や土木などの作業をするために設けられた小屋。一般に、登山者など部外者は利用できない。
さぎょうどう【作業道】
植林の手入れや伐採、送電線の架線工事や点検などの作業で使われる道。登山道と間違えることがある。
【さこ】【佐古】【迫】
小さな谷。谷のように窪んだ地形。小さな沢の湿地帯。
ささこぎ【笹こぎ】【笹漕ぎ】
笹(ネガマリダケやスズタケなど背丈の高い笹)をかき分けながら進むこと。「藪こぎ」の派生語。
【サザンアルプス】southern alps{E}
ニュージーランド南島にある山岳地。主峰はクック山(3764m)
【ザック】【リュックサック】【ルックザック】Rucksack{G}【バックパック】Backpack{E} 【サックアドゥ】Sac A Dos{F} はいのう【背嚢】
荷物をいれて背負うための袋。ザックは登山で、リュックサックは遠足で、背嚢は軍隊で使われる。⇒キスリング、アタックザック。パック
ドイツ語ではルクザクだが、日本語ではザックという。ドイツ語のSackは単なる袋のこと。
ザックの部品
【ショルダーストラップ】【ショルダーベルト】=背負うための帯(背負い紐)、【負皮】(おいかわ)
【ウエストストラップ】【ウエストベルト】=腰に固定するための帯
【ヒップサスペンション】=ザックの荷重を腰で支えるためのパッド部
【チェストストラップ】=ショルダー・ストラップの胸の部分を止める(内側に引く)帯
【あめぶた】【リッド】=ザック上端のカバー。一般に小物入れになっており【トップポケット】ともいう
【トップスタビライザー】=ザックの上端を肩の方へ引き寄せるベルト
【ドローコード】=本体の出し入れ口を締める綱
【エラスティックコード】=正面にある、伸縮性があるテープやひも。脱いだ雨具などを挟み込む。
【ピッケルホルダー】【アックスホルダー】=ザック正面にある、ピッケルなどを装着するための輪。
【ザックホルダー】【ハンドグリップ】=ザックを持つための取っ手、ハンドル
【コンプレッションバンド】=側面などにあって、内容積を調整するベルト
【パックカバー】【レインカバー】=雨除けのためザックに被せる防水カバー
【デイジーチェーン】=テープを波状に縫いつけたもの。クライミングギアなどを取り付ける。
【背面】【バック】=背負ったときに背中が当たる面。ショルダーストラップがある方
【正面】【フロント】【前面】=上記の反対側。背負ったとき、後続者から見える面
【気室】【コンパートメント】=ザック内部の部屋、区画。2気室とは内部が二つに仕切られているタイプ
【トップロード】=本体の上端から荷物を出し入れするタイプ
【フルオープンパネル】=ザックの横または上と横がU型のファスナーになっているタイプ
【マルチポケット型】両サイドや正面にポケットがいくつもついたタイプ。【ハイキングザック】ともいう
【リットル】=内容積を表す単位。日帰りなら20〜30リットルくらい、小屋1〜2泊なら40〜50リットルくらいが多く使われる。
ざっくまひ【ザック麻痺】
ザックのショルダーベルトで締め付けられて腕が麻痺する(しびれる)こと。
【ザッテル】Sattel{G}
鞍部。尾根の低くたわんだ部分。頂上近くの肩の部分。[鞍] ⇒鞍部
【サバイバル】survival{E}
緊急事態から脱出・生還すること。大自然の中で生き残る知恵や技術。語源はラテン語で「〜を越えて生きる」
【サバイバルキット】=緊急事態に供えて必要な器材をコンパクトにまとめたもの。
【サバイバルフーズ】=非常食。
【サバイバルマニュアル】=サバイバル技術を解説した手引書。
?!サバイバルウエアは、サバイバル技術はないが自然志向の都会人が街で着る衣服!?
【サブコース】{J}
主たる登山コースに対して副コース。登山計画を立てるときに、天候やその他の状況によってコースを変更する場合がある。そのような時に使用する予備的なコース。
【サブザック】sub sack{J}【サブリュック】
日帰り登山で使用するような小型のザック(リュックサック)。⇒ザック。
【サポータ】supporter{E}
膝や足首、肘などを保護するためのベルト(帯状、筒状のもの)。膝をサポートするものは【ニーガード】ともいう。
【サポート】support{E}【サポータ】supporter{E}
高所登山などにおいて、登頂をめざすメンバーを支援すること、または支援するメンバー。食糧や酸素ボンベなど登頂に必要な器材を運ぶ仕事をする。
最近は、装備の軽量化によるサポートなしや、サポートメンバーも登頂をめざすケースが多くなっている。⇒ポーラー・メソッド、アルパイン・スタイル
【サポートウエア】【サポートタイツ】
ひざ痛や筋肉疲労を軽減するタイツ(ズボン下)。体にぴったり合う立体的な作りで、太もも、膝、ふくらはぎなどに筋肉の動きをサポート(補助/補正)する伸縮素材がある。
【サマースキー】summer skiing{E}
夏山の雪渓などでするスキー。
【サミット】summit{E}
頂上、頂点、絶頂。
?! 頂上で行う懇談会 !?
【ざらめゆき】【粗目雪】【ざらめ雪】【ザラメ雪】
大粒の積雪。昼間に気温が上昇して積雪がとけ、夜間に気温が低下して凍ることを繰り返して、表面がざらざらになった雪。⇒霜ざらめ雪
さるとび【猿飛】ししとび【鹿飛】
谷の両岸が迫ってきて狭くなっているところ。サルやカモシカ(鹿)ならば飛び越えることができるだろうの意味。
猿飛佐助(立川文庫)の名前は、石鎚山の面河渓(おもごけい)にある猿飛橋からとったもの。
【ざれ】【ざら】【なぎ】【薙】ぬけど【抜戸】
山腹の崖崩れ場所。砂礫地。「がれ」よりも岩塊が小さいものをいう。「なぎ」は薙ぎ落とす、「ぬけ」は抜け落ちるからか。
されきち【砂礫地】
砂や小石ばかりのところ。【礫】とは小石のことで直径2mm以上のものから人の頭くらいのもの。それより小さいものが【砂】
【サロペット】salopette{F}【サロペットパンツ】salopette pants{E}
サスペンダー(ズボン吊り)と胸当てのあるズボン。冬山用のズボンやオーバーズボンにこのタイプがある。
さわ【沢】/ たに【谷】/ けいこく【渓谷】
山と山、尾根と尾根の間の、深く長く窪んで水が流れるところ。川の小さいもの。
谷が一般的で、水が無い場合にも使われる(気圧の谷、景気の谷など)。沢は湿地の意味でも使われる。
川の名前につくときは、一般に、沢は東日本で、谷は西日本で使われている。その境界は、日本アルプス、それも黒部川から木曽川に至るラインあたりになるようだ。日本アルプスの川、例えば黒部川の支流の名は、谷と沢が入りこんでいて特に規則性がない。おそらくは命名者が信濃(東日本)側出身か越中(西日本)側出身によるものだろう。
渓谷は、両岸が岩壁になっており険しいもの、あるいは景観の良いもの。
さわあるき【沢歩き】
沢登りほどきつくない(困難でない)沢を遡ること。渓谷の散歩。
さわのぼり【沢登り】けいこくとうはん【渓谷登攀】
沢(谷、渓谷)を遡って(上流に向かって登って)稜線にいたる日本独特の登山スタイル。登頂するためのルートとして沢を選ぶのではなく、沢を遡ることそれ自体が目的の山行。
?!こいのぼりはさわのぼりをしない!?
さんかい【山塊】さんい【山彙】
大規模な山脈や山系から離れた、小規模な山脈などの一群の山々。
さんかくてん【三角点】
地図をつくるために行う三角測量において、測量の基準となる地点。そこに設置した標識。一等から四等まであり、一等三角点は一辺約45kmの三角形を構成するように設置されている。三角点は、見晴らしが良く、測量がやりやすい場所に作られるので、山の頂上にあることが多い。しかし、頂上(その山の最高点)を示すものではない。三角点には、頂面に+の印をつけた角柱型の標石(柱石)が地面に埋め込まれている(三角点以外にも類似の角柱が使われているので、これがあれば三角点とは限らない)。⇒最高点。
地図上では、三角形の中に点を打った記号で表されている。標高も記されているが、三角点の標高は、位置ほどには精密に測量されていない。水準点は、標高は正確だが、位置は三角点ほど正確ではない。
さんかくてんほう【三角点峰】
三角点が建っているピーク。頂稜部がいくつかの峰からなっているときに区別するために使う。最高点か見晴らしの良い峰になっている場合が多い。
さんがく【山岳】
高く険しい山が寄り集まっているところ。⇒高山
さんがくがいど【山岳ガイド】
登山者を案内して山に登る人、山案内人。日本では、社団法人日本山岳ガイド協会が認定したガイドなどがいる。
さんがくきゅうじょけん【山岳救助犬】【雪崩犬】
雪崩にまきこまれたり、行方不明になっている人を探すための訓練を受けた犬。例えば、スイス山岳会ではドイツシェパードを訓練して雪崩遭難者の発見に活用している。
さんがくきゅうなんしんごう【山岳救難信号】
(1)欧州アルプスで使われている救難信号として次のものがある
救難信号 = 燈火などを、1分間に6回点灯し、次の1分間は休止する。応答信号= 1分間に3回点灯し、次の1分間は休止する。
航空機に対して、両手をYの字型に開いて静止すると「救助を求む」の意味になる。右掌を開いて垂直に上げると「すべて良好」の意味になる。
(2)SOS
無線電信(モールス符号)では「・・・ --- ・・・」が救難信号を表す(これをアルファベットに直すとSOSになる)。燈火、笛、旗などをこのように3回繰り返すと救難信号になる。無線電話(音声)では「メィディ、メィディ、メィディ」という(SOSとは言わない)。⇒メィディ。
(3)ヘリコプターへの遭難サイン
遭難者が捜索活動中のヘリに救助を求める合図として、長野・富山・岐阜の山岳遭難対策会議が1994年12月に制定したものは次の通り
・ヤッケや雨具などを片手で持ち、上空に大きく円を描くように振る
・ヘリの乗務員が確認できる位置まで近づいたら、体側に添って大きく上下に振る
さんがくほけん【山岳保険】
旅行傷害保険やスポーツ傷害保険の一種で、登山のための危険割増をつけた傷害保険。登山中の怪我や、捜索の費用などが補償される。
さんがくしんこう【山岳信仰】【山岳崇拝】
山を信仰の対象とする宗教。【修験道】や【山岳仏教】などがある。
さんがくぶ【山岳部】【山間部】
平野部に対する山のほうをいう。人が定住し活動している山地が山間部、人が定住していない険しい山地が山岳部。
?!大学や高校にあって人が寄り付かない場所!?
【山沿い】は平地部と山間部の中間地帯。
さんがくれんめい【山岳連盟】【山岳協会】【山岳会】
日本の山岳団体には以下のものがある。
社団法人【日本山岳協会】(略称【日山協】【JMA】)
その加盟団体として、各都道府県山岳連盟/協会(東京都山岳連盟や長野県山岳協会など)があり、さらに
その加盟団体として、各山岳会(日本山岳会や各地にある山岳会)がある。
【日本勤労者山岳連盟】(略称【労山】【JWAF】)
その加盟団体として、各都道府県勤労者山岳連盟(東京都勤労者山岳連盟など)があり、さらに
その加盟団体として、各クラブ(各地にある山岳会)がある。
ほかに、日本フリークライミング協会、日本山岳ガイド協会、日本アルパインガイド協会、ジャパン・アルパイン・ガイド組合、日本ヒマラヤ協会などの山岳団体がある。
さんき【三季】【スリーシーズン】three season{E}
春から秋にかけての期間。厳冬期以外の期間。⇒シュラフ
さんきゃく【山脚】
尾根が分岐してふもとのほうへ低く伸びているもの。山すそ。
ざんきゅう【残丘】
浸食から取り残されて平原上に孤立している丘。
【サンクチュアリ】sanctuary{E}
聖域。鳥獣保護区。禁猟区。【バードサンクチュアリ】=野鳥楽園。野鳥を集めるために設けた保護区。
【サンクラスト】sun crust{E}
固い雪の表面。昼間に太陽熱で解け、夜間に凍ったもの。⇒クラスト
さんけい【山系】
いくつかの山脈や山塊を含む大規模な山地群。
さんこう【山行】【やまゆき】
登山をしに山岳地へ行くこと。「さんこう」は本格的な登山、「やまゆき」はハイキングなど遊山的な登山といったニュアンスで使われることもある。
?! 「この登山用語集はさんこうのさんこうにならない」という用法は、もっともではあるが誤用である!?
さんさい【山菜】
山野に自生している、食用になる植物。ワラビやいたどりなど。
さんざどうてい【山座同定】
山頂などから見える山を、どの山が何山かを確定すること。
?!さんざ眺めてもどうていもわからないものだ!?
ざんせつ【残雪】
春になっても消えないで残っている雪。⇒雪渓
【残雪期】=降雪はなくなったが、地面に雪が残っている時期。一般的には5月〜6月上旬あたり。
さんそう【山荘】さんぞう
山の中に構えた別荘や旅館。山小屋の名称にも使われる。⇒避難小屋
さんだい【三大】
代表的な三つのもの。
日本アルプスの【三大急登】といわれているのは、諸説あって、剣岳への早月尾根、烏帽子岳へのブナ立尾根、燕岳への合戦尾根。あるいは、ブナ立尾根、甲斐駒ヶ岳への黒戸尾根、谷川岳への西黒尾根。他に前穂高岳への重太郎新道、西沢渡から聖平、二軒小屋から千枚岳などもある。
日本の【三大岩場】は、谷川岳一の倉沢、剣岳、穂高岳(滝谷)をいう。
日本の【三大雪渓】は、剣沢雪渓、白馬大雪渓、針ノ木雪渓。
さんだんこうよう【三段紅葉】【三段染め】
秋の紅葉の頃に新雪が降って、山頂付近は雪の白、山腹は紅葉の赤、山麓は針葉樹の緑と3色になること、その状態。
【サンダーバード】thunderbird{E}
雷鳥(かみなりどり)。アメリカ北西部の先住民(ネイティブアメリカン/インデアン)の民族信仰で、雷雨をもたらす巨大な鳥。
高山に棲む雷鳥(ライチョウ)はptarmigan{E}(ターミガン)という。
さんちたい【山地帯】
低地帯と 亜高山帯 の間にある地帯。落葉広葉樹林帯。中部山岳では標高700m〜1700mあたりになる。
ざんち-【残置ロープ】【固定ロープ。】
険しい場所などに、安全確保のために設置しているロープ(ザイル)。危険個所や高山植物保護地へ立ち入りを禁止するために張っているロープではなく、それに掴まって登り降りするためのローブ。
【残置支点】回収していないハーケンやボルトなど。
【残置スリング】回収していないスリング。回収できなくて残ったものや、次に来る人のために残しておいたり、ゲレンデ(練習用岩場)などでは意図的に設置するもの(終了点など)もある。
さんてん【山巓】
山の頂上。巓(てん)は頂きまたは山のこと。
さんてんしじ【三点支持】さんてんかくほ【三点確保】
岩場を登るときの基本の動作。両手両足を四つの点とし、常にそのうちの一点だけを動かし、他の三点は確保している(岩などにしっかりつかまっている)登り方。
?!難所で体がぶるって動けなくなることを四点支持という!?
さんどう【桟道】
岩や崖などに沿って(崖の途中に)、木材やワイヤーなどを使って作った棚のような道。
【サンピラー】
朝日や夕日に、垂直の光の帯を伴う現象。太陽が柱のように光って見える。
さんみゃく【山脈】
比較的高く険しい山が一列に連なっているもの。山塊より大規模で、山系より小規模。
さんめいざん【三名山】【名山】
日本三名山は富士山、立山、白山で、日本三霊山ともいわれる。
これは信仰の山としての三名山だが、登山における三名山は槍が岳、穂高岳、剣岳であろう。
さんりょう【山稜】
山頂と山頂をつなぐ峰すじ。山の 尾根 。
稜は多面体の面と面との境をなす線分のこと。
〔し〕
【シーハイル】Schi Heil{G}
スキー万歳。スキーヤーのあいさつ、またはスキーの楽しさを表す言葉。第二次大戦中は(一部の人が)【雪艇弥栄】(せってい・いやさか)と言ったそうだ。
【シーム】seam{E}【シームリング加工】めどめ【目止め】
シームは衣類などの縫い目のこと。レインウエア(雨具)はそこから雨水が漏れないように防水加工をする。それをシームリング加工という。
【シール】seal{E}
スキーの逆滑り止め。スキーの滑面に貼りつけて、スキーが後ろに滑るのを防ぐ、化繊の細かい毛が付いた帯。シールとは、ステッカーの意味ではなく[アザラシ]のこと、もともとはアザラシの毛皮を使った。⇒山スキー
?!ってこと知ってた? しーるもんか!?
【シエラ】sierra{Sp} シェラ
ギザギザ状の山脈。鋸歯状(のこぎりの刃のような形をした)山脈
スペイン南部と米国西部にあるシエラ・ネバダ(Sierra Nevada)は、「雪の積もった山脈」の意味
【シエラカップ】sierra cup{E}
お茶やコーヒーなどを飲むための容器。カップは口よりも底が狭くなった形(円錐形の一部)をしており、針金の取っ手がついている。ステンレス製で、直接火にかけて沸かすことができる。シエラクラブのオリジナルグッズ。
【シエラクラブ】Sierra club{E}
ジョン・ミューア(John Muir)が1892年にサンフランシスコで創設した山岳会。後に自然保護団体として活躍するようになる。
【シェル】shell{E}
上着、アウターウエア。伸縮性のある比較的柔らかい上着を【ソフトシェル】、防水性や防風性が高い比較的堅い上着を【ハードシェル】という。
【シェルター】shelter{E}
避難壕(ごう)。災害などから身を守るための場所や施設。テントやツェルトなどをいうこともある。
【シェルパ】Sherpa{T}
ヒマラヤなどの山案内人、荷運び人。単なる運搬人夫ではなくて、ルート工作やアタックなどもできる高度な登山技術を持っている人。本来は、チベット東部に住む高地民族のこと。語源は[東の人]。⇒ぼっか
しおね【支尾根】しりょう【支稜】
主稜となる尾根から派生した枝尾根。
しかさく【鹿柵】
植林や農作物を鹿の食害から守るために作った柵。
じかたび【地下足袋】ぢかたび
底が厚めのゴムでできており、足袋(たび)のように親指が別れている靴。地面にじかに履く足袋。
本来は農業や林業などの作業用履物だが、わらじと併用して、沢登りで愛用している人もいる。
しぐれ【時雨】
秋の末から冬の初めにかけての季節で、時折降る雨。通り雨。
【しごき】【しごく】
(1)後輩や弟子を厳しく鍛えること。いじめること。かつて大学の山岳部などでは、新人部員を厳しく鍛えることが伝統になっていた。それが行き過ぎて怪我や死亡に至るしごき事件があった。
(2)堅いロープ(麻縄など)を柔らかくするために、木や手などで強くこすること。
しぜんこうえん【自然公園】
自然の景観を保護するために指定された公園。【国立公園】【国定公園】【都道府県立自然公園】がある。
しぜんらくせき【自然落石】
風化や浸食作用などによって発生する落石。じんい-【人為落石】=登山者の不注意によって発生する落石
【シダス】sidas{c} 【シダスインソール】
インソール(靴の中敷)のひとつ。加熱によって使用者の足裏にフィットするように成型できる。フランス・シダス社の製品。⇒ソルボ
しつげん【湿原】
湿地帯の草原。陸地と湖沼の中間のもの。湿原を【谷地】【神の田】【御代田】などともいう。
尾瀬ガ原などのように、湿原全体の水位に対して湿原の表面(地面)が高いものを【高層湿原】、ヨシ原などのように、湿原の表面が水位よりも低いものを【低層湿原】という。
?!言うべきでないことを言ってしまったあとを「低頭失言」という!?
【ジッヘル】sicher{G} かくほ【確保】【ジッヘルング】Sicherung{G}
転落を防ぐためにザイルなどで保持すること。確保するための技術。sicher[確かなこと、安全な]。ジッヘルは確保の意味でも使われるが、名詞はジッヘルング。⇒ビレイ
【ジッポーライター】Zippo{c}
ジッポー社のオイルライター(発火装置)。頑丈な作りで、風に強い。ローソク代わりやコンロ代わりにもなる(使えなくもない)。1932年にジョージ・ブレイスデールが開発。
しどうひょう【指導標】
道案内。コース(登山道)を示すため分岐点(分かれ道)などに建てる標識。行き先の方向、距離、所要時間などを表示している。コースを表す標識には、赤い布やビニールテープを木の枝などに取り付けた【赤布】、岩などのペンキで書いた【ペンキマーク】などがある。⇒道標。
じふぶき【地吹雪】
地面に降り積もった雪が強風にあおられて地上高く吹き上がる現象。吹雪
【しまり雪】【締まり雪】
堅く締まった雪。雪の結晶が氷の粒になって堅くなった雪。
【しもざらめ雪】【霜ざらめ雪】depth-hoar
多量の水蒸気を含む雪が、温度変化によって霜(細かい氷)の結晶に変態したもの。ウインドクラストした雪面に新雪が降り、それが霜ザラメ化すると、典型的な弱層となり雪崩が発生する。⇒ざらめゆき
じゃかご【蛇籠】
河川の護岸工事に使うもので、ワイヤーで編んだ籠に石を詰めたもの。
じゃくそう【弱層】weak layer{E}
積雪内部にできる不安定な層。層の厚さは数cm以下。それが滑り面となって表層雪崩を起す。弱層は、ウインドクラストの上に積もった雪が霜ザラメ化する、風が弱く大きな結晶の雪が降り積もる、などによりできる。
【弱層テスト】=雪崩の発生を予測するために、雪を円柱型に掘り残し、弱層がないか確かめること。
【シャトルバス】shuttle{E}
登山口までの一定区間を一般車両進入禁止にして、駐車場と登山口を往復しているバス。例えば、上高地と沢渡や平湯を往復しているバス。shuttle[往復運行、織機の杼(ひ)=横糸を通すための舟形の器具]。
一般車両を進入禁止にすることを【マイカー規制】という。
山小屋が宿泊客の送迎用に交通機関末端と山小屋とを連絡しているバスは【リムジンバス】という。
【ジャミング】jamming{E}【ジャム】
クライミングで、岩の割れ目に体の一部を挟み込んで体を支える技術。jamming[ぎっしり詰め込む]
靴または足をクラックに差し込んで固定するものを【フットジャム】、手を差し込んで膨らませたり捻ったりするものを【ハンドジャム】という。さらに、指を使うのは【フィンガージャム】、拳を使うのは【フィストジャム】という。fist[拳固]
【じゃぬけ】蛇抜け
小さい山崩れ場。大雨で土砂が崩壊すること。鉄砲水をいう場合もある。【じゃれ】は崩壊地のこと。⇒ざれ。
?!グーチョキパーで勝負するのはじゃぬけん!?
【シャリばて】【しゃりばて】{s}
米のご飯を食べないために元気がでないこと。シャリ(舎利)は米飯(米粒)のこと。パンや麺類・芋類・雑穀ばかりでは腹持ちが悪いので元気が出ないという意味。現在では、単に空腹のためにパワーが出ない意味で使われている。それを【ハンガーノック】ともいう。hunger knocking/knockdown?。⇒ひだるかみ。
【シャルテ】Scharte{G}
山稜にある深く切れ込んでいる部分。[歯こぼれ、城壁の銃眼]。⇒キレット
【シャレー】chalet{F}
スイスアルプス地方で見られる軒が張り出した大屋根の家。そのような形の山荘。[山荘]
【シャワークライミグ】{J}
滝の水が落ちているところや、しぶきがかかるところを登ること。
?!そこでシャンプーをしてはいけない!?
【ジャンクション】junction{E}
谷や川の合流点。[接合部、接点] ⇒出合
【ジャンクションピーク】junction peak{E}
大きな山稜がいくつか交わった地点にあるピーク(山頂)。
【ジャンダルム】gendarme{F}
主峰の前に、まるで衛兵のように立っている岩の峰。奥穂高岳のジャンダルムや剣岳チンネのジャンダルムなどは固有名詞になっている。憲兵または、軍警察(フランス国防省に所属し地方の警察業務を遂行している軍人)のこと。[護衛兵]
【シャント】shunt{E}
懸垂下降の途中で止まるための器具。荷重がかかると器具の中を通っているロープに制動がかかるようになっている。[列車などを待避線に移す、分流器]
【ジャンピング】jumping{E}【ビャンピングキット】
岩に穴をあけるための工具、穴を開ける行為。石工用のノミで、ハンマーで叩いて岩やコンクリートに穴をあける。あけた穴に埋め込みボルトを埋め込んで確保支点(アンカー)を作る。[跳ねる]
じゅうそう【縦走】じゅうそうとざん【縦走登山】
いくつもの山頂から山頂へ稜線づたいに歩く登山形態。?!べつに走るわけではない!?
ひとつの山脈の端から端まで縦走することを【全山縦走】、途中で他のパーティと交代するものを【リレー縦走】という。
縦走の本来の意味は、山脈が南北に走っている(連なっている)こと、そうした地形をいう。
Traverseの邦訳として縦走が使われることもある。ひとつの山に登るのに、登りと下りでコースが異なる場合など。ex.「エベレスト縦走」。日本語のトラバースは山腹などを横断すること。⇒トラバース
しゅうひょうが【周氷河】【周氷河現象】【ペリグレーシャル】periglacal{E}
寒冷地において、岩を砕いたり砂礫を移動させるなど、大地に影響するような凍結や融解などの現象。構造土を作る。日本ではハイマツ帯以上の砂礫地はだいたい周氷河地域になっている。
じゅかい【樹海】
樹木が密集して生えているところ。高い場所から見ると海のように見えることから。富士山麓の青木が原など。
【しゅかぶら】【スカブラ】skovla{No}【すかふら】
強風によって雪の表面にできる波形の紋様。波状雪。skovla[漂う]。⇒スプーンカット
しゅくしゃく【縮尺】scale{E}
地図などにおいて、実際の大きさより縮めて描くこと。またはその比率。
1/25,000の地形図と1/50,000の地形図では、1/25,000が縮尺が大きい。
しゅくぼう【宿坊】
お寺を訪れた人や僧が泊まるための建物。登山者も利用できるものもある。
しゅげんどう【修験道】
役小角(えんのおづぬ)を開祖とする山岳宗教。霊験を得るために山岳地で修行を積む。
修行をする人を【修験者】【山伏】という。
【シュタイクアイゼン】Steigeizen{G}
アイゼン。氷雪上を歩くときに、滑り止めのために靴に取り付ける爪つき金具。Steig[山道] Eizen[鉄]。⇒アイゼン
【シュタイルハング】Steilhang{G}
急斜面。切り立ったがけ(懸崖)。steil[急な、垂直の] hang[斜面、山腹]
【シュテヒト環】-かん
確保用器具のひとつ。円形の器具で中にロープを通す穴が2つあいている。⇒ATC
【シュテム】stemmen{E}
スキーをV字型に開いて(スキーのトップを合わせ、テールを離す)ブレーキを掛ける操作。[止める]
【シュテムクリスチャニア】Stemmkristiania{G}
シュテムによって回転のきっかけを作り方向転換する滑り方。⇒プルークボーゲン
【シュテムターン】という言い方はドイツ語と英語のごちゃまぜ。
【シュピッツェ】Spitze{G}スピッツェ
ピッケルやストックの柄の先端(地面に突く方)にある尖った部分。尖った金具。石突き。
じゅひょう【樹氷】
過冷却水滴(氷点下になってもまだ凍っていない水蒸気)が針葉樹に吹き付けられて凍り付く現象。蔵王や八甲田山が有名。風上に向かって発達するので、エビの尻尾状になる。樹全体を覆ったものは【モンスター】【アイスモンスター】ともいう。「樹氷」の命名者は旧制山形高校の安斎徹教授。⇒霧氷、えびのしっぽ
【シュプール】Spur{G}
スキーで滑った跡。[足跡]
【シュブング】Schwung{G}
スキーで回転(方向転換)するときに、かかとを押し出す技術。
【シュラフ】【シュラーフザック】【シラフ】Schlafsack{G} ねぶくろ【寝袋】【スリーピングバッグ】sleepingbag{E}
袋型になった寝具(ふとん)。Schlaf[眠り] sack[袋]。
中に詰める保温材を【フィル】fill{E}(【インシュレーション】【中綿】)といい、羽毛やポリエステル、人工羽毛のクォロフィルなどが使われる。フィルの種類や厚さにより、冬山用と三季(春〜秋)用がある。シュラフの空気を含んだ厚みを【ロフト】という。⇒ダウン、フィルパワー
シュラフの外形には次の種類がある。
【レクタングラー型】lectangler【封筒型】=長方形をしたタイプ
【マミー型】【ミイラ型】=人の形にあわせて頭・肩の形があり足元が狭くなっているタイプ
【ラップ型】=頭部が広がっていてドローコード(引きひも)で締めるタイプ
【半シュラ】=下半身または胸まで入る、丈の短いシュラフ
【シュラフカバー】{J} sleepingbag cover
シュラフ(寝袋)を包む袋状のカバー。ゴアテックスなど防水性のカバーで、シュラフをしまう時ではなく、寝るときに使う。
【ジュラルミン】Duralumin{c}
テントのポールやフレームなどに使われる軽くて強い金属。アルミニュームを主成分とし、銅・マンガン・亜鉛・マグネシウムなどを混ぜた軽合金。スチールの1/3の比重で強度は同等。ドイツのウィルム(Alfred Wilm)が1906年に発明した。
しゅりょうせん【主稜線】
山脈や山群の中心をなす尾根。
【シュルント】schrunde{G}
クレバス。氷河にできた割れ目。【シュルンド】ともいうがシュルントが正しい。
氷河や雪渓と岩壁の境にできる割れ目【ベルクシュルント】の意味で使われることもある。⇒ラントクルフト
しゅんがく【峻岳】
高く険しい岩だらけの山。しゅんこく【峻谷】深くて険しい谷。しゅんがい【峻崖】険しいがけ。峻(しゅん)はけわしいこと。ちなみに、似た文字の崚(りょう)は高い山が幾重にも重なり連なっている様をいう。
じゅんしろ【巡視路】じゅんしどう【巡視道】
送電線鉄塔などの点検のために作業員が通るための道。よく整備されているので登山道と間違えやすい。
しょうきゅうし【小休止】だいきゅうし【大休止】
休憩。行動中に休憩すること。特に時間は決まっていないが、行動中に5分から10分程度の短い休憩をとることを小休止といい、食事などをするために30分以上の長い休憩を取る場合を大休止という。⇒いっぽんたてる。
【しょいこ】【せおいこ】【おいこ】【背負子】【キャリーボーン】carrybone{E}
木やアルミパイプなどでできた、荷物を背負うためのフレーム。L型のフレームにショルダーベルトがついている。
しょきていし【初期停止】【初動停止】【滑落阻止】
氷雪上でバランスを崩したとき、直ちに停止操作をすること。バランスを崩して滑落を始めた、そこで(やおら)滑落停止体制に入り、停止操作を行うのではなく、いきなり(間髪を入れず)ピッケルのシャフトなりピックを氷雪面に刺して停止体制にはいること。
しょくりょう【食料】【食糧】
食べ物。食糧は米や麦などの主食物。食料は肉や野菜などの副食物。
【ショルダー登攀】-とうはん、かたぐるま【肩車】
仲間の肩や膝など体の一部を足場として使って攀じる登り方。
【シルバーコンパス】SILVA{c}【プレートコンパス】
オリエンテーリングに適した方位磁石。プラスチック製の透明な板に方位磁石が付いており、板には進行方向を示す矢印、距離を測定するための目盛、拡大鏡などがある。
スエーデンのSILVA社が製造販売する方位磁石。silva{L}[森]
【シングルテント】single tent{E}
一人用のテント。小型軽量のテント。
じんこうへき【人工壁】
クライミングジムなどに設置している、フリークライミングをするために岩壁に似せて作った壁。垂直あるいはオーバーハングした状態で取り付けた木製などの大きな板にホールド(手がかり)を取り付けたもの。ホールドはFRP樹脂と珪砂を混ぜて作る。
じんこうとうはん【人工登攀】 artificial climbing{E}
ハーケン、埋め込みボルト、あぶみなどの用具を使って岩場を登ること。確保点や手がかり足がかりがないときに、それらを人工的に作って登る登攀。⇔フリークライミング
しんざんゆうこく【深山幽谷】
奥深い山と静かな谷。 ヨーロッパ・アルプスやヒマラヤなど外国の山岳(岩と雪の世界)に対して、日本の山岳(深い渓谷や鬱蒼とした森林)の特徴を表す言葉としても使われる。
しんしょく【侵食】
雨、雪、風などによって地表の石や土を削り取られること。
?!寝ることも食べることも節約して登山にふけり命を削り取られること!?
しんせつき【新雪期】
新雪が降るころ。中部山岳の森林限界を超えるあたりでは10月下旬ころ。
しんせつちたい【深雪地帯】
雪が深く積もるところ。例えば、八甲田連峰、越後三山、剣岳、白山など。
しんりん【深林】
鬱蒼とした黒い森。樹木が幾重にも重なって生い茂った薄暗い森。造語者は田部重治
しんりんげんかい【森林限界】timberline{E}【ティンバーライン】こうぼくげんかい【高木限界】
針葉樹林帯(亜高山帯)からハイマツなどの低木帯(高山帯)に変わる地点。
夏の月平均気温10℃の線に一致するといわれている。北アルプスでは標高2500mくらい、北海道では1500mくらいになる。日本の森林限界は異常に低い、例えばロッキー山脈は北海道より北にあるのに森林限界は3700m付近にある。
植物の垂直分布は次のようになっている。山麓には椎や樫などの【常緑広葉樹林帯】【照葉樹林帯】がある。四国や九州では標高1000mあたりまで、中部山岳では500mあたりまでを占める。その上には、ブナなどの【落葉広葉樹林帯】がひろがる。四国・九州では山頂近くまで、中部山岳で1500mあたりまで、北海道では1000m以下を占める。その上は、シラビソやコメツガなどの【針葉樹林帯】になり、森林限界まで続く。
しんりんよく【森林浴】【ブッシュウォーキング】bush walking{E}
森林の中で散策をしたりリクリエーションを楽しむこと。樹木が分泌する揮発性物質(フィトンチッド)によって人体が活性化されるというもの。
英語のbushには森林の意味がある。日本語のブッシュは藪のこと。
〔す〕
【スーパー林道】
特定森林地域開発林道。植林の整備や伐採などのためだけでなく、観光や地域振興など多目的で大規模な山岳地道路。規模の大きな林道
すいげんかんようりん【水源涵養林】【水源林】
水源を保全したり洪水を緩和するために保存されている森林。
すいじゅんてん【水準点】
地図を作る際に標高の基準として測定した点。地図には四角の中に点を打った記号で、その場所と標高を表している。三角点は位置は正確だが、標高は正しくその高さを表しているとは限らない。水準点は標高は正確だが、位置は三角点ほど正しくはない。⇒三角点
すいちょくぶんぷ【垂直分布】
植生(植物の分布)が標高によって変わること。広葉樹林、針葉樹林、低木林(はい松など)、(木のない)高山植物帯などと層的な変化を成すこと。
すいとう【水筒】canteen{E} すいのう【水嚢】
飲料水を運ぶための筒型の容器。キャンティーン。⇒スキットル、テルモス、ポリタン
【ボトルホルダー】=水筒をザックに取り付けるための入れ物
すうちちず【数値地図】
国土地理院が発行している地形図のデータ。1/25000の地形図や50mメッシュなど種々あり、フロッピーディスクやCD-ROMで提供されている。地図を見るには、パソコンと、地図として表示するソフトウエアが必要。⇒カシミール
【スカイライン】skyline{E}【そらすかし】
(1)山の稜線が空に描く輪郭線。地平線。
(2)山岳地の観光道路。
【スカッフ】
雪崩で雪中に埋まった人を探すために、手足を使って雪をかき分けたり掘ったりすること。⇒ゾンデ、コール
【スキー】ski{E} せってい【雪艇】
雪上を滑走するために両足に取り付ける板状の用具。語源はノルウェー語の skith[棒きれ・雪靴]から。
日本では明治44年1月に来日したオーストリア陸軍レルヒ少佐による新潟県高田連隊の講習会が発祥とされている。しかし、それ以前にも日本人が国内で滑った記録がある。
いた【板】=スキーの本体部。【ビンディング】=スキー板にある、スキー靴を取り付ける金具。【ストック】=杖。【スキーヤー】=スキーをする人。
【スキーツアー】ski tour{E}
スキー場を離れて、スキーで山歩きをすること。
【スキーデポ】ski depot{J}
冬山登山で、山麓や中腹までスキーで来て、それ以上スキーで登れなくなったとき、そこにスキーを残しておくこと、その場所。depot{F}[置き場所]
【スキー登山】
スキーを使って行う登山。スキーが主体の登山。そのために使うスキーが山スキーだが、スキー登山のことを山スキーともいう。
【スキットル】skittle
ウイスキーやブランデーを運ぶための小型の水筒。
【スタカット】staccato climb{E} かくじとうはん【隔時登攀】
ザイルで結びあった2人(以上の者)のうち、常に1人だけが移動し、他方は確保している。これを繰り返して交互に登る登り方。トップが登攀しているとき、セカンドが確保している登り方。⇒アンザイレン。つるべ式。⇔コンティニュアス
【スタッフ】staff{E}
杖(つえ)、棒。staff[職員、杖、五線譜]
【スタッフバッグ】stuff bag{E}
小物品を収納するための袋。一般に防水コーティングされている。
stuff[所持品、ぎっしり詰める]、stuck[立ち往生をする](雪道で車が動かなくなるなど)、stack[ものを積み重ねる](干し草を積むなど)
【スタンス】stance{E}
(1)岩場や雪上での足の構えかた。
(2)足場。本来は両足で立てる足がかりや、両手を放して立てる足場をいうが、片足だけしか立てない狭い足がかりにも使われる。⇒ホールド
【ステーションビバーク】{s}
駅の待合室などで野宿をする(寝る)こと。⇒ビバーク
【ステップ】step{E}【ステップを切る】
氷雪の急斜面を登り降りするために、ピッケルなどを使って雪面に作る足場。階段状に作った足場。足場を作ることを「切る」という。
すてなわ【捨て縄】Seilring{G}
残置する綱。懸垂下降などをするときに、岩や木に巻いてザイルを掛けるための綱。降下後、ザイルは回収するが、その綱はそのまま放置することになる。⇒スリング
【ステミング】stemming{E}
凹角の中で、両足を開いて突っ張って体を固定する技術。stem[せき止める]。スキーのシュテムと同じ語源
【ストック】Stock{G}
杖(つえ)。疲労を軽減したり、転倒を回避するために使用する棒状の器具、ステッキ。Stock[杖]。落下防止のために手首に通すベルトを【リストテープ】という。
在庫品を表すstockは英語、こちらは切り株が語源。
【ストーブ】stove{E}
炊事をするための火器、レンジ、コンロのこと。暖房につかうものは【ヒーター】という。
燃料には、灯油(ケロシン)、(ホワイト/無鉛)ガソリン、(ブタン/プロパン)ガスなどが使われている。最近は【ガスストーブ】が主流。⇒コンロ。ラジウス。ホェーブス。ガスストーブ
火口(炎の吹き出し口)を【バーナー】burner、バーナーの周りにある風よけの金属板を【風防】、コッフェルなどを載せる台(棒状のもの)を【ゴトク】【五徳】【グリッド】、バーナーのノズル(穴)を掃除するための針を【マンドリン】【クリーニングキット】という。⇒パワーブースター
すどまり【素泊り】すはく
山小屋に泊まる形態のひとつで、食事も寝具も自前でかまえるもの。
【ストレッチング】【ストレッチ体操】stretching{E}
怪我の予防や健康法として行われる体操。筋肉や関節を伸ばす運動。ラジオ体操のように反動を利用した運動ではなく、ゆっくり筋肉をのばす運動。
【スノーウォーキング】【スノーハイキング】
雪山散策。スノーシューを履いて雪山や雪原などを歩くこと。
【スノーグラス】{J}
紫外線よけのために用いる、目をすっぽり覆う形の眼鏡。ゴーグル。
【スノーシャワー】【チリ雪崩】
積もった雪が風に飛ばされて斜面を滑り落ちたり、降ってくる現象。
【スノーシュー】snow shoe{E}【スノーシューズ】【雪靴】
雪の上を歩くための用具。西洋わかんじき。カナダやアラスカなどで狩猟などの移動に使っていた(起源は中央アジアらしい)。楕円形の骨組みに、カリブーなどの皮で作った紐のネットが付いている。
形から【アラスカントラッパー】=平原の移動に適した、長いもの。【ビーバーテール】=傾斜面でも使えるように短くしたもの。【ベアボウ】=ワカンのように長円形のもの、などの種類がある。
最近のスノーシューズは、アルミ製のフレームやプラスチック系のフロートでできている。スノーシューの部品には、【フレーム】楕円形の枠、【デッキ】雪を押さえる(浮く)部分、【ビンディング】靴に取り付ける器具、【クランポン】アイゼン(滑り止め)、がある。
【スノーブーツ】snow boots{E}
雪道を歩くための、滑り止めや保温性がある、長靴。
【スノースコップ】【スノーシャベル】snow shovel{E}
雪かき用のスコップ。雪洞を掘ったり、雪のブロックを作る、あるいは雪崩に埋もれた人を掘り出すために使う。普通(土木用)のスコップよりも軽量にできている。スチール製のものもあるが、アルミやジュラルミンなどが多い、プラスチック製もある。シャフトがなくピッケルのシャフトを代用するものもある。シャベル(shovel)は英語、スコップ(schop)はオランダ語。小型のものをスコップ、大型のものをシャベルともいう。
?!黙々と作業をするのがスコップ。饒舌なのは?!?
【スノーソー】snow saw{E}
雪のブロックを切り出すための鋸。木材用の鋸よりも歯の凸凹が大きい。saw[のこぎり]
【スノーブリッジ】snowbrdge{E} ゆきはし【雪橋】
残雪が沢の両岸にまたがって橋を掛けたような形になったもの。実際に渡れるものもある。
氷河のクレバスに、橋のようになって詰まっている雪の塊。
【スノーボート】snow boat{E}
雪橇(ゆきぞり)。主に負傷者を運搬するために担架代わりに使う船形のそり。
【スノーホール】snowhole{E}【雪洞】
雪洞(せつどう)。テントやツェルト代わりに雪中に掘った穴。⇒雪洞
【スパッツ】spats{E} きゃはん【脚絆】【ゲートル】gueters{F}
靴に雪や砂などが入るのを防ぐために、足首をおおう筒状のカバー。⇒オーバーシューズ
足首から(多くは甲も覆う)膝下まである長いものを【ロングスパッツ】、足首だけを覆うものを【ショートスパッツ】という。
日本語のゲートルは、ふくらはぎへ包帯のように巻き付ける帯状のもの。昔の軍隊で使われた。
【スピッツェ】【スピッツ】【シュピッツェ】Spitze{G}【石突き】
ピッケルやストックのシャフト(柄)の先端(地面に突く方)にある尖った部分、その金具。spitz[先の尖った]。⇒ツァッケ、ハーネス
【スプーンカット】spooncut{E}
雪渓や雪田の表面にできる細かな凸凹。まるでスプーンで削ったような形の無数の窪み。窪みの大きさは、片足または両足が乗るくらい(気象条件等によっていろいろある)。⇒しゅかぶら
【スベア】Svear{c}
ガソリン・ストーブ(コンロ)のメーカー・商品名。スベア社はその後オプティマスとなる。
「スベア123」はコンパクトなストーブで登山者に人気があった。Svearはスウェーデン先住民の名。⇒ラジウス、ホェーブス
【スポット】
ボルダリングで、またはリードのクライマーが最初のプロテクションを取るまでの間で、クライマーが転落したとき、ビレイヤーがクライマーの頭や背中、腰などを手で受け止めること、そのように構えること。
【スメアリング】smearing{E}
クライミングで、岩の表面に靴底を擦り付けるようにして立つ技術。[塗り付ける]。⇒フリクション
【スラッシュ】【水ベタ雪】
水分を多く含んだ雪。この雪による雪崩を【スラッシュ雪崩】【ゆきしろ】という。
【スラブ】slab{E}【プラッテ】Platte{G}
でこぼこの少ないのっぺりした一枚岩。フェイスよりもさらに堅くリス(小さな割れ目)も無いような大岩。傾斜度が強い(垂直に近い)ものを「フェイス」、弱いもの(75度以下)を「スラブ」ともいう。[平板]
建築関係では鉄筋コンクリート製の床板をいう。
【スリーピングバッグ】sleeping bag{E}
寝袋。シュラフ
【スリップ】slip{E}
(雪や氷の上で足が)滑ること。
【スリング】sling{E}【シュリンゲ】Schlinge{G}
テープやロープを短く切ってループにしたもの。テープをあらかじめループに縫い付けたものを【ソウンスリング】という。セルフビレイ、支点の延長、捨て縄、クイックドローなどに使う。長さ(輪をのばした長さ)は、30cmくらいから220cmくらいまで種々あるが、40cm位のものをシングルサイズ、80cm位をダブルサイズという。[吊り綱・吊り鎖]。⇒ヌンチャク
【スロープ】slope{E}
傾斜地。スキー場の斜面。
【スワミベルト】
腰ベルト。ハーネス(安全帯)のレッグループの部分がなく、普通のベルトのようにウエストに捲く部分だけのもの。
〔せ〕
せ【瀬】
川などの水深が浅くて徒渉できるようなところ。⇔渕。
【浅瀬】=水深の浅いところ。【早瀬】=水流の早いところ。
せいかんてきとざん【静観的登山】
岩壁や氷壁をただガツガツとよじ登るのではなく、より豊かな心で自然を鑑賞しようとする登山。提唱者は大島亮吉
せいこうとうていきあつはいち【西高東低型気圧配置】ふゆがた【冬型】
冬の典型的な気圧配置。発達した低気圧が日本の東海上へ抜け、大陸の高気圧が張り出してきて、日本付近は間隔の狭い等圧線が南北にならぶ。太平洋側は比較的天気が良いが、日本海側は大雪になる。
?!登頂の成功は到底おぼつかない!?
せいたいけい【生態系】【エコシステム】
ある地域に生息する動物や植物とそれを取り巻く大気や水・土壌などの環境を含めた全体のしくみ。
せいどうかくほ【制動確保】【ダイナミックビレー】dynamic belay{E}
クライマー(登っている人)が墜落した際に、ビレイヤー(確保している人)が一気にロープを止めずに、ある程度ロープを繰り出しながら徐々に制動(ブレーキ)をかけて墜落を止める技術。ピンやロープやクライマーにかかる衝撃をやわらげる効果がある。⇒ダイナミックビレイ
せかいそくちけい【世界測地系】【日本測地系】
測地系とは、緯度経度を表すための基準のこと。従来、日本では日本測地系が使われてきた。これは明治時代に制定したもので、当時の測量技術やその後の地殻変動などですでに現状に合わなくなっている。そこで、平成14年(2002年)4月1日から世界測地系に改められた。日本測地系と世界測地系では緯度経度がずれている。そのずれ方は、地域によって量と方向が異なるが、例えば、東京では北西へ450mずれている。
せきうん【積雲】【わたぐも】【キュムラス】Cumulus{L}
輪郭がはっきりしていて離れ離れに浮かんでいる雲。高度は300〜100m。夏の晴天時の典型的な雲。
せきせつき【積雪期】
山に雪が深く積もっている期間。北アルプスでは11月中旬から5月下旬あたりまで。雪の状態によって【新雪期】=新雪が降る・積もる期間、【降雪期】=雪が降る期間(通常の冬の間)、【残雪期】=降雪はなくなったが雪が地面にある期間、【無雪期】=地面に雪がない期間、などと分けることもある。⇒厳冬期
せきらんうん【積乱雲】【にゅうどうぐも】【かみなりぐも】【キュムロニンバス】Cumulonimbus{L}
もくもくと垂直に発達した雲。雲の頭の高度は10000mくらいになる。雷雨をもたらす。
せきりょうさんみゃく【脊梁山脈】
背骨のように長く連なる山脈。
せつえい【設営】
テントを張るなどして、キャンプの設備を整えること。⇔撤収
せつえん【雪煙】
積もった新雪が強風によって吹き上げられ、煙のようにたなびいてみえること。現地は猛烈な地吹雪になっている。⇒吹雪
せっかいがん【石灰岩】
炭酸カルシウムを成分とする白色の堆積岩。
せっけい【雪渓】
谷を埋めた雪が春から夏になっても溶けないで残っているもの。⇒万年雪、雪田
せつじょうかくほ【雪上確保】
氷雪上で行う確保、その技術。岩場と違い確実なアンカー(確保点)が得られないので、様々な工夫や技術が必要になる。雪の中に【スノーバー】や【デットマン】を埋め込んでアンカーにする。
【スタンディングアックスビレー】雪の中に打ち込んだピッケルを自分の体重で支えてアンカーにする確保技術。
せつじょうくんれん【雪上訓練】
冬山登山の技術を習得するための訓練。ピッケルを使った滑落停止やアイゼンによる雪上歩行などの練習。⇒滑落停止。
せっしょく【雪食】
雪によって生じる浸食作用。
【雪食崖】雪食によって作り出されたカール状の断崖。
せっせん【雪線】
一年中雪が消えない高度の下限。ヒマラヤでは標高5000mあたり。日本では、4000mあたりになるので雪線はない。そこで、単に積雪の下限をいう。⇒高山帯。
純粋な意味での登山(クライミング)とは、雪線より上にひろがる雪と氷と岩の世界の登攀である。すると雪線以下はハイキングということになるか。
せつでん【雪田】せつげん【雪原】snow-plateau{E}
山稜の残雪が一部だけ残って雪の原となっているところ。谷に雪が残っているものが雪渓、平らな場所に残っているものが雪田、雪原。雪田は規模(雪の面積)が小さいもの、雪原は大きいもの。雪原は冬の雪の原の意味でも使われる。⇒雪渓
雪田は、氷河の源になっている万年雪の意味で使われることもある。
【雪田植物】【雪田草原】雪田の周りに生殖している植物群。
せつどう【雪洞】 snow hole{E}
ビバーク(不時露営)のために積雪に掘った穴。斜面を横に掘る横穴式と、平坦地を下に掘り下げる竪穴式とがある。⇒イグルー。
照明器具の「ぼんぼり」も雪洞と書く。
せっぴ【雪庇】【ゆきひさし】
稜線上の風下側に(ひさしのように)雪が大きく張り出したもの。大きなものは10m以上にもなる。
雪庇の内部は雪だけだからもろく、人が乗ると崩れる。どこまでが本来の稜線か区別がつきぬくい。
豪雪地帯では稜線の両側に雪庇ができる場合があり【きのこ雪】という。
せつもう、ゆきめくら【雪盲】ゆきめ【雪目】【雪眼】
紫外線によって、目の網膜や結膜に起こる炎症。目の痛み、涙が出る、目を開けていられないなどの症状になる。
せと【瀬戸】【背戸】せど
川の両岸が迫って壁のようになっているところ。山と山との間の狭いところ。海峡。
【セパレート雨具】
上下(上着とズボン)に別れた雨具。ポンチョや合羽など上下のない雨具に対するもの。
【セラック】serac{F}
氷河の屈曲点などに、氷河が砕けてできる氷の塔。いくつものクレバスによって、断ち切られた氷河の一部が、塔状に残ったもの。国内では、雪渓が崩壊してできた雪の塊の意味でも使われる。
【セルブスト】Selbstband{G} 【セルバン】
自己確保用のベルト。ゼルプスト・バンド。⇒ハーネス
【セルフビレー】【セルフビレイ】selfe belay{E}
自分のハーネス(安全ベルト)を確保点につなぐなどして転落を防止する措置をとること。⇒ビレイ、確保
【セルフレスキュー】self rescue{E}
遭難や事故から自力で脱出すること。遭難したパーティが救助隊の支援なしに自力で救助、生還すること。
【せん】【濺】
滝のこと。蛇行せずに直下する滝。滝が連続している谷。上信越地方の方言。⇒F1
ぜんえいほう【前衛峰】
主峰の前にある峰。ジャンダルム。ピークを衛兵(番兵)と見立てたもの。
ぜんけい【前傾】【かぶる】
垂直以上に傾斜の急な岩壁(前に立つ人からみて手前に倒れている岩壁)。⇔後傾、ねる
人が体を前に傾けた姿勢をとること。
せんしょうしゃ【先蹤者】
先人。先例を作り新たな道を開いた人。⇒山の名著
せんじょうくぼち【線状窪地】
二重山稜(二つの稜線が平行している地形)の間にあるくぼんだ地形。
ぜんせん【前線】
暖かい気団(空気の塊)と寒い気団がぶつかった境目が地面と接する線。両気団が接している面を【不連続面】という。
寒い気団が暖かい気団の下にもぐりこんで移動していくものを【寒冷前線】、暖かい気団が寒い気団の上に乗りあげて移動していくものを【温暖前線】という。寒冷前線が温暖前線に追いついて重なったものを【閉塞前線】、寒気と暖気の勢いが拮抗してあまり動かなくなったものを【停滞前線】という。
せんだつ【先達】せんだち、ちゅうご【仲語】
講中登山(信仰のための登山)において、先導・道案内をする人。指導者。
他の人より先に経験を積んだ人、先駆者。
【セントエルモの火】Saint Elom's fire{E}
船のマストの先端や振り上げたピッケルの先端などが青白く発光する現象。雷雲による放電現象のひとつ。セントエルモは船乗りの守護神。
せんぽう【尖峰】せんじょうさんちょう【尖状山頂】
とがって高くそびえている山頂。
〔そ〕
【ソール】sole{E}
靴の底の(地面に着く)部分。登山靴では靴底全体をいうが、靴底の踵の部分を【ヒール】といい、それを除く前半部分をソールともいう。ソールの模様や材料は、一般登山・岩登り・沢登りなど目的によって様々なものがある。⇒ビブラム、クライミングシューズ、ウェディングシューズ。⇔アッパー
?!まっすぐでもソール!?
そううん【層雲】【きりぐも】【ストラタス】Stratus{L}
霧が厚くなった感じの雲で、ごく細かい水滴でできている。高度は600〜0m。山麓や中腹にいつまでもへばりついているときは天気は下り坂に向かう。
ぞうざいみち【造材道】
木材を搬出するために造った道。
そうじほう【双耳峰】【双峰】
動物(馬など)の耳のように、尖った二つのピークが並んでそびえている山頂。鹿島槍ヶ岳の南峰/北峰や谷川岳のトマの耳/オキの耳など。【トマ】は手前、【オキ】は向こうの意味。
そうせきうん【層積雲】【うねぐも】【ストラトキュムラス】Stratocumulus{L}
互いにつながっている、かなり大きな雲塊が規則正しく並んだ雲。高度は3000〜500m。雲全体が暗く雲塊が大きくなるものは低気圧や前線にできる。
そうなん【遭難】
山や海で、命を失うような災難に出あうこと。怪我をしたり悪天候のために、自力で下山できなくなること。
そうねんさんち【壮年山地】
浸食が進んでV字谷や断崖などができた険しい地形の山地帯。【壮年期地形】
そうび【装備】
ある目的のために付属品などを取り付けること。登山に必要な道具・用品類のこと。⇒ギア
そうほんたい【草本帯】
高山植物帯。茎があまり発達せず1年くらいで枯れる植物が生育している地帯。灌木帯より上、地衣帯より下の地帯。
ぞうりんごや【造林小屋】
植林の手入れをするために作られた小屋。資材を置くための倉庫であったり、宿泊するための山小屋であったりする。部外者は利用できない。
そこう【遡行】【溯行】
谷や沢を上流へ向かってさか登ること。沢登り。沢沿いの道を上流へ行くときにも使うことがある。⇒沢登り
遡(そ)はさかのぼること。溯は異体字。
【遡行図】=滝の高さ、ゴルジュの難易度、高巻ルートなど、沢登りに必要な情報を載せた略地図。ルート図。
そっかんせいそざい【速乾性素材】
ウエア類に使われるアクリルやポリエステル系の繊維で、体の表面の汗を外へくみだし拡散させるもの。オーロン(乾式アクリル)など。
吸湿・速乾にすぐれた【ダクロンQD】【クールマックス】【キャプリーン】【ウイックロン】、濡れたときの保温性に優れた【クロロファイバー】【インターマックス】【ジオライン】などがある。いずれも商品名。⇒アクリル繊維
そとばり【外張り】
冬山用テントで、耐風性と保温性を向上させるために、テントの外に取り付けるシート。⇔内張り
【そね】【曽根】【埆】
尾根。石がらがらの痩せた土地。低く長く続く尾根。
【そば】【そわ】【岨】【稜】
崖や絶壁。切り立った険しいところ。岨(そ)は山が幾重にも重なって険しいこと。稜は岩などの角の意味もある。
【そばみち】【岨道】そわみち
険しく急な山道。
【そばづたい】【岨伝い】
険しい崖に沿って行くこと、またはその道。
【そまみち】【杣道】
木材を伐採する人【杣人】が利用する道、木材を搬出するための道。
そりん【疎林】
樹木がまばらにしか生えていない林。⇔密林
【ソルボ】【ソルボセイン】sorbothan{c}
インソール(靴の中敷)のひとつ。衝撃を吸収して膝や足首の負担を軽減する。
ウレタン系ポリマー(ビスコエラスティックポリマー)イギリスの商標。語源はabsorb(吸収する)+o+urethan(ウレタン)から。⇒シダス
【ソロ】solo{I}【ソロクライミング】【単独登攀】
ビレイヤー(確保者)を伴わず独りだけでで登攀すること。
【ゾンデ】Sonde{G} 【プローブ】probe{E}
雪崩に巻き込まれて雪の中に埋まった人を捜索するための細長い棒(直径10mm、長さ3mくらい)。消息子。⇒ビーコン、スカッフ
ゾンデを雪中に差し込んで、雪崩で埋まっている人を探す行為を【ゾンデーレン】という。