〔あ〕
【アースハンモック】earth-hammock{E}、しばづか【芝塚】
植物に覆われた地面が、周囲よりも盛り上がったもの。
【アーベントロート】Abendrot{G}
夕焼け。夕日をうけて雲が赤く染まること。高山でみる夕焼け。Abend[夕方] rot[赤い]。⇒アルペングリューエン。⇔モルゲンロート
【アーミーナイフ】army knife{E}
缶切りやドライバーなど各種の道具を納めた折り畳みナイフ
軍隊の個人装備として使うナイフ。スイス陸軍に納めたビクトリノックス社とウェンガー社のものが代表。army[陸軍]。⇒ナイフ
【アイスキャップ】ice-cap{E}、ひょうぼう【氷帽】
山の頂上付近にできた小型の氷河、頂上をおおう万年雪。
【アイスクライミング】ice-climbing{E}、ひょうへきとうはん【氷壁登攀】
凍った斜面や滝など、氷の壁をよじ登ること。⇒ロッククライミング
【アイスハーケン】Eishaken{G}【アイスピトン】ice-piton{E+F} ひょうてい【氷釘】
氷壁に打ち込む金属製やプラスチック製の大釘。氷雪上で確保用の支点として使う。シャフトがネジになっていて回転してねじ込むものは【パイプスクリュー】【アイススクリュー】という。アイスピトンは英語とフランス語のごちゃ混ぜ。
⇒ハーケン、確保。⇔ロックハーケン
【アイスバーン】Eisbahn{G}
凍結して氷状になった雪面。雪の表面が太陽熱で溶けたり、霧や雨で濡れた後に再び凍ったもの。eis[氷] bahn[通路]
【アイスバイル】Eisbeil{G}【アイスハンマー】Eishammer{G} icewallhammer{E}
氷壁登攀用の小型の斧(おの)または槌(つち)。ピッケルのブレード(平たい方)をハンマーにしたもの。氷壁にアイス・ハーケン(氷釘)を打ち込むために使う。柄の末端に石突きのあるものをアイスバイル、ないものをアイスハンマーという分類もある。Beil[斧] hammer[金槌]。
⇒ピッケル、ピオレ・トラクション、石突き
【アイスフォール】icefall{E} ひょうばく【氷瀑】
氷河の急傾斜部。氷河の氷が海に落ちるところ。氷が崩落し氷のブロックが累々としている斜面。凍結した滝(冬季に滝が凍り付いたもの)。fall[落下、崩壊、滝]
【アイゼン】Steigeisen{G} climbing irons{E}【クランポン】crampon{F}【かなかんじき】
固い雪や氷の斜面を登降するときに、滑り止めのために靴に付ける鋼鉄爪つき金具。材質はクロムモリブデン鋼やチタンなどが使われている。正しくは【シュタイクアイゼン】という。Steing[山路] eizen[鉄]。ロシア語では【コーシカ】(猫)という。
?!氷壁やかつらをむさぼり愛すること!?
アイゼンの爪は【ツァッケ】といい、10本または12本が標準。12本爪アイゼンで、前方向に飛び出した2本(または4本)の爪をけづめ【蹴爪】【前爪】【フロントポイント】という。また、このタイプを【出っ歯型アイゼン】{s}ともいう。前爪の2本が水平になった【横爪】と垂直になった【縦爪】がある。⇒ピオレ・トラクション。
爪の数が4本程度のものを【軽アイゼン】といい、夏の雪渓などで使う。アイゼンの裏に雪がつくのを防ぐための、ポリプロピレンなどでできた板を【スノーシャット】という。
アイゼンは、もともとチロルの猟師が使っていた伝統的な道具だったが、初期の登山ではあまりつかわれなかった。1910年にエッケンシュタイン(Oskar Eckenstein 英)が折り畳み式10本爪アイゼンを発明して、たちまち登山界に広まった。
【アイソトニック飲料】isotonic drinks{E}【アイソトニック】【スポーツドリンク】
体に吸収されやすいように体液と等しい浸透圧にした飲料水。糖質、ミネラル、アミノ酸などを含む飲料水。isotonic[等浸透圧の]
※浸透とは二種類の液体が半透膜を通して混ざり合うこと、浸透圧はその液体間の圧力差。液体の濃度や温度などで決まる。
【アウター】outer{E}
上着。アウトウエア{J} outerwear{E}。二重靴(プラスチックブーツなど)の外側の靴。⇔インナー
【アウトドア】outdoor{E}
屋外。野外。キャンプ、ハイキング、スキーなど野外で行う遊びの総称。英語のoutdoorは単に屋外・戸外のことで、必ずしも大自然を意味するわけではない。⇒ウィルダーネス
【アオラギ】
ニュージーランドの最高峰クック山(マウントクック/3764m)の現地名。先住民の言葉で「雲を突き抜ける山」の意味。
あかふじ【赤富士】
富士山(の山肌)が朝日や夕日を受けて赤く染まること。7-8月の朝夕に出現することがある。
冬季に雪に覆われた富士山が赤く染まるのは【紅富士】という。
あかぬの【赤布】【赤テープ】
登山道を示すコースサインのひとつ。赤い布やビニールテープなどを木の枝などに取り付けてみちしるべにしたもの。赤以外の色が使われることもある。色に特に定まった意味はない。林業や土木など登山以外の目的で、登山道以外の場所に似た標識が付けられることがある。
⇒指導標。
あかんたい【亜寒帯】
温帯と寒帯の中間の気候地帯。カナダやロシアの大部分がこの気候帯に含まれる。気温が10℃以上になる短い夏と-3℃以下になる長い冬がある。エゾマツやトドマツなどの針葉樹林がある。
?!大阪と福岡の方言!?
【アクシデント】accident{E}
予期しない(あらかじめわからない)事故やトラブル。⇒遭難
【アクセス】access{E}
登山口までの交通機関や手段。ある場所へ近づく方法。access[接近]。一般に、アクセスは自宅(または都市部)からその山へ行くための交通機関、【アプローチ】は交通機関を降りて登山口、入渓点、登攀開始点までの行程をいう。⇒アプローチ。
【あくてん】【悪天】【あくてんこう】【悪天候】severe weather{E}
天気が悪いこと。風雨や吹雪などの天気を「悪い」という。?!それが登山の醍醐味なのに!?。
快晴や晴などの天気をこうてん【好天】【好天候】という。
【天気】は今日または2〜3日間の気象状態をいい、【天候】は数十日間など長期の気象状態をいう。
!?すると、悪天候とは何日も吹雪が続いて身動きが取れないような状態をいうことになるか?!
【アクリル繊維】acrylic-fiber{E}【アクリル】
下着などに使われる、ウールに似た軽くて柔らかい化学繊維。吸水性が少なく乾きが早い。商品名では【オーロン】【アクリラン】【カネカロン】【エクスラン】【カシミロン】【ボンネル】などがある。
⇒速乾性素材
あこうざんたい【亜高山帯】【亜高山】
山岳地帯の分類、または植物の垂直分布帯のひとつ。ブナなどの生えている 山地帯より上で、森林限界までの地帯。中部他方では標高1600mから2500mあたり。森林限界より上を【高山帯】という。ヨーロッパでは森林限界より上のハイマツなどが生えている地帯を亜高山帯という。
【亜高山植物】=亜高山帯に生えている植物。シラビソ、コメツガ、ダケカンバ、シャクナゲなど
【亜高山性低木】=森林限界のあたりに生育している樹高3mくらいの樹木。
【あごがでる】【あごが出る】【顎が出る】
登りで、荷物が重かったり道が急などで疲れて、呼吸が苦しくなり、顔が前に出た姿勢になってしまうこと。
⇒ひざが笑う
あさひだけ【朝日岳】【旭岳】【朝日山】【旭山】
朝日のあたる山。ある地点(集落)から見て、朝日が真っ先にあたる山。
あしばきり【足場切り】【カッティング】cutting{E}
氷雪上にピッケルで足場を刻むこと。足場とは、足を乗せられる(体重をかけられる)平らな部分をいう。
⇒カットステップ、キックステップ
【あしだに】【足谷】【悪谷】【芦谷】
足場が悪くて通りぬくい谷。そこに入ると不吉なことが起こるので入って作業(樵や狩猟など)をしてはならない谷。葦が茂っている谷の意味もあるだろう。
あしはら【芦原】【葦原】よしはら
葦が茂っているところ、湿地帯。葦(あし)はイネ科の多年草で、沼や川などの岸に大群をつくって生育する。「あし」は「悪し」に通ずるので「よし」ともいう。
【アスピーデ】
緩やかな円錐形の形をした火山。
シュナイダーは、火山をその形から分類してアスピーデ、コニーデ、トロイデなどに分類したが最近の火山研究ではこの分類は適切ではなくなったので使用を避けている。
【アスピリンスノー】{J}
低温下の新雪など、粒の細かいさらさらした雪。アスピリンの結晶のような細かな粒という意味。アスピリンは、バイエル社(ドイツ)の鎮痛、解熱剤。
【アセンダー】【アッセンダー】ascender{E} とうこうき【登高器】
一端を固定し、垂直に吊したロープを登るための器具。器具はロープを一方向(上)にしか移動しない構造になっている。ascent[登ること]
⇒ユマール。⇔デセンダー
【アタック】attack{E}
ヒマラヤなどの遠征で、最終キャンプから頂上をめざして登ること。登りぬくい山岳に挑戦すること。attack[〜を攻撃する]
⇒ポーラー・メソッド。
【アタックキャンプ】{J}、advance-camp{E}【アドバンスキャンプ】
極地法登山で、頂上めざして登るための最後のキャンプ。正しくは、アドバンス・キャンプ。
⇒アタック、ポーラー・メソッド(極地法)、AC。
⇔ベースキャンプ
【アタックザック】attack-sack{E}【トップロードザック】topload-sack{E}
ザック(リュックサック)の一種。一般にサイドポケットがなく、縦長で上端には小物入れのポケットが付いている。本来は登攀用のザックだったが、現在は縦走などにも使う主流のザックになっている。スリムなスタイルのため、ザックが岩角にあたりぬくく行動しやすいため、キスリングにとって変わった。ザックの上端を開けて荷物の出し入れをするのでトップロードともいう。⇔フルオープン
⇒ザック。⇔キスリング。
【あたま】【頭】
独立峰というほどではない尾根上の突起。沢や谷の源流にそびえる小さな峰(その沢の名を取って〜沢の頭という)。枝尾根が主尾根にぶつかる地点の小さなピーク。「かしら」は間違い。
?!人間の肩より上部にある部位で、帽子を掛けるにはかなり有効だが、それ以外にはあまり役に立たないもの!?
【アックス】ax,axe{E}
氷壁登攀で使用するピッケルやアイスパイル、アイスハンマーの総称。[斧]。⇒ピッケル アイスバイル
【アッパー】upper{E} こう【甲】
靴の上面のこと、底以外の部分。upper[上のほうの] 。甲は鎧(よろい)や兜(かぶと)のこと、手や足の表の面。足の足首から先で地面につかない部分、靴のその部分を甲という。
⇔ソール。
【アニマルトラッキング】
地面や雪面に残された足跡などから野生動物の種類や行動などを探ること。猟師が獲物を狩るためや、動物学者が生態調査をするためもあるが、アウトドアの楽しみとして行うものもある。
【アノラック】anorak{Es}
フード(頭巾)がついた、プルオーバー(頭からかぶって着る)タイプの防風上着。
元はエスキモーの衣服で、1920年にノルウェーで極地探検用に改良された。日本には1929年(昭和4年)にヘルセット(O.Helset)が持参した。かつては登山の代表的な上着だった。⇒ヤッケ エスキモー
【アバランチ】【アバランシュ】avalanche{E}{F}
雪崩。
【アバランチシュート】雪崩の浸食によって、岩壁がU字型に削り取られたもの。
⇒雪崩。
【アビュー】{F}
オンサイト、初見。フリークライミングの登り方のひとつ。その壁に初めて接すること。
【アプザイレン】abseilen{G} けんすいかこう【懸垂下降】
ザイルを使って岩場を降りること。abseilen[ザイルで下ろす、ずらかる]
⇒懸垂下降、アンザイレン
【あぶみ】【鐙】【エトリエール】Etrier{F}
人工登攀に使う小型の縄梯子。あぶみはしご。普通3〜4段のものが使われ、プレート式とテープ式がある。プレート式はステップ(足を乗せるところ)が金属製の板になっているもの。 本来のあぶみは、馬につける鞍の付属品で、鞍の両脇に下げ足を載せるための器具。etrier[鐙]
【アブレーション】abrasion{E} ひょうしょく【氷食】
氷河に接している岩が氷河によって削り取られること、浸食を受けること。または、氷河そのものが解けて細くなること。abrasion[擦り傷]
【アプローチ】approach{E}
一般の登山では交通機関末端から登山口まで、クライミングでは、登山口から岩場まで、沢登りでは沢に下りてから遡行を開始する地点までをいう。目的物に接近すること、または接近する方法。approach[〜に近づく]。⇒取り付き点
自宅や都市部から登山口までの行程は【アクセス】というが、それも全部含めてアプローチともいう。
【アプローチが長い】電車・汽車・バスなどを降りてから、登山口までの間、林道や車道を長い距離歩かなければならない。
【アプローチが悪い】上記の意味のほかに、交通の便が悪い(便数が少ない)、道路の状態が悪い。
【アプローチシューズ】
例えば、岩登りや沢登をするとき、自宅から岩場や沢へ行くまでの間に履いてゆく靴。
【アネロイド式高度計】aneroid barometer {E}
いまいる場所の標高を表示する計器。機器内部に非常に薄い金属製の容器(空盒:くうごう)があり、それが大気圧によって変形することを利用している。気圧を測定しているが、高度目盛りで読み取る。aneroid{Gr}[液体がない]
あまぐ【雨具】【レインギア】
雨をよけるために身につける衣類や道具のこと。【雨着】【レインウエア】は衣類、【雨合羽】はマント状の衣類のこと。他に【雨靴】【雨傘】など。【傘】は柄を手で持つタイプ。【笠】は頭にかぶるタイプ。
【蓑】(みの)は、萱(カヤ)や藁(ワラ)で作ったマント状の雨具。【菅笠】は菅(スゲ)で編んだ笠。カヤは茅とも書き、イネ科の植物。ススキ、チガヤ、スゲなどの総称。屋根の材料とする(かやぶき屋根)。
【アマチュア無線】【ハム】ham{E}
(業務ではなく)趣味で行う無線通信。非常時の連絡のために(本来、非常通信のための無線ではない)、また電波がよく飛ぶ山頂から交信するためにアマチュア無線をやっている登山家は多い。通信を行う者はアマチュア無線技士の資格が必要で、第1級から第4級まである。4級で送信出力20Wの無線機が扱える。
登山では144MHz帯や、430MHz帯の周波数がよく使われる。430MHz帯には、【レピータ】とよぶ無線中継所が各地にあり、ポケット型の無線機でもかなりの遠距離と交信ができる。
アマチュア無線家(無線局)を俗にハムという。ハムは、1908年にアマチュア無線局を開局したハーバードラジオクラブが、オペレーター3人(Albert S.Hymann,Bob Almy,Peggie Murray)の頭文字をとって無線局の名前をHAMとしたことから。
類似のものに【特定小電力無線機】がある。出力が小さいので電波の飛ぶ距離が短く、パーティ間の連絡くらいにしか使えないが、無線技士の資格は不要。⇒トランシーバ
【あまに油】【アマニ油】【亜麻仁油】
亜麻の種子から搾った油。ワカンやピッケルのシャフトなど木部の手入れに使う。亜麻はアマ科の1年草。丸い実をつけ、そのなかに楕円形で平たい種子がある。それを亜麻仁という。
【あみシャツ】【網シャツ】【ストリングシャツ】string shirts{E}
生地が網状になった下着。雨や汗で濡れても保温効果が落ちない。かつて登山用の代表的な下着だったが、速乾性素材の普及であまり使われなくなった。
【あめぶた】【雨蓋】【天蓋】
ザックの上部を覆うカバー。天蓋。アタックザックではここにポケット(小物入れ)がついている。
【アラインゲーエン】Alleingehen{G}【アラインゲング】Alleingang{G}【ソロ】solo{I}【単独行】
パーティを組まず、独りで登山や登攀をすること。
単独登攀者は【アラインゲンガー】Alleingenger{G}【ソロクライマー】soloclimber{E}という。allenin[独りでいる]
ありのとわたり【蟻の戸渡り】【蟻の門渡り】
尾根の幅が狭く左右に切り落ちた地形。痩せ尾根。登山者をアリに見たてたもの。
⇒ナイフリッジ
【アルコールコンロ】
燃料にアルコール(メチルアルコール)を使用するコンロ(炊飯用火器)。
【アルデ】ard{Celt}
ケルト語で高所のこと。⇒アルプス
【アルバイト】arbeit{G}【バイト】
きつい登り。無駄な動きをすること。だらだら歩くこと。
登り降りが激しかったり、道が荒れてしたりして、体力を消耗するような状態を【アルバイトがきつい】という。[労働、労苦]
?!学生が夏休みに山小屋で働くこと!?
【アルパインクライミング】Alpine-climbing{E} さんがくとうはん【山岳登攀】
ヨーロッパ・アルプスやアルプス風の岩壁・氷雪を登攀すること。人工的に設えた壁を登るフリークライミングに対して、山岳地の岩壁や氷壁を登攀すること。
氷雪の岩壁を登ることは【氷壁登攀】【冬期登攀】ともいう。
【アルパインクラブ】Alpine club{E} 【アルペンクラブ】Alpen Klub{G}【山岳会】
登山を目的とする会。 1857年に英国に設立されたアルパイン・クラブ(英国山岳会)が最初の登山団体の組織。単にアルパインクラブというとこれをさす。日本ではウエストンの助言を得て小島烏水らが明治38年(1905)設立した「山岳会」(のちに「日本山岳会」となる)が最初。
【アルパインスタイル】Alpine-style{E}
ヒマラヤ登山において、サポート隊・ポーター・前進キャンプ・酸素ボンベなどの、大がかりな人員や資材を使わずに登攀する登山形式。ラインホルト・メスナーとペータ・ハーベラーのガッシャーブルムT峰北西壁登攀(1975年)などがその代表例。⇔ポーラー・メソッド。
⇒ワンデイアッセント、無酸素登山
【アルピニスト】alpinist{E}
登山家。山登りに対して哲学をもった登山家といった意味で使われる。 alpinist[アルプス登山者]。
⇒山男、岳人、登山者
【アルピニズム】alpinism{E}
より高くより困難を求める、スポーツとしての登山。岩壁や氷壁の登攀を中心とする登山。その技術や精神をいう。
アルピニズムは、M.G.パッカールとJ.バルマのアルプス最高峰モンブラン初登頂(1786年)に始まるとされている。
⇒付録・初登頂の記録
【アルプ】Alp{F}【アルム】Alm{G}
ヨーロッパ・アルプス地方で森林限界から雪線までの間に広がる草原地帯。
⇒アルプス、雪線。
【アルプ】
登山月刊誌。1958(昭和33年)-1983(昭和58年)に創文社から刊行されていた。
【アルファ米】alpha{Gr}
米に水と熱を加えてから乾燥処理をしたもの。【アルファ化米】が正しい。 加熱によって澱粉が糊状になることを【アルファ化】という。普通の米よりも炊飯が楽になる。非常食や予備食に使われる。
【アルプス】Alps{E} 【アルペン】Alpen{G} 【アルプ】Alpes{F}
欧州西南部の五ヶ国(ドイツ、フランス、スイス、イタリア、オーストリア)にまたがる大山脈。最高峰はモンブラン(4807m)。アルプス的な高山脈。
語源はケルト語のalb[山岳]。ケルトとは紀元前7世紀頃にヨーロッパ(ドイツのライン川流域)に住んでいた種族。
【アルプス一万尺】
(1)尺(しゃく)は長さの単位で約30cm。10,000尺は約3,000mになる。そこから日本アルプスの3,000m級の山をいう。
(2)アメリカ民謡「Yankee Doodle」に日本語の歌詞をつけた山の愛唱歌。作詞者不明。
「アルプス一万尺、小槍の上でアルペン踊りをサー踊りましょう」 替え歌もたくさんある。
【こやり】【小槍】とは槍ヶ岳山頂直下にある小さな岩峰で、その頂上は踊りができるような広さではない。【アルペン踊り】は、手を振り上げるとかジャンプするとか、スイスアルプス地方の民族舞踊だとか、いくつか説はあるが、どんな踊りか詳細不明。自分が創作した振りで、本当に小槍のてっぺんで踊った人もいるらしい。
【アルペン】Alpen{G}
他の語について「アルプス山脈の」「高山の」「山岳の」の意味を表す。
【アルペングリューエン】Alpengluehen{G} 【アルペングロー】Alpine glow{E}
山頂光。日の出前や日没後に高山が紅色や黄金色に輝く現象。「アルプスの栄光」という意味もある。gluehen/glow[赤熱する、赤く燃える]。
⇒ アーベントロート、モルゲンロート
【アルペンスキー】Alpenski{G}
アルプス地方で発達したスキー技術。山岳スキー。
【アルペンシュトック】【アルペンストック】Alpenstock{G} alpine stick{E}
登山で使う(使われていた)杖。氷河などを渡るときに使う、長さ2mくらいの木の棒。金剛杖。
【アルペン的】{J}【アルペンムード】{J}
森林限界以上の雪と岩からなる山岳景観。
【アルペンブルーメ】Alpen blume{G}
アルプスに咲く花。高山植物。Blume[花、草花]
【アルペンホルン】【アルプホルン】Alpenhorn{G}
アルプス地方で使われている金管楽器の一種。木をくりぬいて作った長さ4mくらいの円錐管で、先端の朝顔部分が少し曲がっている。先端部を地面に置いて演奏する。日本アルプスでも一部の山小屋において使われている。
※ アルペンホルンは、木製だが金管楽器になる。金管とは、唇の振動を管に伝えて音を出す楽器をいう(ホルンやトランペットなど)。木管は、リード(発音装置)を使ったり(クラリネットなど)、歌口(唇を当てるところ)から直接音を出したりして(フルートなど)、唇を振動させないで音を出す楽器をいう。
【アレート】arete{F}【グラート】Grat{G}
氷河の侵食によってできた、痩せた(横幅が狭い)岩尾根。鎌尾根。arete[魚の骨]。
⇒ナイフリッジ、リッジ
【あわ】【ほう】
新雪表層雪崩。根雪の上に積もった新雪がなだれるもの。越後・信濃・越中では表層湿潤新雪雪崩を、越前・飛騨・若狭では表層乾燥新雪雪崩を【アワ】という。⇒雪崩
?!破壊力が大きいのであわを食う。ほ〜!?。
【アンカー】anchor{E}
確保するための確実な支点、または支点をとること。いちばん重要な確保点。自己確保点。アンザイレンした(ザイルでつなぎあった)最後尾の者。anchor[錨]
確保足場として使える広いレッジ(棚)を【アンカーレッジ】という。
?!手足を暖める暖房器具!?
【アングラー】angler{E}【フィッシャーマン】fisherman{E}
釣り人。アングラーはスポーツフィッシングを楽しむ人といったニュアンス。angler[釣師] fisherman[漁師]
【アンザイレン】anseilen{G}
二人以上が相互確保のためにザイルで体を結びあうこと。片方が墜落したときに、他方がザイルを使って墜落を食い止める。結び合う仲間を【ザイルシャフト】Seilschaft{G} という。anseilen[綱に繋ぐ]
アンザイレンした2人が同時に移動(行動)する登り方を【コンティニュアス】という。常に1人だけが移動し、他方は確保する、これを繰り返して交互に登る登り方を【スタカット】という。
あんぜんかん【安全環】【安全環つきカラビナ】【かんつき】looking carabiner{E}
カラビナのうちで、ゲートを固定(ロック)して開かないようにできるタイプ。セルフビレーや懸垂下降など、ゲートが開くと致命的なアクシデントになるときに使用する。固定機構にはネジ(リング状のナット)を回転して締める【スクリュー式】とスリーブ(筒状のつまみ)がスライドして自動的に締まる【オートロック式】がある。
安全環付きカラビナに対して環のない通常のカラビナを【ノーマルカラビナ】という。
あんぜん【安全ベルト】【安全帯】【ハーネス】
安全確保のために体に装着する帯。ウエストに巻くベルトだけのものもあるが、一般には腿(の付け根)や腰、あるいは胸などをサポートするベルトが一体構造になっている。
【アンダーウエア】underwear{E}【ベースレイヤー】
下着のこと。
【アンダー手袋】
普通の手袋の下(中)に着る薄手の手袋。生地は絹やポリプロピレンなどが使われている。⇔オーバー手袋
アンデスさんみゃく【アンデス山脈】Andes
南アメリカ西部(太平洋側)にある6000m級の山脈。最高峰はアコンカグア(6960m)
【アンナプルナ】Annapurna
ヒマラヤ山脈中部にある高峰群。1950年にモーリス・エルゾーグが率いるフランス登山隊がアンナプルナに登頂したのが人類初の8,000m峰の登頂だった。そのころから【ヒマラヤ8000メートル峰】という言葉が使われるようになった。
あんぶ【鞍部】【コル】col{E,F}【ザッテル】Sattel{G}【たお】【撓】
二つの峰をむすんだ稜線上の凹所。鞍部(ザッテル)は馬に乗せる鞍のように、稜線上の低くたわんだ部分。乗越や峠はその山脈を越えていく道があるが、鞍部は単に低くなった部分をいう。col[首]。Sattel[鞍]。撓(たお)はたわむ、しなうこと。凹型に曲がっていること。
⇒コル。稜線
〔い〕
【い】【ゐ】【井】
水が集まりとどまるところ。湧き水のあるところ。水を汲み取るところ。
【イージーパンツ】
ズボンの一種。ウエストはゴムとドローコード、裾はゴムで絞ってある。股の部分は【ギクロッチ】というひし形の縫製で足さばき(股ひろげ)が良い。フリークライミングなどで使われている。
【イエティ】yeti{T} ゆきおとこ【雪男】abominable snowman【パンジャック】【メテ】
ヒマラヤ山中に住んでいるといわれている人間に似た謎の生物。実際に残っていた毛皮や足跡は、ヒマラヤに生息するヒグマの一種だった。北米では同種のものを【ビッグフット】という。
⇒山人
【イグルー】igloo{Es}
氷のブロックをレンガのように使って作る、ドーム型(お椀を伏せたような形)のエスキモーの冬の家。[家] エスキモー
いけ【池】/ みずうみ【湖】/ ぬま【沼】
陸水学では次のように分類している。
湖 = 水深5m以上で、水生植物が浅場にしか生えていない水域
沼 = 水深3m以下で、水生植物が水底全体に生えている水域
池 = 水深3m以下で、水生植物がほとんど生えていない水域
沼沢 = 水深1m前後で、水生植物が生えている水域
いしぐるまにのる【石車に乗る】【石車】
踏みつけた小石が転がって、バランスを崩したり転倒すること。
調子に乗って失敗すること。
いしづき【石突き】【スパイク】spike{E} いしつき
ピッケルやアイスバイルの柄の先端部。地面に突き立てるために、尖った金具を取り付けている部分。⇒ハーネス
いしむろ【石室】ぎょうや【行屋】
石を積み上げて作った小屋。⇒岩小屋
日本の登山黎明期には、石を積んで壁を作り、杉皮などで屋根を葺いた小屋が、森林限界より上にある山小屋の典型的な形だった。
いちまいがけ【一枚がけ】
プロテクション(確保点)とロープをつなぐとき、普通はクイックドローを使うが、それを使わずカラビナだけでロープをクリップ(通す)すること。カラビナを2個つなぐことを【二枚がけ】という。カラビナは1枚2枚と数える。
⇒プロテクション、ヌンチャク
いちぶかいほう【一部開放】
営業小屋などが冬期に閉鎖した後に、山小屋の一部を非常時のために使えるようにすること。
【いっぽん】【一本立てる】【いっぽん立てる】{s}
休憩すること。小休止。 ぼっか(山小屋へ荷物を運ぶ人)が休憩するときに、荷物の下に杖をあてがって荷物を浮かし、そのまま(荷物をおろさずに)立ち休みをしたことに由来する。その杖は先端がY字型になったもので【にんぼー】という。飛騨が発祥。
【いっぽんたてようか】=「ちょっと休憩しようか」。
⇒ぼっか、小休止
いっぱんむき【一般向きコース】
登山コースの難易度を表すもので、家族連れで気軽にいけるハイキングコースでもなく、熟練者や健脚者向きのハードなコースでもない中くらいのもの。難易度に明確な定義はない。
いどうせいこうきあつ【移動性高気圧】
春や秋に大陸から日本付近にやってきて三陸沖などに抜けて行く高気圧。初夏の移動性高気圧は晴天に恵まれ登山日よりになるが、寒い時期には好天が期待できない。
【イメージクライミング】
登る前に、どのホールドをどのようにつかんでどう登るか、頭の中で(ときに手や足を動かしながら)思い描くこと。
【イヤパッド】【イヤーパッド】ear pad{E}【イヤーフラップ】ear flap{E}【イヤマフ】earmuffs{E}
耳を寒さから守る衣類。帽子にある折畳式の耳当て。防寒用の耳覆い。マフは手を温めるために使う毛皮などでできた筒状のもの。pad[当て物], flap[垂れ蓋]
【いり】【入】
谷などの奥まった場所。
いりあいち【入会地】
一定地域の住民が山菜や薪などを採るために共同管理している土地。
【いろり】【囲炉裏】
農家や山小屋などの暖房設備。床に一辺4尺(1.2m)くらいの四角い穴を開けて、火を燃やせるようにしたもの。燃料は薪(まき)または木炭。
囲炉裏は火の神が住む神聖な場所であった。誰がどこに座るかその格によって決まっていた。庭に向かった位置を「よこざ」といい、その家の主人が座る席。
いわ【岩】
クライミングに関係する岩石の種類には次のものがある。
かこうがん【花崗岩】= 深成岩(マグマが地中深くで固まったもの)。白っぽい。表面が粗い粒でできていて、かなり硬いのでフリクションが効く。建築材として使うものはみかげいし【御影石】という。
あんざんがん【安山岩】= 火山岩。マグマが地上で固まったもの。暗灰色。墓石などにも使われる。
せっかいがん【石灰岩】= 堆積岩(珊瑚や貝殻が堆積したもの)。白色。水の浸食を受けて様々な形になる。セメントの原料として使われる。
【チャート】= 堆積岩(プランクトンが堆積したもの)。普通は乳白色だが不純物により赤、緑、灰色などになる。つるつるで指が滑りやすい。耐火煉瓦の原料になる。
ぎょうかいがん【凝灰岩】= 堆積岩(火山灰が堆積したもの)。もろい。
いわごや【岩小屋】
大きな石や岩が積み重なって洞窟のようになり、その中で人が寝泊まりできるもの。昔は、横尾、槍沢、涸沢などにも岩小屋があって小屋代わりに使っていた。⇒石室
?!都市部にある場合は、ウサギ小屋という!?
いわば【岩場】
岩の多いところ。クライミングをする岩の壁。岩につかまって登り降りをするようなコース上の難所。
いわとゆき【岩と雪】【岩雪】
山と渓谷社が発行していた登山雑誌。1958年〜1995年に発行された。クライミングや冬山などやや高度な登山をテーマとしていた。
現在は【ROCK & SNOW】に誌名を変えている。
いわな【イワナ】【岩魚】
渓流に住むサケ科の魚。ヤマメより上流に住む。
いわやま【岩山】
岩のごつごつした山。岩ばかりで大きな木があまり生えていない山。
【インクノット】【クローブヒッチ】clove hitch{E}【巻き結び】【マスト結び】
ロープの中間を杭やカラビナに結ぶのに使う結び方。2つの輪を重ねたような結び方。
【インクライン】incline{E}【モノレール】monorail{E}
斜面にレールを敷き、動力によって鋼索を引いて台車を動かし、材木などの貨物を運ぶ装置。incline[傾く]
山間地で見かけるモノレールは、単軌上を小型のエンジンで自走して荷物を運ぶ。
【インゼル】Insel{G}
氷河や雪渓の中に島のように出た岩や地面の部分。[島]
【インソール】insole{E}
靴の中敷。サイズ調整、衝撃吸収、靴擦れ防止、フィット、防臭・抗菌、保温などの目的で靴の中にいれる敷物。それぞれの目的によって種々のものがある。
⇒ソルボ、シダス。
【インドアクライミング】
屋外の岩場でなく、屋内に設けた人工壁を登ること。
【インナー】inner{E}
二重靴(高所用の登山靴)の内側の靴。インナーウエア(下着)。[内側の] ⇔アウター
【インナーウエア】inner wear{E}
下着と上着の間に着る衣類、中間着。下着の意味でも使われる。下着は【アンダーウエア】underwear ともいう。中間着は【ミッドレイヤー】mid layer ともいう。上着は【アウターウエア】outer wear。
【インナーフレームザック】inner frame sacks{E}
フレーム(骨組み)つきのザックだが、フレームが露出せず、ザックの内部にあるタイプ。
【インパクト】impact{E}
(1)衝撃。クライミングで墜落した時のショック。
(2)登山者が自然に与える影響。⇒ローインパクト
〔う〕
【ウィークエンドパック】weekend pack{E}
大型のデイパック。1泊2日くらいの装備を入れられるザック。
【ヴィバーク】Biwak{G}
野宿をすること。⇒ビバーク
【ウィルダーネス】wilderness{E}【ウイルダネス】
荒野。広野や荒れ地、人間の手が入っていない自然環境。自然と調和しながら生活すること。
【ウィンドクラスト】wind crust{E}
強い風の影響を受けて雪の表面が固く凍結したもの。⇒クラスト。
【ウインドヤッケ】Windjacke{G}【ウィンドブレーカー】Windbreaker{c}
【防風衣】
防風・防寒のための上着。wind[風],jacke[上着]。ウインドブレーカは米国の商標。
【ウィンパーテント】Whymper tent さんかくがたテント【三角型テント】【ミードテント】meade tent{E}
エドワード・ウィンパー(Edward Whymper)が1862年に開発したテント。三角柱を横に置いたような形をしており、当時のテントとしては耐風性に優れていた。後の登山テントの基本型となった。
⇒テント。⇔ドーム型テント。
日本では明治42年(1909)に小島烏水が片桐に作らせたものが最初。総重量は7kgもあった。
【ウェーデルン】wedeln{E}
スキーで連続的に小さな回転(方向転換)を繰り返しながら滑る技法。[腰を振る]
【ウエストバッグ】waist bag{E} 【ウエストパック】waist pack{E} 【ウエストポーチ】waist pouch{E}
ベルトで腰に取り付けるようにした小型のザック。ポーチは小物入れ。bag[かばん] pack[包み] pouch[小袋]。⇒パック
【ウェディングシューズ】【ウェーディングシューズ】wading-shoes{E} けいりゅうぐつ【渓流靴】
沢登りや川を渡るために設計された靴。wade[水や泥の中を歩いて通ること]。
ソール部(靴底)はポリプロピレン製のフェルトなどでできていて、濡れた岩の上でも登山靴よりも滑りぬくい。
⇒地下足袋、わらじ
【ウォータノット】water knot{E} ふじむすび【ふじ結び】
スリングなどテープをつなぐときに使われる結び方。
⇒ リング・ベンド
【ウォータバッグ】water bag{E}【ウォータキャリー】-carry{E}【ウォータコンテナ】-containers{E}
水を運ぶための袋。防水コートしたナイロン生地などでできている袋で、取っ手や肩掛けベルトが付いている。bag[袋], carry[運ぶ], container[容器]
【ウォータプルーフ】water proof{E}【ウォータレジスタント】-resistance{F}
ウォータ・プルーフは防水、防水構造であること。ウォータ・レジスタントは耐水。proof[〜に耐える], resistance[抵抗する]
【ウォッチング】watching{E}
自然観察をすること。【バードウォチング】野鳥を観察する、【スターウォチング】星を観察する。
うおどめ【魚止め】【魚留め】
滝や大きな段差がある沢の部分。魚の遡上を阻む場所。魚がそこから上流に進めないという意味。
うがん【右岸】/ さがん【左岸】
谷や沢を上流から下流をみて、右側の岸を右岸、左側を左岸という。これは地理学上の用語で、沢登りでは「右手・左手」という言い方も使われる。
⇒みぎ・ひだり
うきいし【浮き石】【アンサウンドロック】unsoundrock{E}
不安定で崩れやすい(地面にしっかりくっついていない)岩や石。 unsound[しっかりしていない]。⇒フレーク
?!水に浮く石は軽石である!?
うきしま【浮島】
湿原地帯の池塘(池)の中にできた、水草が生えた土の塊が、地面から離れて水に浮かび漂うようになったもの。
うしくび【牛首】
左右から谷が迫って細くくびれた尾根。両側から山が迫ってきて細くくびれた谷。これは牛の首のように細くなっているところからきているが、山名につくばあいは、山の形が牛の頭部に似ていることからきたものが多い。
うしもどし【牛戻し】
道が険しくなって、荷物を運ぶ牛がそれ以上進めなくなる地点。「馬返し」も同じ意味で使われることもある。
【うと】
(1)両側が高く切り込んだ狭い道。狭い谷。⇒切り通し
(2)樹木の幹にできた穴。うろ。
うまがえし【馬返し】
馬から下りて徒歩で登り始める地点。信仰の対象になっている山では、神聖な場所に牛馬を入れることを避けた。馬返しが本来の登山口。
うまのせ【馬の背】うしのせ【牛の背】
両側が切落ちた谷になっているような(狭い)尾根。馬の太鼓胴のように、鎌尾根よりも広い尾根をいう。⇔ナイフリッジ
うめこみ-【埋め込みボルト】【埋込ボルト】
岩にドリル(切削工具)などで穴を開けて埋め込んだボルト(金具)。ハンマーでボルトを穴に叩き込むと、ボルト内のくさびによってボルトが拡張し岩に固定する。ボルト(bolt)は雄ネジのこと。内部にネジが切ってあり、スパナ(締め込み工具)で回転すると拡張するタイプもある。
うもうふく【羽毛服】【ダウンジャケット】down jacket{E}
水鳥の胸毛を断熱材に使った防寒着。
⇒ダウン
うりょう【雨量】
地上に降った雨の量を表す。降った雨が、流れたり地面に染み込んだりしないで、そのまま地面にたまったとした場合の深さをmmで表す。
1時間の雨量が3mm以下のものを【小雨】、15mm以上のものを【大雨】という。
うれつ【雨裂】
雨水が流れて地面にできた溝状の地形。⇒ガリー
【うろ】
樹木の幹などにできた空洞。
うんかい【雲海】
山頂などから見下ろしたときに、山腹などに、海のように一面に(平らに)広がって見える雲。
?!高い山から眺めると低い山が島のように見えて爽快な気分になる、うんそうかい!?
うんぴょう【雲表】
雲の上。高山に行くことを【雲表の旅】という。
〔え〕
【エーデルワイス】EdelWeiss{G}
欧州アルプス地方に原産する高山植物、セイヨウウスユキソウ。ヨーロッパでは【アルプスの星】という。
日本のミヤマウスユキソウは近縁種。アルピニズムの象徴的な花。言葉の意味は「高貴な白」
【エアリア】
(株)昭文社が発行している登山ガイド地図【エアリアガイド】。国内のほとんどの山域を網羅しており、コースタイムなどがかなり正確なので、登山の標準的なガイド地図になっている。
えいせいほう【衛星峰】
大きな山や山頂を取り巻くようにある山やピーク。
【エイト環】-かん eight-ring{E}
8の字の形をした金属製(ジュラルミンなど)の器具。懸垂下降(ロープにぶら下がって降ること)やクライマーのビレイ(確保)などに用いる。
⇒デセンダー、ATC
?!悪い宇宙人を懲らしめることはできない!?
【エイリアン】
コロラド・カスタム・ハードウエア社が開発したカム。カムとは半円形の歯車を複数組み合わせた、プロテクション(確保支点)用の器具。
えいりんしょ【営林署】【森林管理署】
国有林を管理している林野庁の出先機関。平成10年に営林署を統合して森林管理署に組織再編した。
【エギィユ】aiguille{F}【ニードル】needle{E}【ナーデル】Nadel{G}
針のように鋭く尖った岩の峰。針峰。アルプスのモンブラン山塊にある針峰群が有名。[針]
【エキスパート】expert{E}
熟練者。経験を積んで高度の技術を身につけた登山家。
【エクスペデション】expedition{E} えんせい【遠征】
遠方にある山へ登るために出かけること。またはその登山隊。遠征隊。
?!世の中が嫌になって登山ばかりにふけること!?
【エコロジー】ecology{E} Okologie{G}
生態学。動植物と自然環境との関係を研究する学問。
【エスキモー】Eskimo{De}
北極圏に住むモンゴル系の先住民族。カナダ北部に暮らしている民族を「イヌイット」といい、アラスカには「ユピック」や「イヌビアック」など多数の民族がいる。「エスキモー」には[生肉を食らう人]の意味もあり、カナダではその名の下に差別が行われたので、カナダの先住民はそう呼ばれるのを嫌う。アラスカの先住民は自ら「エスキモー」といっている。
【エスケープ】escape{E}
目的とするコースでアクシデント(事故)が発生して、目的を変えたりルートをかえたりすること。
【エスケープルート】{J} 非常時に避難したり、危険箇所を回避するための道。
?!仕事をサボって山へ行くこと!?
えだおね【枝尾根】
大きな尾根から枝分かれた小さな尾根。主稜線から派生した副稜線。支尾根、支稜。
⇒おね
?!ビールのつまみにはならない!?
えだおり【枝折り】しばおり【柴折り】
山中をゆくとき、後からくる人のためや自分が引き返すときのために、目印として樹木の枝を折ること。書籍にはさむシオリは柴折りが語源だとする説がある。
【エッジ】edge{E}
(1)岩の角。岩稜・雪稜。[刃 端 へり]。⇒リッジ
(2)スキーの板の端の部分。【エッジを効かす】とは、膝を横に曲げてエッジ部を雪面にくいこませる操作をいう。
【エッジング】
クライミングにおいて靴の角(エッジ)=(ソール部の側角やつま先)を岩のでこぼこに当てて足場を確保すること。⇒スタンス。
【インサイドエッジング】=靴の内側(親指側)のエッジを使うもの。【アウトサイドエッジング】=靴の外側(小指側)のエッジを使うもの。
えつねんせつ【越年雪】【越年雪渓】【多年生雪渓】
夏の終わりに解けきらずに残る雪や雪渓のこと。
【えびのしっぽ】【海老の尻尾】
風に飛ばされた雪や過冷却水滴が、岩角や樹の枝に付着したもの。風上側に成長する。その形がエビのしっぽに似ていることから。
⇒樹氷、霧氷 ?!あいにく天ぷらにしても旨くない!?
【エベレスト】Everest{E}【チョモランマ】Chomolungma{T}【サガルマータ】Sagarmatha{Np}
ヒマラヤ山脈にある世界の最高峰。標高8850m。この山が世界の最高峰であることを測量したインド測量局の初代長官 George.Everest の名にちなむ。最近は、チベット名のチョモランマが使われることが多い。チョモランマは、元々はひとつのピーク(エベレスト山)の名ではなく、その辺り一帯の山域を指す名であったようだ。チョモランマは[大地の母神]、サガルマータは[宇宙の頭](天空の頂)の意味。
えぼし【烏帽子】
元服した男子がかぶる帽子。貴族がかぶる帽子。山名につく場合は、山の形が烏帽子に似ているものが多いが、烏帽子はかぶる人の階級や年齢によって種々の形がある。
【エマージェンシー】【イマージェンシー】emergency{E}
緊急事態、非常事態。
【エマージェンシーバッグ】【ピンチバッグ】緊急事態に備えて、非常食、燃料、医療機器などの装備をコンパクトにまとめたもの。
【エマージェンシーシート】emergency-sheet{E} 【レスキューシート】rescue-{E}
極薄のアルミ製シート。たたむとカセットテープくらいの大きさになる。ビバーク(野宿)などで毛布のように体に巻き付けて体温の発散を防ぐ。⇒ビバーク
【エマージェンシーレッド】emergency red{E}
オレンジがかった赤色。遭難のときに発見されやすいような目立つ色。
えんちょう【円頂】
ドーム型の丸い形をした頂上。ドーム。
〔お〕
【オーダー】order{E}
並ぶ順番。隊列内の順序。 [命令、順序]
一般の登山では、先頭にサブリーダーがおり、その後に初心者が続き、順次 中・上級者が続き、最後尾にはリーダーがいるという順番に並ぶのが標準のオーダー。
クライミングでは、2人でアンザイレン(ザイルでつなぎあう)するばあいには、先頭をトップ、またはクライマー、二番目をラストまたはビレーヤーという。ただし、二番目が登っているときには、二番目がクライマー、一番目がビレーヤーという。3人以上でアンザイレンする場合には、中間にいるものをミドル(ミッテル)という。
【オーバーシューズ】overshoes{E}【オーバーゲーター】over gaiters{E}
防寒や雪の侵入を防ぐために、靴から脚(膝頭の下)までをすっぽり覆うカバー。
靴底も含めてすっぽり覆っていまうのがオーバーシューズ、底はないが甲まで覆うものがオーバーゲーター、膝頭の下から足首あたりまでを覆うものがロングスパッツ。オーバーシューズはアイゼンやワカンと併用して使う。gaiter[ゲートル]。スパッツ
英語の諺「Over shoes, over boots. 毒を食らわば皿まで」
【オーバーズボン】{J}
防寒・防風のために、ズボンの上に履くズボン。裾がファスナーで開き、靴を履いたままで抜きはきできるようになっている。
【オーバー手袋】【オーバーグローブ】over glove{E}
普通の手袋の上に着る手袋。親指だけ離れていて他の4本がいっしょになったタイプは【オーバーミトン】という。
⇒ミトン。⇔アンダー手袋
【オーバーハング】overhang{E}【ユーベルハーゲン】ueberhaengen{G}
庇(ひさし)のように頭上に覆いかぶさるように突き出た岩壁。垂直よりもきつい(手前に倒れた)傾斜の岩場。単に【ハング】ともいう。壁の傾斜度がゆるい場合は【かぶりぎみ】といい、それより急になると【かぶっている】【かぶった】という。さらに急になり、せり出しが大きくて天井のようになっているものは【ルーフ】【屋根】【ひさし】という。
【オーバーナイト】over night{E}
自然の中で寝泊りすること。夜を楽しむといったニュアンス。
【オーバーユース】overuse{E}
酷使、過剰利用。特定の山に登山者や観光客が集中して自然破壊などの悪影響が出ること。
【オールウエザージャケット】all-weather jacket
全天候上着。透湿防水素材を用い、雨・雪・風・寒さを防ぎ、蒸れない上着。
おいわけ【追分】
街道が二つに分かれる地点。
【おいらん歩き】【花魁歩き】【がに股】
ワカンをつけたときの歩き方。自分の足を踏みつけないために、後ろ足を外側に大きく振り出して前に移す歩き方。花魁(遊女、女郎)道中の花魁の歩き方に似ているため。
おうけつ【甌穴】かめあな【瓶穴】【ポットホール】pothole{E}
渓谷の岩にできた円形の穴。岩の窪みに石や砂礫が入り、水流によって回転して岩を削ってできる。大きさは数cmのものから数十mのものまでさまざまある。
おうこく【横谷】
山脈を横切って流れる谷。山脈に添って流れる谷は じゅうこく【縦谷】。
おうだん【横断】【横断登山】
山脈や川を越えて(横切って)行く登山形式。
横断とは、細長いものを横に断ち切るように移動すること、または大陸や大洋を東西方向に移動すること。縦断とは、長手方向に移動すること、または南北方向に移動すること。
おおやまつみのみこと【大山祗命】【大山祗神】
山の動物や植物や鉱物などすべてをつかさどる(支配している)山の神様。
【おかん】{s}
テントやシュラフなどの露営用具を使用しないで、着の身着のままで野宿をすること。もともとはルンペン(ホームレス)の俗語だった。語源は「邯鄲の夢」から。⇒露営、ビバーク
?!「暖かい酒」があると極楽になるが、無いと「寒気を感じる」!?。
※ 邯鄲の夢(かんたんのゆめ)とは、唐の慮生(ろせい)が邯鄲という町で道士の枕を借りて寝たところ、一生の栄華を夢見て、人生のはかなさを悟ったという故事。
おくへき【奥壁】
谷の源頭部に聳え立つ大きな岩壁。
おくやま【奥山】
集落の近くにある【里山】に対する語で、人間の生活空間から遠く離れた山(山の中)
おたすけひも【お助け紐】
例えば、直径6mm、長さ5〜10mくらいのロープ。沢登りなどで、ザイル(登攀ロープ)を出すほどではないが、ちょっとロープが欲しいといったときに使う。
おちぐち【落口】
滝の水が落ち始めるところ。滝の上端。
おとこやま【男山】おんなやま【女山】
二つの山が対になっているとき、険しくて高い山を男山、なだらかで大きな山を女山という。山名に男女/雌雄の字がつく山は、このような対になっているものが多い。アイヌ語ではピンネシリ(雄)、マチネシリ(雌)という
おね【尾根】 ridge{E}
山頂と山頂の間に連なる高い部分。ひとつの谷ととなりの谷との間の高い部分。
【主尾根】山頂と山頂を結ぶ尾根。【枝尾根】【支尾根】山頂から谷へ向かう尾根
⇒稜線、リッジ
おはなばたけ【お花畑】
高山植物が群生している場所。
おはなをつむ【お花を摘む】【花摘み】{s}
女性が野山で(トイレがない場所で)用を足すこと。その姿が高山植物を摘んでいるのに似ているため。男性は使わない。
⇒きじうち
【オブザべーション】observation{E}
アルパインクライミングなどで、登る前に岩の状態を確認したりルートを探すために、岩場を観察すること。[観察]
【オベリスク】obelisque{F}
(1)山頂にそびえる岩の塔。地蔵岳や燕岳が有名。
(2)花崗岩の一本石で作る、底面が四角で尖った(四角錐)塔。[方尖塔]。古代エジプトの記念碑で【クレオパトラニードル】ともいう。obelos{Gr}[串]。⇒ニードル
おむろ【御室】
信仰登山で発達した山小屋。⇒石室
【おのぼりさんで】【おくだりさんで】
霊山の登山において、山を降ってくる信者は登ってくる信者に「お上りさんで」と声をかける。登る者は降る者に「お下りさんで」と返事をする。⇒六根清浄
山男はそんな上品な挨拶はしない。「ちわ〜」「ちわっす」などと野蛮な言葉を交わす。
【オリエンテーション】orientation{E}
方位、定位。磁石を見ないで方向(東西南北)を判定する能力。地図や磁石なしでも道に迷わない能力。⇒ルートファインディング
【オリエンテーリング】山野で、地図と磁石を使って指示された地点を巡る競技。
おりと【折戸】
峠を下りついたところ。峠道を下ってきて平地になるところ。
【おろく】{s}
遺体を意味する俗語。語源は「南無阿弥陀仏」の6文字からなど諸説ある。派生語に【ろくる】=死ぬ【ろくった】=死んだ、などがある。
【おろし】
山を越えて吹きおろしてくる風。その風が高温で乾燥しているものを【フェーン】Foehn{G}といい【風炎】と書く。
【オンサイト】on site{E} 【オンサイトフラッシュ】しょけん【初見】【アビュー】{F}
フリークライミングにおいて、初めて見るルートを1回も落ちずに登りきること。
一番高度な登り方。クライマーは事前にルートのグレイドやプロテクションの数などについて説明は受けても、他人の登りを見ることも、ムーブに関する説明を受けることも許されない。
⇒レッドポイント
ルートの説明を受けても、他人の登りを見ても、ともかく一回で登攀に成功することを【一撃】または【フラッシュ】という。