〔は〕

【パーカー】parka{E} anorak{Es}

フード(頭巾)がついたアノラック風の防寒服。もとはエスキモーやスカンジナビア人が着ていた、フードが着いた丈の長い毛皮の上着。⇒アノラックヤッケエスキモー

【ハーケン】【ムンターハーケン】Mauner Haken{G}【ピトン】piton{F}【ペグ】peg{E}

ロッククライミングで、確保支点を作るために、岩の割れ目に打ち込む鉄くさび。19世紀の終わりごろにアルプス東部地方で使われだした。そのころは額縁かけをハーケン代わりに使い、拾った小石をハンマー代わりにして打ち込んでいた。Mauner[壁],Haken[鉤]。⇒三つ道具
日本語のペグはテントの裾や張り綱を地面に固定するための大釘(杭)をいう。
 ハーケンを打ち込むとき、しっかり効いていると、ハーケンの音がしだいに「キンキン」という甲高い音に変わっていく、この現象を【ハーケンが歌う】【ピトンが歌う】と表現する。
ハーケン

【バージンスノー】vergin snow{E} しょじょゆき【処女雪】

まだ誰にも踏まれていない降り積もったばかりの雪・雪原。

【バージンソイル】vergin soil{E}

未踏の土地、人間が入ったことのない地域。soil[土]

【パーティ】party{E}

いま行動中の登山グループ。いっしょに山登りを行う仲間やグループのこと。軍隊のように統率が取れた集団をいう。
いっしょに山登りをすることを【パーティを組む】という。
?!山で宴会をすること!?

【バードウォッチング】bird watching{E} たんちょう【探鳥】

自然環境の中で野鳥を観察すること。
?!鳥が人間の行動を観察すること!?

【ハードコース】hard course{E}

体力的に厳しい(きつい)コース。

【ハーネス】climbing harness{E}【ゼルプスト】Selbstseil{G}【ボードリエ】baudrier{F}【ゼルバン】{s}【安全ベルト】【安全帯】

クライミングで、安全確保のために使うベルト。初期にはザイル末端を直接ウエストに結んだり、数メートルのザイルを安全ベルト代わりに使った。ハーネスは腰や腿、あるいは胸にとりつけるベルトを一体化したもので、墜落時の衝撃を前記のものより和らげることができる。1960年代に人工登攀が行われるようになってから使われるようになった。
harness[馬車馬に付ける革ベルト]。?!クライマーは馬なみということ!?。Selbst[自分で]。ゼルバンは、ゼルプスト・バンドから。baudrer[剣をつるすための負い皮]
 ハーネスの種類
【レッグループタイプ】=ウエストと太股(の付け根)を保持するタイプ。現在の主流
【シットハーネス】=ウエストと腰を保持するタイプ
【ベストハーネス】【チェストハーネス】=胸部を保持するタイプ。chest[胸]
【スワミベルト】【クライミングベルト】=ウエストベルトのみのタイプ
【フルボディ】=レッグループタイプとベストハーネスを一体化した形。落下傘型
 ハーネスの部品
【ウエストベルト】=腰(胴回り)に掛かる帯
【レッグループ】=太股の付け根にかかる輪
【ビレイループ】=ウエストベルトとレッグループをつなぐ輪。ロープを結ぶための輪 ※
【ギアラック】=登攀具を掛けるためのひも
【バックル】=ウエストベルトの留め金
※ ハーネスに登攀用ロープを結ぶときは、ウエストベルトとレッグループに掛かるように、直接(カラビナを使わずに)結びつける。

【ハーネス】Harness{E} 【ハーネスリング】

ピッケルのシャフト(柄)と石突き(とがった先端部)との間のリング部。
 ハーネスは、前項のように馬車やそりを引く馬、牛、犬などに取り付けるハミ(口にかませる器具)や腹帯のことだが、バラバラになるものをひとまとめにしたものの意味でも使われる。電子機器で使われる、細い電線をひとまとめにしたコネクターなど。本項の用法はそれに近い。

【ハイカー】hiker{E}

徒歩旅行者。ハイキング(野山歩き)をする人。

【ハイキング】hiking{E}【ハイク】hike{E} とほりょこう【徒歩旅行】

自然に親しむために野山を歩くこと。標高のあまり高くない山に登ること、軽い登山。命名者はボーイスカウトを創設したペイデン・ハウエル将軍。米語のhikingは日本語の縦走やトレッキングに相当する長大なものを含む。⇒登山
【ハイキングシューズ】=ハイキング用の軽登山靴。
【ハイキングコース】{J}=ハイキングに適した道(コース)。あまりきつくない登山道。

【ハイシーズン】{J}

登山者の多い季節。登山シーズンの盛り時。

はいどう【廃道】

崩壊したり他に新道ができるなどして使われなくなった道。

【ハイドレーションシステム】

水筒の本体がザック内にあって、ホース(チューブ)が出ており、ザックを背負ったままで水を飲むことができる仕組み。hydro-[水の] ration[糧食]

【ハイマートベルク】Heimat berg{G}

ふるさとの山。自分がホームグラウンドとする山。Heimat[故郷] berg[山]

【ハイマツ】【はいまつ】【這松】

中部以北の高山に自生している松の一種。尾根筋では強風のために幹が地面を這うように成長する。風や雪の影響が少ない場所では、直立する。
【這松帯】ハイマツが分布している地帯。

はいめんちょう【背面長】【バックレングス】

ザックの背面において、ショルダベルトの付け根からヒップベルトまでの長さ。
多くの大型ザックには【背面調整システム】があり、背面長を調整して体に合わせることができる。自分の体の第7頸骨(首の後にある飛び出した骨)から腰骨までの長さに背面長を合わせる。

【パウダースノー】powder snow{E}

粉雪。湿り気が無く、粉末のようにさらさらしている雪。powder[粉]

ばかおね【馬鹿尾根】

単調で面白みがなく、ただ疲れるだけの尾根道。そこを行くことがバカバカしいから。
?!尾根が馬鹿なわけではない。馬鹿なのは人間の方!?

【ばく】【瀑】

滝。飛び散るしぶきが多い滝。【飛瀑】高いところから落ちる滝。【瀑布】水がまるで布をたらしたように見える滝。

ばくえい【幕営】

テントを張ること。キャンプをすること。⇒露営
【幕営地】キャンプ場。【幕営用具】キャンプをするための道具・装備。

【バケット】bucket{E}【バケツ】【ガバ】{s}

岩壁や氷壁の、大きなホールド(手掛かり)やスタンス(足場)。がばっと掴めるホールド。
氷壁にピッケルで必要以上に大きな足場を作ると【バケツを掘る】と嘲笑される。?!つまり墓穴をほるわけだ!?

【はこ】【函】

渓流の両岸から岩壁が迫ってきて箱のように見えるところ。廊下。⇒ゴルジュ
?!物を入れるための器!?

はちのじむすび【8の字結び】

結び目が数字の8の字の形になるロープ結び方。クライミングでは二重8の字結びを使うが、それを単に8の字結びともいう。⇒ダブルフィギュアエイトノット

はつゆき【初雪】はつかんせつ【初冠雪】

その年の最高気温が記録された後にはじめて降った雪が初雪。
山麓(山麓近くにある観測所)から山体が雪に覆われたのを初めて観測したのが初冠雪。

【パッキング】packing{E}

ザックなどに荷物をつめること。詰め方。
昔、キスリングザックを使っていた時代では、パッキングの上手下手で登山歴が知れた。
【パッキング三年】=登山を3年くらいやらないとパッキングが上手にできない。

【パック】pack{E}

包み。人間が背負ったり、馬や牛の背に乗せるようにした包み。
小型のザックをパックと呼ぶことがある。⇒デイパックウエストパック
【バッグ】bag{E}は袋や鞄のこと。⇒ザック

【バックアップ】backup{E}

例えば、ひとつのプロテクション(確保点)が外れたときに備えて、複数のプロテクションを取っておくなど、万一のための予備のシステム。[支援]

【バックカントリー】backcountry{E}

スキー場など管理された場所ではない自然の野山を、スキーやスノーボードで滑ったり、スノーシューで散策したりすること。[裏山]

【バックパッキング】backpacking{E}

荷物(テントやシュラフなど)を背負って山野を旅すること。徒歩旅行。背負って運ぶ荷物、またはザックに荷物を詰めること。
1968年ころ米国の若者たち(ヒッピー)が始めた運動。彼らが使ったフレーム付きのザックを【パックパック】という。⇒ワンダーフォーゲル

【バッケン】Backen{G}

スキー靴の前部を両側からはさんでスキー板に固定するための金具。耳金。[側部]

【ばっしょう】【跋渉】

山を越え野を越え川を渡って、歩き回ること。⇒徒渉

はっこつりん【白骨林】

立ち枯れた樹木が作る林。樹皮がなくなり木質部が露出して白骨のようになっているため。
石鎚山の白骨林

はっすい【撥水】water repellent{E} /【防水】water proof{E}

撥水は水をはじく性質。水滴は水玉になって素材の表面を転がる。防水は水を通さない性質。
撥水加工をした布は、透湿性があり、衣類に使うと蒸れない。しかし、水圧がかかると水を通してしまう。防水加工をした布は、水圧がかかっても水を通さない。

はっすいかこう【撥水加工】

衣服などを、水滴をはじくように加工すること。フッ素系化合物などを生地の表面に付着させると、水が繊維の間に染み込む前に水滴としてはじかれるようになる。
シリコン系の化合物を主成分とするものは、繊維と繊維の間を埋めてしまうので透湿性が損なわれる。

はつとうちょう【初登頂】/ はつとうはん【初登攀】【ファーストアッセント】first ascent{E}

初めてその山の頂上に登ることが初登頂で、ひとつの山については1回しかない。頂上まで誰も登っていない山を【未踏峰】という。⇒付録・初登頂の記録。⇒登攀
すでに登頂された山でも、誰も登ったことがないルートから登れば初登攀になる。必ずしも頂上に到着しなくてもいい。

【バットレス】buttress{E} きょうへき【胸壁】

山頂や稜線の直下にあって、それを支えるかのように切り立っている岩壁や岩稜。谷に向かって立ち並ぶのっぺりした大岩壁。北岳バットレスなど。
バットレスは、元は建築用語で、壁を補強するために作られた、壁から直角に張り出した一定間隔で並ぶ柱のような支えのこと。控壁。登山では壁の意味が強い。

【バテる】【ばてる】

すっかり疲れて動けなくなること。語源は「果てる」から。⇒しゃりばて

【パドル】puddle{E}

氷の上にできた水たまり。[水溜り]。船の櫂(かい)はpaddle{E}

【はな】【鼻】【端】

尾根の先端。主に枝尾根などを横から見たときに使う。枝尾根を横切って(乗り越えて)ルートがついているとき【山の鼻を回る】という。⇒尾根。枝尾根とは、頂上から谷に向かって伸びている尾根。

はやだち【早立ち】はやづき【早着き】

山小屋やキャンプ地を朝早く(例えば日の出前に)出発し、次の宿泊地に早く(例えば午後3時)に到着すること。
?! お日さまと、お月さまと、お星さまが山小屋に泊まった。翌朝、お星さまが目を覚ましたら、二人は早立ちしていた。「なるほど、月日のたつのは早いものじゃ」!?

【バリエーション】【バリエーションルート】variation route{E}

一般的でない、より困難な登山路、登攀ルート。variation[変化・変種]

はるいちばん【春一番】

立春から春分の頃に初めて吹く強い南風。日本海を通過する低気圧に向かって吹き込む南からの暖かい風で、突風、落雷、雪崩が発生するなどして遭難事故を引き起こすことがある。もとは壱岐や対馬の漁師が使っていた言葉。

【バルジ】bulge{E}

岩壁の丸くせり出しているところ。[丸いふくらみ]

【ハロゲンランプ】halogen lamp{E}

よう素などのハロゲンガスを封入した電球。
電球は、封入されている気体によって発光効率が違う。明るい順に【ハロゲン】-【クセノン】xenon-【クリプトン】krypton-【アルゴン】Argon- 《真空(気体が入っていない電球)》。
他に発光原理が異なる【LED】(発光ダイオード)がある。

【パワーブースター】 【パワーチャージャー】【パワーリフター】

ガス・カートリッジの燃焼効率を高める器具。ガス・ストーブは、ガスが燃える際の気化熱によってタンク(カートリッジ)が冷えてガスの出が悪くなる。熱伝導を利用してバーナーの熱をタンクに伝え暖める。⇒ストーブ

はわたり【刃渡り】

ナイフエッジの(横幅の狭い)尾根を通ること。そうした地形。

【バンガロー】bungalow{E}【キャビン】【ケビン】cabin{E}【コッテージ】【コテージ】cottage{E}

キャンプ場などに建てられた丸太小屋、簡易宿泊施設。
bungalow[ベンガル風の](ヒンディー語)。cabin[丸太小屋、船室]。cotteage[いなか家]

【ハング状】

オーバーハングになっていること。岩壁などがひさし(屋根)のように手前に張り出していること。

【はんごう】【飯盒】

焚き火で飯を炊くための携帯用の釜(器)。アルミなどで作った底の深い炊飯用の鍋。
器の断面は片方がくびれた(への字に曲がった)楕円形になっており、針金の取っ手がついている。炊飯容量は4合。中蓋には2合の米が入る。
日清戦争のころに作られ、かつて軍隊やキャンプ・登山で用いられたが、登山用のコンロで使うには熱効率が悪いため最近はあまり使われない。⇒コンロコッフェル

【バンダナ】bandanna{E}

絞り染めや更紗模様の大型ハンカチーフ状の布。首に巻いてネッカチーフにしたり、頭に巻いて汗止めにする、怪我をした時には三角巾にもなるなどいろいろ使える。[絞り染め]。更紗(さらさ)とは、人物や草花など模様を染め抜いた綿布。

【ハンディGPS】Handy global positioning system{J}

小型のGPS装置。自動車に搭載する【カーナビゲーションシステム】と同様に人工衛星を使って現在位置を知る装置で、登山でも使える小型軽量のもの。現在位置の緯度経度や高度、目的地への方向や距離、歩いた軌跡を表示するなど種々の機能がある。地図(1/200,000や1/25,000など)を表示できるものもある。

【バンド】band{E}

岩棚。広狭をとわず、岩壁の途中にある帯状に長い平らなものをいう。[ひも、帯、楽団]
かろうじて足場になるものは【スタンス】、確保ができるくらいの小棚は【レッジ】、2〜3人が休めるものを【テラス】、もっと広いものは【バルコニー】あるいは【踊り場】という。?!アルペン踊りができるのは小槍の上!?

【パンプ】{s}

極度の筋肉疲労で腕や足などが動かなくなること。pumped out(疲れきる)からか。

【ハンモック】hammock{E}

木や岩壁などに吊るして使う、網や布地でできた簡易ベッド。

はんマストむすび【半マスト結び】【ムンターヒッチ】【ハーフクローブヒッチ】【イタリアンヒッチ】

マスト結び(インクノット)の巻きが半分の結び方。ザイルが「の」の字の形になる。ザイルの途中にカラビナを仮固定するときなどに使われる。⇒インクノット
半マスト結び

〔ひ〕

【ピーカン】【ぴーかん】{s}

天気が良いこと。快晴で、紺碧の空がひろがっているさま。
たばこのピースに缶入りのものがあり「ピー缶」と俗称する。そのラベルの色が紺碧(こんぺき=黒っぽい青)であることから「ピー缶のような空」という表現が出た。

【ピーク】peak{E}

頂上のこと。山のてっぺん。山の尖っている部分。稜線上の突起部。⇒にせピーク

【ピークハント】peakhunting{E}

頂上に立つことを目的とする登山。例えば、深田久弥の著書「日本百名山」に載っている山を片っ端から登ること。本来は初登頂を目指す登山のこと。⇔縦走

【ビーコン】beacon{E}【雪崩ビーコン】【アバランチビーコン】avalanche beacon{E}

雪崩に巻き込まれた人を発見するための電波送受信機。beacon[のろし、かがり火]。⇒ゾンデなだれひも
 各自が1個ずつ持ち、雪崩が発生しそうな場所を通過するとき、送信状態にしておく。雪崩が起きたら、巻き込まれなかった者が受信に切り替えて、雪に埋まっている者を探索する。信号音やランプの点滅で送信機と受信機の距離がわかる。475kHzの周波数を使い、100m位の範囲内で探索できる。

【ピオレトラクション】PioletTraction{F}

氷壁を登攀する技術のひとつ。ピッケルアイスバイルを両手に持ち、交互に振りかぶって氷壁に突き刺す。これで体を支えているときに、アイゼンの前爪を氷壁に蹴り込んで体を引き上げる。この動作を繰り返して氷壁を登る技法。1970年代にフランスの登山家ワルター・セキネルが開発した。piolet[ピッケル] traction[牽引]。
 アイゼンの前爪による蹴り込みを【クランポナージュ】{F}、ピッケルの打ち込みを【アンクラージュ】{F}という。ピッケルとアイスバイルを両手に持って登攀する技法を【ダブルアックス】{E}、アイゼンの前爪で登攀する技法を【フロントポインティング】{E}という。ピッケルと手首とを繋ぐベルト(ピッケルバンド)を【ドラゴン】【リストバンド】{E}という。

ひがえりとざん【日帰り登山】

山中で宿泊をしない1日だけで行ってくる登山形式。⇒ワンデイ・アッセント

【ビギナー】biginner{E}

初心者。登山経験の少ない人。

【ピクニック】picnic{E}

屋外で食事をすること。日本語のピクニックは野山など遠くに出かけるイメージがある。英語のpicnicは戸外で食事をすることで、自宅の庭でバーベキューをするのも含まれる。

ひざあげいっぽんあしだちほこう【膝上げ一本脚立ち歩行】

山道の基本的な歩き方。前に踏み出す脚の膝を上方に上げ、他方の脚と頭と腰が一本の重力線上にあって体の軸を作る。スピードには欠けるが、安定した姿勢で歩くことができる。ちなみに平地を歩くときは、【脚だし二本脚歩行】になる。

ひざがわらう【膝が笑う】{s}

下り道などで、膝の疲れがひどくなり、足がガクガクしてくること。⇒あごが出る
?!膝に笑われないのが上手な登山家といえる!?

ひじょうかん【非常缶】

ろうそく、メタ、マッチ、非常食など非常用品を入れた金属製の箱。サバイバルキット。

ひじょうしょく【非常食】

遭難など非常時に備えて常時携行している食糧。水や火がなくても食べられ、エネルギーを補給できる食品。保存がきき軽量で吸収が速く高カロリーな食品が理想。⇒予備食行動食

ひじょうようきつけぐすり【非常用気付け薬】{s}

ウイスキーやブランデーなどのこと。
スイスとイタリア国境のグラン・サン・ベルナール峠(Col du Gramd st.Bernard 2469m)で遭難者の救助・発見に活躍していたセント・バーナード犬(st Bernard)が、ブランデーが入った小樽を首に結んでいたことに由来する。
?!非常時には適量服用すると良いとされているが、効果のほどは不明。効果があると主張する人は、かなり頻繁に非常事態に見舞われるようだ!?

【ビスターリ】{Np}

(1) ゆっくり、ゆるやかに。危険な個所で、「慌てないで慎重に行こう」と言う掛け声。
(2) 山と渓谷社発行の中高年向け登山雑誌。1989年〜1995年に発行されていた。

【ピステ】Piste{G}

スキー場の中のコース。滑降コース。【オフピステ】スキー場を離れた自然の雪山。⇒ゲレンデ。[飛行機の滑走路、未舗装道路]

【ピストン】piston{E}

往復登山。同じルートを何度も往復すること(ピストン輸送)。頂上などへ行って、その同じルートを通って帰ってくること。例えば、縦走路から離れた位置にあるピークへ行って帰ってくること。
?!内燃機関で往復運動をする筒状の栓!?

【ひだるがみ】【だりがみ】

峠道を登っているときに、急にひどい空腹感におそわれ、足腰がふらついて歩けなくなるが、峠を越えると元気が出て歩けるようになることがある。それを「ひだる神にとりつかれた」という。「ひだるい」は空腹であること。⇒シャリばて

ひたいしょうさんりょう【非対称山稜】

尾根の片側の傾斜が緩やかで他方が急になっているもの。白馬岳頂上付近などに見られる。成因は造山活動や浸食作用などいろいろある。例えば、冬季に季節風が卓越する風上側は傾斜が緩やかで、風下側は急になる。

【ビッグウォール】

高さが1,000mを超えるような巨大な岩壁。そのクライミング。

【ピッケル】Eispickel{G}【アイスアックス】iceaxe{E}【ピオレ】piolet{F}【ピコッツァ】picozza{I} ひょうふ【氷斧】

氷雪地帯を登攀するためのつるはし。つるはしでは情けないので【岳人の魂】という。滑落停止、足場切り、確保支点などに使う。
 ピッケル頭部の尖ったほうを【ピック】、平たいほうを【ブレード】、柄を【シャフト】、柄の先端を【スパイク】【スピッツェ】【石突き】という。ピッケルと手首や体をつなぐベルトを【リストループ】【ピッケルバンド】という。
 ピックの形状によって【ノーマルピック】とピックの曲がりが急角度(鋭角)で下に向いている【バナナピック】がある。バナナピックは急傾斜の氷壁で荷重をかけたときに先端方向に力が加わるため抜け難い。シャフトには直線状の【ノーマルシャフト】と湾曲した【ベントシャフト】がある。ベントシャフトはピックがより奥の氷を掴まえられるように曲げたもの。⇒アイスバイル
古いピッケル

【ピッチ】pitch{E}

同じことを繰り返すとき、その速度や回数。
(1)行動の一区間。登山では、例えば30分歩いて5分休憩する、その一区間。クライミングでは、ひとつの確保点から次の確保点まで(一般にロープの長さに相当)
(2)歩く速度。ピッチをあげる(早く行動する)、ピッチを落とす(ゆっくり行く)などと使う。この場合は一歩一歩をピッチと見ているため。語源は[漕調]。⇒ペース
※ 英語のpitchには「テントを張る」という意味もある(pitched a tent)。また、集団の中で皆と同じ行動をすることをいう。
?!雨の日にはあまり行動したくないものだが、4区間ほど行くと気分がよくなってくる。ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン!?

【ヒドンクレバス】

新雪などに覆われて見えなくなっているクレバス(氷河の割れ目)。クレバス

【ピトン】piton{F}

(1)岩の隙間に打ち込んで確保点にする鉄製のくさび。⇒ハーケン
(2)そそり立つ峰や尖った岩の先端部。

【ピナクル】pinnacle{E}【ツァッケ】Zacke{G}

尖塔。岩稜や岩壁の上に突き出した小さい突起。確保支点などに使える。小さな岩峰。大きなものは【タワー】ともいう。
元は建築用語で、屋根や塔の上に槍のように高く突き出した構造物をいう。⇒ツァッケ

ひなんごや【避難小屋】refuge{F}

悪天候など非常時に避難・休憩・宿泊するための山小屋。非常時に利用するための施設で通常の宿泊を認めていない小屋と、いつでも誰でも自由に利用できる小屋とがある。寝具や食糧はなく、宿泊料無料のものが多いが、協力金(募金)を募っているものや一定期間(登山者が多い時期)小屋番(管理人)がいて料金を徴収するものもある。
小屋番が常駐していない山小屋は【無人小屋】という。
小屋番がいて、寝具や食事もあり、宿泊料を払って泊めてもらう小屋を【営業小屋】という。

【ビノクラー】binoculars{E}

双眼鏡。binocular[双眼用の]。

【ビバーク】Biwak{G} ふじろえい【不時露営】Fastbiwak{G} bivouac{F}ビヴァーク

野宿、露営。山小屋やテントなしで宿泊すること。
 一般に、トラブルに遭って予期せぬ野宿をすること=【フォーストビバーク】をいう。緊急露営。あらかじめ予定していたビバークは【フォーカストビバーク】Forecast biwak{G}という。
ビバークをする場は【ビバークプラッツ】-platz{G} という。Bewak[露営]

【ビブラム】vibram{c} vibram sole{E}

イタリア人ヴィタレ・ブラマニ(Vitale Bramani)が1935年に考案したゴム底の登山靴。それまでは、革靴の底に鋲を打った鋲靴が使われていたが、ビブラム・ソールの出現によって登山靴が一変した。日本でビブラム靴が使われるようになったのは第二次大戦後である。
 ソールパターン(底の模様)は、鋲靴のパターンを模したものになっている。⇔鋲靴
ビブラムソール

【ヒマラヤ】Himalaya【ヒマラヤ山脈】Himalaya Range{E} (喜馬拉)

インド亜大陸とチベット高原との間を東西に走る世界最高の山脈、山岳地帯。最高峰はエベレスト(8848m)。古代サンスクリット語で[雪の住居(氷雪の神が住むところ)]の意味。him[雪]
 ヒマラヤは、東から順にアッサム(Assam)・ヒマラヤ、ブータン(Bhutan)・ヒマラヤ、シッキム(Sikkim)・ヒマラヤ、ネパール(Nepal)・ヒマラヤ、ガルワール・ヒマラヤ、バンジャブ(Punjub)・ヒマラヤに区分される。また、ヒマラヤの範疇には、さらに西部にあるパミール(Pamirs)、カラコルム(Karakorum)、ヒンドゥクシ(HinduKush)、クンルン(崑崙)、テンシャン(天山)など中央アジアの高山を総て含む場合もある。

 ヒマラヤ登山の黎明期は、1895年にヤングハズバンド(英)がカラコルムやパミールを探検したことが刺激になって始まったとされる。しかし、1883年にグレアム(英)がシッキムの7,000m未満の数座に登っており、1879年にデシィ(ハンガリー)が登山目的でヒマラヤに入っている。8,000m峰に最初に挑戦したのはママリー(英)で、1895年にナンガ・バルバットに挑んだが、帰らぬ人となった。
 日本人で最初にヒマラヤ越えをしたのは川口慧海(かわぐちえかい:僧侶)で、1900年(明治33年)と1914年にチベットに入った。登山家では鹿子木員信(かのこぎかずのぶ:海軍士官、大学教授)が1918年(大正7年)にカンチェンジュンガ山(タルン氷河まで)に入っている。

【ヒマラヤ黄金時代】

8,000m峰が次々と登頂された時代。フランス隊がアンナプルナに登頂した1950年から、中国隊がシシャ・パンマ(ゴザインタン)に登頂した1964年までの期間。

【ヒマラヤ巨壁登攀】

8,000m峰に尾根からではなく岩壁を直接登って登頂すること。 クリス・ボニントン(英)のアンナプルナ南壁登攀(1970年)やエベレスト南西壁登攀(1975年)など。

【ヒマラヤジャイアント】

ヒマラヤにある8,000m峰、14座。アンナプルナ、エベレスト、ナンガ・バルバット、K2、チョ・オユー、マカルー、カンチェンジュンガ、マナスル、ローツェ、ブロードピーク、ヒドゥン・ピーク、ダウラギリ、ゴザインタン。

【ヒマラヤひだ】【ヒマラヤ襞】

山腹に積もった雪にできた多数の縦縞。ヒマラヤの高峰には美しい襞ができる。国内の山にも似たものができることがある。

【ひまわり】(向日葵)

気象衛星。西太平洋地域を担当する静止衛星。初代ひまわりは1977年に打ち上げられた。可視光線画像と赤外線画像を撮影して地上へ送る。日本の衛星には花の名前がつけられている。

ひゃくめいざん【百名山】

ある地方にある百座の著名な山。深田久弥の著書「日本百名山」。⇒日本百名山

【ヒュッテ】huette{G}

山小屋。登山者が宿泊・休憩するためにつくられた小屋。ロッジに比べて高い山での小屋をいう。⇒避難小屋

【ピューポイント】view point{E}

景観の良い場所。見晴らしの良いところ。[見地、立場]

ひょうが【氷河】glacire{E} glacier{F}

高山に積もった万年雪がその重量によって圧縮されて青氷に変わり、極めてゆっくりした速度で低地に向かって動きだしたもの。
【氷河甌穴】(-おうけつ) 水が氷河を浸食してできた穴。

びょうぐつ【鋲靴】

初期の登山で使われていた登山靴。皮製の靴で底には滑り止めの鋲を打っている。鋲(びょう)とは、頭部が様々な形になった一種の釘で、その形により【クリンカー】【ムガー】【トリコニー】がある。どの鋲を靴底のどの部分にどのように配置するかは、登山家それぞれのノウハウがあった。
現在の登山靴は、ビムラム底になっており、鋲靴は使われていないが、そのパターンはクリンカーやムガーを模している。⇒登山靴クリンカービブラム

ひょうこう【標高】かいばつこうど【海抜高度】

水準原点(東京湾の平均海水面)を基準とした陸地部の高さ。
【標高点】標高が測定・表示されている地点。【標高差】ある地点から他のある地点までの標高の差。【累積標高差】登山コース上の登ったり下ったりする分も加えた標高差。

ひょうしょく【氷食】

氷河による浸食作用。氷河の移動によって、岩石や砂が引きずられたり底を流れる水流によって、氷河底の岩盤が削り取られること。

ひょうはく【漂泊】【漂泊者】

激しい登攀をするのではなく、山岳地をのんびり(野宿をしながら)旅すること、人。ワンダラー。漂泊[流れただよう、さすらう]

ひょうへき【氷壁】

氷河などの氷でできた壁。氷や雪に覆われた岩の壁

【ピラー】pillar{E}

岩の柱状になっている部分。[柱]

【ビルダリング】buildering{E}

ビル(建物)の壁を登ること。

【ビレイ】【ビレー】belay{E} かくほ【確保】【ジッヘル】

墜落を防ぐために、ロープなどを使って安全手段を講じること。もとは船のロープを桟橋のクリートに巻きつけること。⇒ジッヘル
【セルフビレイ】=プロテクション(確保点)にハーネス(安全ベルト)を繋いで自分自身を確保すること。
【ビレイポイント】【ビレイピン】=確保支点。確保する場所(ピッチの切れ目)
【ビレイシステム】=どのような器具や技法を使ってビレイするかという方法論。

【ビレイヤー】【ビレーヤー】belayer{E}

確保する人。クライマー(いま攀っている人)が墜落したときに備えてロープで安全を確保している人。⇒オーダー

ひろうとうし【疲労凍死】

疲労と寒気のために体力を消耗して死ぬこと。

【ビンディング】Bindung{G} binding{E} 【バインディング】

スキー板の中央付近にある、スキー靴を取り付けるための器具。⇒スキー

【ピン】pin{E}

ロープを巻き付けて確保点にできる岩の小突起。
【ビレーイングピン】=ビレーを取るための岩角、切り株、ハーケンなど。⇒プロテクション
?!突起の大きさは、それはピンからキリまである!?

〔ふ〕

【プーリー】pulley{E}

滑車。クライミングで荷揚げなどに使う滑車。普通の滑車より小型軽量で、ロープの途中を掛けることができる構造になっている。

【ブーリン】Bulin【ボーライン】bowline{E}【もやい結び】

登山や船舶で使われる、最も基本的なロープの結び方。山ではブーリン、海ではボーラインというのが正統か?。手早く結べ、荷重がかかった後でも解きやすい。かつて【キングオブノット】といわれていた。bow[バウ、船のへさき]。
ザイル末端を自分の体に結びつけるときは、片手だけですばやく結べるので、覚えておいて良い結び方だ。使い方を間違えるとほどけるので、最近のクライミングでは使われない。⇒リング荷重。⇒ダブルフィギュアエイトノット
ブーリン

【ファーストアッセント】【ファーストアセント】first ascent{E}

初登山、初登頂。ascent[登ること]。⇒初登頂

【ファーストエイド】first aid{E}

応急手当。救急処置。【ファーストエイドキット】は救急箱のこと。

【ファイアストーム】{J}

焚き火の周りで歌ったり踊ったりすること。キャンプファイア。

【ファイト】fight{E}

闘志。「がんばれ!」という掛け声。⇒ビスターリ

【フィクスロープ】【フィックスドロープ】fixed rope{E} こていさく【固定索】

固定ロープ。例えば、ベースキャンプとアドバンスキャンプの間に難所があるとき、あらかじめそこにロープを張っておき、それを伝わって登り降りをする。ヒマラヤなどで荷揚げなどの作業を効率化するためにフィックスロープをセットすることを【ルート工作】という。

【フィッシャーマンズノット】fisherman's knot 【てぐす結び】

てぐす(釣り糸)など、糸や細いロープをつなぐときに使われる結び型。二本のロープの先をオーバーハンド・ノットでつないだもの。【イングリッシュ】【ウォータ】【アングラーズ】などともいう。
クライミングでロープをつなぎ合わせるときには、オーバーハンド・ノットを二重にした【ダブルフィッシャーマンズノット】【二重てぐす結び】を使う。
二重テグス結び

【フィフィ】

?型に曲がった金具で、カラビナ代わりにプロテクションなどにちょっと引っかけるときに使う。鐙(アブミ)やハーネスなどにセットして使う。

【フィルパワー】fillpower{E}

羽毛の質(ロフト量)を表す単位。fill[〜を満たす]。1オンス(28g)のダウン(羽毛)を圧縮した後、自然に復元する体積で表す。600くらいだと最高級品。?!これでフルパワーを発揮するわけだ!?  ⇒ シュラフ

ふうけつ【風穴】かざあな

山腹などにある穴。夏季に涼しい風を吹き出している洞穴。溶岩流などによってできた穴。

ふうしょうち【風衝地】

山頂や尾根筋にある風の強い地帯。地面は乾燥し、砂礫(小石や砂)になっている。

ふうしょく【風食】

強い風によって砂や小石が吹き飛ばされて地形を変える作用。風食作用によって、草などの植物が根こそぎ削り取られて地面が出た場所をふうしょくらち【風食裸地】という。

【フェース】【フェイス】face{E}

でこぼこも割れめも少ないきりたった岩壁。スラブよりも傾斜がきつい。⇒スラブ。[顔]。?!美人かどうかはあまり問題にしない!?

【フェーン】Foehn{G}【チヌック】chinook{E}【チヌーク】【おろし】

山を越えて吹き下ろしてくる暖かくて乾いた風。春先に低気圧が日本海を通るとそれに向かって吹き込む風が脊梁山脈を越えてフェーン現象を起こす。こうした現象を、ヨーロッパではフェーン、アメリカではチヌック、日本ではおろしという。Foehn[火、アルプスから吹き下ろす高温風] Chinook[ネイティブアメリカンの部族名]
風上側の山腹で雨を降らすものを【ウェットフェーン】、雨が降らないものを【ドライフェーン】という。

【フォール】fall{E}

(人間が)落ちること。墜落。

【フォールライン】fall line{E}

最大傾斜線。山の斜面で傾斜が最大になる方向。

【フォロワー】follower{E}

あとに続く人、補佐する(助ける)人。登山パーティでリーダー以外の人。
フリークライミングでは、二番目が登っているときに、それをロープで確保している人(先頭)をフォロワーという。⇒オーダー

ふかだひゃくめいざん【深田百名山】

深田久弥(作家・登山家)が著した紀行集「日本百名山」に選定されている100座の山。
深田クラブが選定した「二百名山」や日本山岳会が選定した「三百名山」と区別するために使うこともある。

【ぶき】【武器】{s}【カトラリー】cutlery{E}【食器】

ナイフ、スプーン、フォークなど食卓用刃物を総称して、俗に武器という。これさえあれば命を永らえるからか。ロシア語のビューキ(フォーク)からきたという説もある。
?!「食うことは生きることである。他の生き物を殺して、その命の上に己が生きることである。おまえは食うに値するか」!?

ふきだまり【吹き溜り】

風に飛ばされた雪が深く堆積しているところ。
?!高地に順化し平地には順応できない輩が大勢集まっているところ!?

ふくしきかざん【複式火山】【複合火山】

数回にわたって噴火が起こって複雑な形になっている火山。

ふくしゃだに【輻射谷】【放射谷】

火山や円形の山から四方八方(放射状)にできた谷。

ふくりゅう【伏流】

沢や川の流れがいったん川底にかくれてしまって見えなくなること。
!?財布の中味はしばしば伏流になり、なかなか出てこんもんじゃ!?

【ぶす】【ブス】{s}

ガソリンストーブの商品名ホェーブスの俗称。⇒ホェーブス

ふたつだまていきあつ【二つ玉低気圧】

二つの低気圧が同時に日本付近を通過する気圧配置型。ひとつの低気圧が日本海を通り、もう一方が太平洋岸を通過するような気圧配置。全国的に悪天候になる。大型気象遭難事故は、この気圧配置によるものが大部分をしめる。

ふち【淵】

沢で、水深が深くなって水が淀んだところ。⇒かまとろ

【ブッシュ】bush{E}、Busch{G} やぶ【薮】

潅木(かんぼく)地帯。雑木の茂み。藪(やぶ)。背丈の低い木が密集して生えているところ。
ブッシュは藪のことだが、Buschには低木のほかに森林(密林)の意味もある。⇒薮漕ぎ潅木
!?藪をつついて蛇を出すことを恐れない大統領。親も子も!?

【フットギア】foot gear{E}【足ごしらえ】

登山靴やクライミングシューズなど靴に関する道具類。

【フットホールド】foothole{E}

岩場での足がかり。両手を離すことができる足場をスタンスといい、両手を離すことができない足がかりをフットホールドという。手がかりは単にホールドだが【ハンドホールド】ともいう。

ふなくぼ【船窪】【線状凹地】【二重山稜】

尾根上に長く続くくぼんだ部分。尾根筋が二重になっているもの。山体がずれたり、尾根の一部が陥没するなどしてできる。

ふぶき【吹雪】じふぶき【地吹雪】ふうせつ【風雪】【ブリザード】blizzard{E}

降ってくる雪と地面に積もった雪が強風によって吹き上げられる現象を吹雪。地面に降り積もった雪が強風で吹き上げられるのを地吹雪。空から降ってくる雪が強風に飛ばされるのを風雪という。ブリザードは猛吹雪、暴風雪

ふみあと【踏み跡】

人が通って道のようになったもの。⇒けものみち。トレール

【フュエルボトル】【フューエルボトル】fuel bottle{E}

ガソリンや灯油などの液体燃料を入れて運ぶための容器。⇒ポリタン

【フューラー結び】【二重止め結び】【ループノット】loop knot{E}

ザイルの末端や中間にループ(輪)を作る結び方。ザイルを二つ折りにして止め結びをしたもの。
ループノット

ふゆみち【冬道】

冬季に通る道。雪崩などの危険を避けるために、あるいは、夏季には通れないところが積雪によって通りやすくなって、夏季とは違う道を通ることがある。
これに対して夏季に通る道を【夏道】という。

ふゆやま【冬山】

冬期の登山、または山岳地。 特に定まった定義はないが、一般に12月〜3月の間に行う登山行為をいう。⇒厳冬期
同様に、4月〜5月が【春山】、6月〜8月が【夏山】、9月〜11月が【秋山】。

【フライシート】flysheet{E}、【フライ】

雨除けのために、テントの上側や外側を覆うように張る防水布。fly[飛ぶ、テント入り口の垂れ布]。⇒タープ

【プラスチックブーツ】plastic boots{E}

外側がプラスチックでできた冬山用の靴。革靴に比べて軽量で保温効果、防水効果が高い。

【ブラックアイス】

ベルグラ(岩に張り付いた氷)の表面にある白い氷がはがれて、下にある黒い氷が露出したもの。表面の氷よりも固く、ピッケルやアイゼンの歯が立たないことがある。

【フラットフッティング】flat fitting{E}

靴底やアイゼンの爪の全体を地面(雪面)に平らにおくこと。アイゼンをはいた時の基本的な歩き方。⇔フロントポインティング。⇒ピオレトラクション

【プラトー】plateau{F}

台地。周りが急峻でそこだけ平坦になっている場所。

【フランケ】Flanke{G}

急な山腹。岩稜(リッジ)の側壁で、斜度が強く難度が高いもの。主壁や正面壁に対して側壁のこと。[脇腹]

【プランニング】planning{E}

山行計画を練ること。

【フリー化】

人工登攀で初登攀されたルートをフリークライミングで登攀したとき【フリー化された】という。

【フリクション】friction{E}

摩擦。岩の表面に靴底や手をフラットにおいて、摩擦をきかせて登ること。「フリクションをきかせる」などと使う。その技術をスメアリングという。[摩擦]

ふりこ【振り子】

ロープにぶら下がって、岩壁を横に走ること。

【フリークライミング】free climbing{E}【スポーツクライミング】{J}

ピトンやロープなどの登攀用具に頼らないで、岩だけを手がかり足がかりにして岩壁を登ること。安全のためにロープなどの登攀器具を使うが、それを登攀のために使わない。米国カリフォルニア州ヨセミテが発祥の地。日本では1980年代から盛んになった。⇔人工登攀アルパインクライミング。free[拘束されていない]
スポーツ(スポート)・クライミングは、競技的なフリークライミングや人工壁のクライミング、あるいは、フリークライミングから危険性や冒険性を排除し、1ピッチに限定したもの。また、スポーツクライミングはハーケンやボルトなどのプロテクション(確保点)を使うもの、フリークライミングはフレンズやナッツなどのプロテクションを使うものといった使い分けもある。
【フリーソロ】=ロープを含むいっさいの安全確保器具を使わないクライミング。高度な登攀技術を持ったクライマー。

【ブリザード】blizzard{E}

猛吹雪、暴風雪。降ってくる雪や地面に積もっている雪が強風に吹き飛ばされる現象。⇒吹雪
  南極観測隊ではブリザードを次のように分類している。
A級= 風速25m以上、視界100m以下の状態が、6時間以上継続するもの
B級= 風速15m以上、視界1km以下の状態が、12時間以上継続するもの
C級= 風速10m以上、視界1km以下の状態が、6時間以上継続するもの

【フリース】fleece{E}

下着などに使われる起毛保温材。軽量、速乾性、適度な通気性がある。
本来はヒツジの起毛のことだが、最近はポリエステルなどの化繊がおもに使われている。【ポーラテック】{c}など。
素材の両面に起毛があるものがフリースで、片面だけ起毛になっていて毛足が長いものが【パイル】pile{E}。

【フリーソフト】【フリーソフトウエア】【フリーウエア】free software{E}

パソコンのソフトウエアの一種。インターネットやパソコン通信などで流通している無料のソフト。「やまおたく」や「カシミール」など山の地図やデータに関するソフトも多くある。ちなみに、有料のものは【シェアウエア】shareware という。
 本来のフリーソフトウエアは、GNUプロジェクト(フリーソフトウエア財団)が推進している運動で、プログラムのソースコード(原本)が公開されており、改良や再配布が自由にできるソフトをいう。基本ソフト(OS)のLinux(リナックス)がその好例。前者のフリーは無料の意味、後者のフリーは自由の意味。

【プルージック】Prusik{c}

ザイルに補助綱を結び付ける結び方のひとつ。細い綱に過重がかかっていないときには、結んだ位置をスライドさせることができ、荷重がかかると停止する。ビレイや懸垂下降の際のバックアップ、登高器の代用になる。オーストリア人 K・プルージックが考案した。⇒アセンダー
これがプルージック
 下の写真のように、立木などにスリングを結ぶ結び方もプルージックということがある。この結びは、【ベールスリングヒッチ】ともいう。
これもプルージックという

【プルークボーゲン】Pflugbogen{G}

スキーの基本的な滑り方。スキーを逆V字型(前が閉じ後ろが開く)に開いて(開いたままで)滑る。⇒シュテム

【フリーズドライ】freeze drying{E}【FD】

冷凍乾燥。食品を真空に近い状態で急速に冷凍乾燥したもの。

ふりわけしき【振り分け式】【ループ式】

登攀用ロープをしまう(巻く)とき、ロープを輪にして束ねていくやり方をループ式という。振り分け式は、ロープを適当な長さ(1-2m)で折り返しながら束ねていくやり方。ロープを繰り出すときにループ式よりもつれない。

【ブルーアイス】blue ice{E} そうひょう【蒼氷】

青く見える氷。アイゼンやピッケルを受け付けないような硬い氷。

【フレアー】flare{E}

奥よりも手前が広くなっている岩の割れ目。プロテクションをセットすることが難しい。

【フレーク】flake{E}

鱗のようになって、岩壁から剥がれて(剥がれかけて)不安定になっている岩。[薄片]。⇒浮き石

【ブレスサーモ】BREATH THERMO{c}

人体が発する湿気を吸収して発熱する素材。下着や上着などに用いられる。

【フレンズ】【フレンズカムロック】Friends camlock{c}【キャメロット】Camelot{E}【エイリアン】ailen{E}

プロテクション(確保器具)のひとつ。可動式の4枚のカム(歯車)がスプリングで広がる構造になっており、クラック(岩の割れ目)の中へ差し込んで固定する。フレンズは、レイ・ジャーディンが1974年に開発した。
名前の由来は、 「まさかのときの友こそ真の友」、クライマーの頼りになるお友達ということか。frend[友達]。Camelot[理想卿]。ailen[異邦人]。

【フレーム】frame{E}

枠。ジュラルミンやグラスファイバーなどでできた、テントやザックなどの骨組み。
テントの柱にする棒やパイプは【ポール】pole。ポールを組み合わせて骨組みにしたものがフレーム。[縁・枠]

【フレームザック】{J}

金属製のパイプなどのフレーム(骨組み)がついたリュックサック、ザック
1906年にベルガン(Ole.F.Bergan)が発明した。

【ブロック】block{E}【ブロック地帯】

雪庇や雪渓の崩壊によってできた雪の大きな塊。それが多く転がっている場所。

【ブロッケン】【ブロッケン現象】【ブロッケンの妖怪】 Brocken{G} ごらいごう【御来迎】【やまぼうず】

日の出や日暮れの頃に、雲やガスの中に、山頂に立つ人(自分自身)の影が二重三重の虹のような光輪を伴って現れる現象。ブロッケンはドイツのハルツ山脈にある山(Blocksberg 1142m)、魔女が集まる場所として知られている。ここでこの現象が観測され報告されたため。日本では仏様の後光と見て御来迎という。⇒御来光。中国では【仏光】という。

【プロテクション】protection{E} かくほしてん【確保支点】

安全を確保するための支点。岩の割れ目に差し込んで固定する器具(チョックハーケン)や、埋め込みボルトを使って作った支点。またはそれらの器具。時には立ち木や岩角を利用することもある。これにスリングカラビナ をかけ、ロープを通し安全を確保する。

【プロムナード】promenade{F}

遊歩道、景観の良い山稜の道。[散歩]

ぶんきてん【分岐点】

尾根や登山道が二つ(以上に)別れている地点。

ぶんすいれい【分水嶺】【分水界】

降った雨が異なる水系の川に分かれる尾根。
?!♪槍の穂先で小キジを撃てば、高瀬、梓と泣き別れ♪!?

【ぶんまわし】【ブン回し】

グルッとひと回りするコース。氷ノ山に「ブン回しコース」というのがある。

〔へ〕

【ベースキャンプ】base camp{E}

ヒマラヤなどの登山で根拠地とするための基地。⇔アタックキャンプ。⇒ポーラーメソッド

【ペース】pace{E}

歩調。歩く早さ。⇒ピッチ

へいちょう【平頂】

山腹は傾斜が急だが、山頂は平らになっている頂。

【ペグ】【ペッグ】peg{E}

テントの裾や支線を地面に固定するたるための杭。[くぎ]。⇒ハーケン

【ペットボトル】PET bottle{E}

清涼飲料水などを販売するのに使われている容器。PET(polyethylene terephthalateresin) ポリエチレン−テレフタレート樹脂製の瓶。軽くて丈夫なので水筒代わりに使える。

【ヘッドランプ】head lamp{E}【ヘッデン】【ヘドラン】{s}

ベルトなどで(人間の)頭部に取り付けられるタイプのライト。 ⇒ランプ

【へつり】【へつる】

沢などで高巻きもできず、沢を渡ることもできないような場合に、水際の岸壁をへばりつくようにして横に進むこと。沢登りでのトラバースのこと。谷の絶壁に沿った道をいう場合もある。沢や谷でなく、山の急斜面を横断する場合にも使われる。へつりは名詞、へつるは動詞。

【ペデストリアン】pedestrian{E}

歩行者。徒歩旅行愛好家。

【ヘビーデューティー】heavy duty{E}

頑丈な。登山用の防寒服を日常着として着ること。精神的に強い人間の生き方の意味で使われることもある。

【ペミカン】pemmican{E}【肉膏】【ペムミカン】

肉と野菜をラードやバターで炒めて固めたもの。カレーやシチューなど様々な料理に使える保存食。もともとは、ネイティブアメリカン(インデアン)クリーク族の料理、保存食。日本では明治時代に志賀重昂が「日本風景論」で紹介している。⇒付録・山の名著

【ベルク】Berg{G}【ベルグ】

高く険しい山。山岳。登山は【ベルクシュタイガン】Bergsteigen、登山家は【ベルクシュタイガー】Bergsteiger という。

【ベルクカメラート】Berg Kamerad{G}

山仲間。登山をする親しい友達。Kamerad[仲間]
?!登山と写真を楽しむ仲間!?

【ベルクシュルント】Bergschrund{G}

雪渓にできる割れ目。氷河と、岸の岩に張り付いた雪との間にできる割れ目。氷河の中にできる割れ目はクレバス、氷河と岩との間の割れ目はラントクルフト

【ベルクハイル】BergHeil{G}

山万歳。山頂に立ったときなどに発する歓声。スキーの場合は【シーハイル】という。

【ベルクヒューラー】Bergfuerer{G}

山案内人、登山ガイド。登山案内書。Fuehrer[指導者]。【ヒューラーブッフ】Fuehrerbuch{G}登山ガイドの免許状、登山記録帳。

【ベルグラ】verglas{F} はくひょう【薄氷】

岩に張り付いた薄い氷。湿った雪や雨水・雪解け水などが岩の表面で凍りついたもの。[雨氷]

【ベルクロ】Velcro{c}【マジックテープ】MagicTape{c}【面ファスナー】

衣服などに用いる接着具。フック状に起毛したテープと、細いループを密集させたテープを、押し付けて結合するもの。オランダのVelcro Industries N.V.社の製品。

【ベルトポーチ】

ベルトに取り付けるような小型のバッグ(パック)。ウェストバッグよりも小さい。

【ヘルメット】helmet{E}

岩登りで使用する安全帽、保護帽。工事用など一般のヘルメットよりも軽量に作られている。helme[兜]

【ベンガラ】Benglala{E}【べにがら】【紅殻】

赤い塗料。雪渓上に道しるべとして撒く赤く染めた籾殻(もみがら)。ベンガラは酸化第二鉄を主体とした赤色の顔料、インドのベンガル地方で産出する土の色。紅殻はベンガラに漢字を当てたもの。

へんけいじゅ【扁形樹】

強風などの影響で、枝が一方向にだけ伸びている樹木。風下側に広がる。

へんさ【偏差】

地図上の北と磁石の北は少しずれている。そのズレ角度。
日本付近では磁針方位が西にずれていおり【西偏】という。北に行くほど偏差は大きく、屋久島 4度30分、中部山岳 7度10分、利尻島 9度20分くらい。

【ベンチレータ】ventilator{E}

(1)テントにある換気用の穴。【換気口】。中でストーブを使うときなどにはベンチレータを開けておく、要らないときには紐をしぼって穴を塞げるようになっている。
(2)ガスカートリッジに穴を開ける道具。使用済みガスカートリッジを廃棄するときに、缶内に残っているガスを放出し、缶を焼却したときに破裂しないようにするため缶に穴を開ける。

〔ほ〕

【ボーゲン】Bogen{G}

スキーをV字型に開いて回転する(方向を変える)こと。プルークボーゲン。[曲線、弓]

【ポーター】porter{E}

交通機関末端からベースキャンプまで、登山隊の装備など荷物を運搬する作業員。protare{L}[運ぶ]

【ポータレッジ】

大岩壁を登攀中に、寝たり休憩するための簡易ベッド。金属のフレームと吊り下げ用のベルトがついている。本来のレッジは、岩壁から突き出した棚のような岩の部分。ポータはportableか。

【ポーラーメソッド】polar-method{E} きょくちほう【極地法】

ヒマラヤ登山などにおける基本的な登山形式。【包囲法】ともいう。
 まず山麓にベースキャンプ(BC)を建設し、食料や登攀用具などの登山に必要な物資を集積する。ベースキャンプから順次、前進キャンプ(C1,C2,C3..)を進めて、最後にアドバンスキャンプ(AC)を設営し、登頂をめざす。⇔アルパインスタイル。⇒アタックキャンプ

【ボーライン】もやいむすび【もやい結び】

ザイルの結び方のひとつ。⇒ブーリン 

【ホールド】hold{E}

岩登で利用する手掛かり。手でつかんで体を保持できる、岩のデコボコ。
 ホールドの種類
【クリング】【アーケ】{F}=横長の狭い段差(エッジ)を持つ方法。指を密着させ、第1関節をそるようにして指を立てる。
【アンダークリング】=下向きのホールドを持つ方法。
【オープンハンド】=外傾した段差をもつ方法。第2関節を伸ばし、第1関節でぶら下がるようにする。
【サイドプル】=縦長の段差をもつ方法。手前に引くように持つ。
【ピンチグリップ】=親指と他の指でつまむように持つこと。
【タンジュ】{F}=凹部に有効。人差し指、中指、薬指の第1関節を曲げ、指の付け根は伸ばす。
【パーミング】=手のひら全体で押さえつけるようにして持つこと。
【ラップ】=指全体で包み込むように持つこと。
【プッシュ】=下のほうにあるホールドを押さえつけるようにすること。
【ポケット】=小さな穴に指を差し込んでホールドする。

 足掛かりはスタンス、または【フットホールド】foot hold{E}という。両手を離しても立てるような足場をスタンス、それほど大きくない足がかりをフットホールドと区別することもある。

【ホールバッグ】

ロッククライミングで使う荷揚げ用の筒型ザック。ショルダーベルトが無いか取り外せるようになっており、吊り上げるためのベルトがついている。

【ボイスバロットの法則】

風向から低気圧や台風の位置を見極める法則。北半球では、風を背中にうけて立つとき、左手前方に気圧の低いところがあり、右手後方に気圧の高いところがある。ボイス・バロットはオランダの気象学者。

【ポイズンリムーバ】poison remover{E}【スネークバイトキット】snake bite kits{E}

毒吸出し器。毒蛇にかまれたときなどに、その毒を吸い出すために使う器具。注射器のような形で、針の部分がカップ状になっている。カップを傷口に当て、ピストンを引いて毒を吸い出す。

ぼうおね【棒尾根】

尾根上の凸凹(高低差)があまりない、一直線に近い形の尾根。⇔瘤尾根

ぼうかせん【防火線】

山火事の延焼を防ぐために作られた帯状の伐採地帯。

ぼうすい【防水】はっすい【撥水】たいすい【耐水】

防水は布の中に水がしみこまないこと。 撥水は布の表面で水をはじくこと。 耐水は(水圧がかかっても)水がしみ通らないこと。

ぼうすいとうしつそざい【防水透湿素材】【透湿性防水素材】

水滴(雨)は通さないが、水蒸気(汗)は通す素材。雨具・登山靴・テントなどに用いられている。
商品名に【ゴアテックス】【e-VENT】【ディアブレックス】【シンパテックス】SYMPATEX【ミクロテックス】MICR-TEX【エントラント】【パックライト】などがある。⇒はっすいゴアテックス

【ホエーブス】Phoebus{c}

オーストリア、ホエーブス社のストーブ(コンロ)。燃料はガソリンを用いる。俗に【ブス】という。[ギリシャ神話の火の神] ⇒ラジウス

ほくへき【北壁】north face{E}

山の北側にある岩壁。一般に登攀が困難なものが多い。アイガー、マッターホルン、グランド・ジョラスの北壁を【三大北壁】という。

【ポケット】pocket{E}

岩にあいた穴。穴状のホールド。石灰岩の壁によくみられる。

ほじょづな【補助綱】【補助ロープ】

登攀(クライミング)の補助的な用途に使われるロープ。確保などに使用するメインロープ(クライミングローブ、ザイル)ではなく、ザックの引き上げなど補助的な用途に使われるロープ。一般に直径8〜6mmのロープをいう。細引きよりも大きい。⇒ザイル

ほそびき【細引き】

細めのロープ。本来は麻を撚りあわせて作った細い綱のこと。細引き綱。⇒ザイル
テントの張り綱などにつかう。登攀には使用しない。

【ぼたん雪】【牡丹雪】【ぼたゆき】

多くの雪の結晶が付着して大きな雪片となって降る雪。気温が高いときに降る雪で、水分を多く含んでいる。⇔こなゆき
牡丹の花びらのようなところから、またはボタボタした雪だからとも。

【ぼっか】【ボッカ】【歩荷】【やまど】【ポーター】porter{E}

山小屋などへ荷物を運ぶ人、荷物運搬人。重たい荷物を背負って山越えすること。⇒シェルパいっぽん
【ぼっか訓練】=重たいザックを担ぐ練習。【ぼっか道】=荷揚げのために使われる道、ぼっか達が通う道。

【ぼっち】【ボッチ】

小さな突起。そのような形の山頂。藁製の雪除け帽子

【ポットホール】pothole{E}

渓流の岩にできたつぼ状の穴。瓶穴。

【ボディビレイ】

(1)ATCなどの確保器具を使わずに、ロープを腰や肩などに回して、体とロープの摩擦を利用して確保する方法。
(2)クライマーの墜落加重を支点(アンカー)で支えるのではなく、ビレイヤー(確保者)のハーネス(安全ベルト)で受ける方法。⇔支点ビレイ、直接ビレイ

【ボルダリング】bouldering{E}

河原などにある大きな石を、登攀器具を使わずに登ること。boulder[大きな石]。⇒フリークライミング

【ポリエステル】polyester{E}

ウエアに使われる化学繊維。化学繊維の中で生産量が一番多い。強くしわになりぬくい、酸やアルカリに強い、吸湿性が少ない。

【ポリタン】{s}

ポリエチレンのタンク。ポリエチレンやポリカーボネイト(【レクザン】)でできた、液体を入れるための容器。飲料水やガソリン・灯油などを運ぶために使う。

【ポリプロピレン】polypropylene{E}

下着などに使われる繊維。熱伝導率が低く、体から発する熱を逃がさない。体の汗を毛細管現象で外へ出す。

【ホワイトアウト】whiteout{E}

濃霧や吹雪のために視界が効かなくなる状態。地面と空の境界がわからなくなるので、空間を漂っているような気分になる。ルートを間違えたり、雪庇を踏み抜くなど危険が大きい。⇒リングワンデルング

【ホワイトガソリン】white gasoline{E}

無鉛ガソリン。ストーブ(コンロ)の燃料に使う。普通のガソリンはアンチノック剤として鉛化合物を加えている。そのため琥珀色(こはく: 薄い茶色)をしている。ホワイトガソリンは白っぽい色をしている。

ほんちゃん【本ちゃん】{s}

ゲレンデ(岩登りの練習場)に対して、山岳地帯にある岩場を登ること。本番のクライミング。

【ポンチョ】poncho{Sp}

雨具の一種。四角な防水布の真ん中に、頭を出す穴とフードが付いたもの。ザックを背負ったままで頭からかぶる。非常用のテント(タープ)としても使える。もともとは南米高地民族(インディオ)の外套。

【ポンピング】pumping{E}

液体を燃料としたストープやランタンで、燃料の気化を促進するために、ポンプを押してタンク内部の圧力を高めること。