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群馬大学




群馬大学工学研究科
博士前期課程1年
  高見 満


 
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1. はじめに
2. 今回のタイトルは何を意図していますか
3. コンクリート構造物の耐久性について
4. コンクリート構造物の耐久性向上のために現在取り組んでいる研究
4.1 電気泳動法の適用 
4.2 コンクリートの細孔構造
5. 最後にひとこと
 


群馬大学工学部 建設工学科
  杉山 隆文 助教授

4. コンクリート構造物の耐久性向上のために現在取り組んでいる研究

4.1 電気泳動法の適用

 コンクリートの耐久性は、コンクリート中の物質移動特性に密接に関連しているので、超長期耐久性を確保するためには,緻密性を著しく高めたコンクリートが要求されます。しかし、緻密性が高いコンクリートの物質移動特性を通常の透過試験や拡散セル法などで調べる場合、その試験期間が著しく長期化して現実的ではなく、これら通常法に替わる新しい促進試験が必要になります。そこで、電気泳動法を開発してその適用を研究しています。

図-1 電気泳動試験装置

 電気泳動試験の概念図を図-1に示します。印加する直流定電圧は、15Vです。トレーサー成分として、塩化物イオンを使用する関係で、陰極側には塩化ナトリウム水溶液を用いています。つまり、負電荷をもつ塩化物イオンをコンクリートの細孔溶液中を電気泳動させます。塩化物イオンは、海水や凍結防止剤などに含まれており、海洋環境地域や積雪寒冷地域での塩害対策に欠かせない、コンクリート中の塩化物イオン拡散係数を求めるためです。また、地下水に含まれる侵食成分の一つとして考えられており、地下水と接する地中に構築される核廃棄物の処理施設への影響を調べるためでもあります。また、写真-1は、研究開発した電気泳動セルです。

写真-1 電気泳動セル

 電気泳動試験により、圧縮強度が30〜50N/mm2の通常のコンクリートの場合、15Vの一定の電位勾配によって、1週間程度で厚さ50mmのコンクリート中を塩化物イオンが電気泳動することがわかりました。この電気泳動試験を用いて超長期耐久性を有するコンクリートの物質移動特性を把握できると考えており、そのための研究を実施しております。以下に研究に際してのいくつかのポイントを述べます。

 
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