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群馬大学




群馬大学工学研究科
博士前期課程1年
  高見 満


 
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1. はじめに
2. 今回のタイトルは何を意図していますか 
3. コンクリート構造物の耐久性について
4. コンクリート構造物の耐久性向上のために現在取り組んでいる研究
4.1 電気泳動法の適用
4.2 コンクリートの細孔構造
5. 最後にひとこと
 


群馬大学工学部 建設工学科
  杉山 隆文 助教授

2.今回のタイトルは何を意図していますか

 コンクリートの歴史に新たな1ページを加えるために「コンクリートの挑戦」という、少々刺激的なタイトルにしました。つまり、今の研究の取り組みは、コンクリートの新たな利用技術やその用途を再開発することと関連しています。

 コンクリートは、鋼と並んで主要な建設材料の一つです。コンクリートはギリシャ・ローマ時代に既に実用化されていたとの報告もあり、これらの時代の水道橋やコロシアムからもその様子を知ることができます。コンクリートは、セメント、水、骨材を用いて練り混ぜてから硬化しますが、近代的な人工セメントは、1824年、イギリスの煉瓦職人J.Aspdinによってその製造法が発明されたと言われています。その後,鉄筋網や鋼板などを埋め込んでコンクリートを補強した実験が行われ、1867年、パリの庭師J. Monierが鉄筋コンクリートの特許を取ってから急速に発展するに至ったとされています。わが国では、1903年廣井 勇(北海道庁技師・東京帝国大学教授)によって、鉄筋混凝土(鉄筋コンクリート)の術語が始めて使用され、このころから鉄筋コンクリートを利用して港湾施設や道路橋などの土木構造物が本格的に構築され始めました。このように、わが国では近代のセメントから製造されるコンクリートの土木構造物への利用は、100年程度です。

 逆に考えると、100年程度しかコンクリートの耐久性については明確になっていないのです。一方、現在、数百年単位のコンクリート構造物の超長期耐久性が要求されるものがあり、そのための研究に取り組んでいます。詳しい研究内容は後述しますが、核関連の廃棄物処理施設の構築です。放射性元素の半減期が100年以上であり、そのための処理施設の構築が検討されており、コンクリートへの期待が高まっています。この場合、常時地下水と接する環境にコンクリートが曝されると考えられます。さらに、地球温暖化で今後予想される海面上昇や地震ハザードに対する防災機能を確実にするためには、海洋構造物の安定とその充実が求められています。つまり、コンクリート構造物の塩害を防止する技術の開発が要請されています。このように、新たな挑戦とは、百年単位のオーダーで、過酷な環境条件の下で、コンクリート構造物が超長期耐久性を確保する研究への取り組みを意味しています。

 
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