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群馬大学




群馬大学工学部 生物化学工学科 助教授 大嶋 孝之


 
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1. はじめに 
2. オゾンとは
3. オゾン氷の特性
4. オゾン氷の利用
5. まとめ
 


1.はじめに

 オゾンは強力な酸化力をもっており、また自然分解で酸素に戻り残留性がないという性質から、ヨーロッパでは古くより水道水の浄化方法として用いられてきました。日本では、塩素消毒が法律で規定されているため水道水への適応は脱臭に限定されています。しかし、生活排水や産業排水処理、化学合成品の製造、半導体の超精密洗浄、食品製造工場内や食品貯蔵庫内の空気の浄化、食品及び食品原材料の殺菌、ホテル、スーパーの生鮮食品配送センターや学校給食センターの空気の殺菌に幅広く用いられ始めています。特に食品分野ではオゾンを用いた殺菌、脱臭が注目されています。殺菌にオゾンを用いる利点としては残留性がないため食品の風味を損なわないことが挙げられます。また、紫外線殺菌では効果のない影の部分にも浸透することも期待できます。

 食品関連分野でオゾンを利用する場合、オゾンガスよりもオゾンを水に溶解させたオゾン水を使用するほうが、安全性や効率の面で有利です。しかし、水中ではオゾンは数分から数十分で分解してしまいます。そのため貯蔵ができない、殺菌効果に持続性がないという問題があり、使用する直前にその場で調整する必要がありました。

 また、オゾン水を氷結させたオゾン氷を使用することも提案されています。オゾン氷は現在、鮮魚等の輸送流通に大量に使用されている氷の代わりに使用するなどの利用方法が考えられています。また、私たちはオゾン氷がオゾンの保存にも利用できるのではないかと考えていました。オゾンをオゾン氷の状態で保存・運搬することができれば、今までのようにオゾン水を使用直前に調整する必要がなく、必要な時間と場所に配達することも可能になります。また食品加工現場で有用な冷水の代わりに冷オゾン水を簡単に調整することも可能になり、食品の安全性や品質保持に多大の貢献をすると考えました。

 そこで私たちは(株)増田研究所と共同で、氷中のオゾンの特性について調べました。また、オゾン水を氷結させオゾン氷を作り、これを用いて生鮮食品(もやし、レタス、キャベツ)の保存特性を調査しました。
 
 
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