〔た〕

【タープ】tarp{E}

オートキャンプなどで、雨除けや日除けとして使われる一枚布。ターポリン(terpaulin=タールを塗った防水布)が語源。一般にひし形や長方形で(上空から見た形)、2本のポールと数本のロープで張る。登山用の小型軽量のものもある。

たい【岱】

山、山の頂上にある草原や湿原。

【タイインルーム】tie-in-room{E}【ビレイループ】

ハーネス(安全ベルト)の前部に付いている小さなテープの輪。ここにロープを結んだりカラビナを掛ける。
roomは、部屋の意味の他に、場所・余地・空間などの意味がある。

【タイオフ】tieoff{E}

(1)ロープが括れてしまうこと。例えば、エイト環を使って懸垂下降や確保をするとき、ロープの扱いを間違えると、ロープでエイト環を括ってしまいエイト環が動かなくなる。左側の写真で、カラビナに荷重がかかっているとき、右下のロープを上に上げてしまうと、右側の写真の状態になってしまう。
(2)スリングプルージック結びで立ち木やピトンに結び付けること。
  懸垂下降をするつもりが エイト環を括ってしまった

【タイガー】tiger{E}

優秀な働きをしたシェルパに与えられる賞。1924年、エベレストに挑戦したマロリーらのイギリス登山隊が創設した。⇒シェルパ
【タイガーバッジ】=第1級のシェルパに与えられるバッジ。

たいかんおんど【体感温度】

体に感じる温度。気温が同じでも風速・湿度(雨や汗)・日射などによって体感温度は異なる。
風があると寒く感じ、風速1m/sにつき体感温度は1℃下がる。

たいかんくんれん【耐寒訓練】

冬山の厳しい低温に体を慣らすためのトレーニング。薄着でいる、暖房を使わないなど普段の生活の中で行うものと、比較的低い山でビバークをするなど実践的なものとがある。

【ダイク】dike{E}

固い岩質の部分が帯状に飛び出して残ったもの。岩脈。[溝]。単体で残ったものは【チキンヘッド】という。
?!家を建てる職人さんまたは合唱つき交響曲!?

たいすいあつ【耐水圧】

テントやフライシートなど布地の防水性を表す数値。水洩れが始まる水圧で、単位はmm/cm2。テントの場合は1500mm/cm2くらい。

【タイトロープ】tightrope{E}

ロープをピンと張った状態でビレイ(確保)する方法。コンティニュアス(ロープにつながった2人が同時に行動する登り方)で、通常、ロープはある程度の余裕を持って緩んでいるが、それを張ったままにしておくこと。[綱渡りのために張ったロープ]

【ダイナミックビレイ】【制動確保】【動的確保】

クライマーが墜落したとき、ロープを一気に止めないで少し流し(繰り出し)ながら徐々に止める技法。麻ロープが使われていた古い時代には必要な技術だったが、ナイロンロープが使われる現在では使わない。ロープを一気に止める技法を【スタティックビレイ】【静止確保】【静的確保】という。

【ダイナミックロープ】【スタティックロープ】

ロープに強い力が加わったときに伸びるものをダイナミックロープといい、登攀に使用する。伸びが少ないものをスタティックロープといい、レスキュー(救助活動)に使用する。

【ダイニーマ】Dyneema{c}

超高分子ポリエチレンを原料にした繊維。軽量で超高強度、高弾性率を有し、スリングなどに使われている。

たいふうしせい【耐風姿勢】

冬山で強風や突風から身を守るための姿勢。両足を開き、ピッケルを雪面に深く突き刺さす。ピッケルを両手で握り、頭を低くして風に備える。
?!また山へ行くためにかみさんの許しを請うこと!?

【ダイヤモンドダスト】diamond dust{E}【ダイヤモンドフォグ】-fog{E}【氷霧】

極寒のときに、空気中の水分が氷結し、それが太陽に反射してきらきら輝きながら降る現象。規模が大きいものをダイヤモンドフォグという。

【ダイヤモンド富士】

富士山から朝日が昇る時に、あるいは夕日が沈むときに、太陽が発する光彩。その風景。太陽の光芒をダイヤモンドの燦めきと見たもの。

たいわんぼうず【台湾坊主】{s}

冬季に東シナ海で発生する低気圧。台湾低気圧。多くは太平洋沿岸を通過して表日本の山に多量の降雪をもたらし雪崩の危険が増大する。移動速度は早く(普通の低気圧の倍速)、発生から1〜2日で中部山岳地方に達する。

【ダウン】down{E} うもう【羽毛】

鳥の綿毛、羽の下の毛、水鳥の胸毛。シュラフや防寒服などの保温材として使われる。down[鳥の産毛][下へ]。
「鳥の羽」「フェザー(feather)」は、木の葉状に一本の芯から細かい毛が出ているもので、保温材としては1ランク落ちる。羽毛は細かい毛。⇒フィルパワー
ダウンは、保温性と収納性は良いが、濡れると保温効果が急に落ちる。 ?!つまりダウンするわけだ!?

【ダウンベスト】down vest{E}

ダウン(羽毛)を使ってキルティング(刺し子縫い)をしたベスト(チョッキ)。vest[胴着]
?!やっぱりダウンが最善じゃ!?

【たお】【たおり】【たる】【たるみ】【たわ】たわ【乢】

峠。尾根上の低くへこんでいる部分。鞍部。

【ダガーポジション】daggar position

ピッケルを持つときに、ピック(尖った方)を前にブレード(平たい方)を後ろにして持つ持ち方。dagger[短剣、†印]
氷雪の斜面を歩くとき、ピックを後ろ向き(小指側)にして持つのが基本的な持ち方。しかし、バランスを崩した瞬間にピックを刺すためにはピックを前向き(親指側)にしている方がよい。⇒初期停止

たかまき【高捲き】【巻き】

滝や淵やガレ場などを避けて、側壁を登るなどして迂回すること。この場合の「たか」は上の意味。⇔直登。⇒捲く
【高捲き道】【巻き道】滝などを高捲きするように造った道。

たき【滝】

崖から水が落ちているところ。瀑布。⇒F1
滝の傾斜が45度以下のものを【滑滝】、45〜60度のものを【斜瀑】といい、60度以上のものを滝、【直瀑】という。遡行図では、落差3m以上のものを滝として掲載する。⇒遡行
本来の「たき」は、急流や断崖(水のあるなしに関係なく)のことで、現在の滝は昔はたるみ【垂水】といった。

だきいし【抱き石】

山道の側面から大きな石や岩がせり出してきている場所。そこを通る者は、その石を抱きかかえるようにして通らなければならないため。【へそすり石】ともいう。

たきぐも【滝雲】

尾根(鞍部)を越えて滝のように落ちる雲。この現象が出ると悪天候になることが多い。

たきび【焚火】焚き火、ほたび【榾火】ほだび

屋外で木の枝や枯れ葉などを燃やすこと。焚[燃やす]、榾[木の切れ端]。⇒キャンプファイア。燃料とする木を【薪】まきという。

【タクティクス】【タクティック】tactics{E}

戦術。どのルートをどのような方法で登るかといった攻略の方針。tactics[整った事柄]

たけ【岳】【嶽】

高くて険しい山。大きくて威厳があるもの。
山名につくときは、岩山(険しい岩場がある山)に使われることが多い。例: 剣岳と剣山。⇒

だけかんばたい【岳樺帯】

ダケカンバが帯状に分布している地帯。這松帯のすぐ下に岳樺帯ができることがある。

たけペグ【竹ペグ】

竹製の板(棒)。1本または2本を十字に組み合わせて雪中に埋め、テント張り綱の支点、場合によっては懸垂下降のアンカー(支点)などに使う。

【タッシュ】Tasche{G}

キスリングザックなどのサイドポケット。[鞄、ポケット]。⇒キスリング

たな【棚】

沢の中で棚状に平になっているところ。滝が連なった谷。高所にある平地。⇒レッジ

【だび】【荼毘】

火葬。死んだ人の遺体を焼いて弔うことを【荼毘に付す】という。

【ダブルアックス】

ピッケルとアイスバイルを両手に持って登攀する技法。ビオレ・トラクション。アックスはピッケルとアイスバイルの総称。⇒アイスバイルビオレトラクション

【ダブルロープ】double rope{E}【ツインロープ】twin

登攀において2本のロープを使うこと。2本のロープを束ねて1本のロープのように使うのを「ツイン」、別々のプロテクションにかけるのを「ダブル」という。ダブルで使うように作られたロープには、その末端に【1/2】の表示があり、シングル仕様ロープには【1】の表示がある。

【ダブルフィギュアエイトノット】double figure eight knot{E} 【二重8の字結び】

ロープとハーネス(安全ベルト)を結ぶのに高い信頼を得ている結び方。強度が抜群でゆるみぬくいが、過重がかかるとほどきぬくいのが難点。⇒ブーリン
二重8の字結び

【たる】【たるみ】【たわ】

鞍部。尾根の低くなったところ。

【たん】【谷】

越中地方の方言で谷のこと。池ノ谷は「いけのたん」と読む。

【タワー】tower{E}

塔のように聳え(そびえ)立っている峰。

だん【段】

尾根や山腹などにある開けた平らな場所。

たんどくこう【単独行】【単独登山】【単独登攀】【アラインゲング】Alleinge{G}

パーティを組まず、独りで行う登山。
【単独行者】【アラインゲンガー】としては加藤文太郎やゲオルク・ウィンクラー(独)が有名。加藤の紀行集に「単独行」がある。

〔ち〕

【チーフ】chief{E}

主任。登山パーティ内で装備係や食糧係などの役割を決めたとき、その責任者。サブリーダー(副隊長)に対してリーダー(隊長)のこと。caput{La}[頭]

ちいるい【地衣類】

菌類と藻類の共生体でひとつの生物のように見えるもの。
【地衣帯】地衣類やコケ類は生えているが高等植物が生えていない地帯。

ちさんどうろ【治山道路】

砂防ダムなどを建設したり管理するために造られた道路。通常、一般車両は通行できない。

ちず【地図】

地球表面の状態を平面上に表した図。⇒等高線
【地形図】=国土地理院が発行している地図をいう。1/1万、1/2万5千、1/5万がある。
登山では2万5千分の1の縮尺のものが多く利用されている⇒縮尺
【地勢図】=縮尺は1/20万で、尾根や谷の形がわかるように陰影がつけられている。
【集成図】=複数の地形図をあわせて1枚にまとめたもの。
【国土地理院】=国土交通省(旧建設省)の付属機関。日本国内の測量や基本地図の作成を行っている。
【登山地図】=登山道、コースタイム、山小屋など登山に必要な情報を記載した地図
【数値地図】=パソコンなどで利用するための地図データ。

ちじょうほうか【地上砲火】{s}

肥溜め式のトイレで用をたしたときに、下から跳ね返ってくる流動体。これに対応して、用をたすことを【爆撃】という。⇒きじうち

【チタン】Titan{G}【チタニウム】titanium{E}

(1)ギリシャ神話の巨人タイタン。
(2)原子番号22番の金属、化学記号は Ti。
強度が強く軽い、耐蝕性にすぐれ、熱伝導性が低い、金属臭がないなどにより食器(カップやスプーンなど)をはじめ登山用具に使われている。

【チッピング】chiping{E}

ホールド(手がかり)やスタンス(足がかり)を作るために自然の岩(岩場)を削り取ること。[〜を削る]

ちとう【池塘】

高山の湿原に点在する小さな池。⇒浮島
?!青春時代のはかなさ、堤の草の上で見た夢!?

【チムニー】chimney{E}【カミン】Kamin{G}

煙突状の岩の裂け目で、人体の入る大きさのもの。クラックより大きい。[煙突]

ちゅうこうねんとざんしゃ【中高年登山者】

一般に40代から50代あたりの登山者。中年と高年。1990年代からこの世代の男女の間に登山がブームになっている。
?!中高年になってから登山を始めた人を中高年登山者といい、少年期から継続して登山をしている人は熟練登山家という!?

【チューバ】tuba{L}【バケツ】{s}

ATCなど筒型のビレイ(確保)器具。バケツ型ビレイ器といい、略してバケツともいう。tuba[ラッパ]。⇒ATC

【チューブテント】tube tents{E}

筒状になって両端が開いている、簡易型のテント。

ちゅうきゅうさんがく【中級山岳】

標高が中程度の山岳地帯。一般に1500m-2500mあたりの山岳をいう。

【チョーク】chalk{E}

フリークライミングで、滑り止めのために手などにつける炭酸マグネシウムの粉。[白墨]。
【チョークバッグ】=チョークを入れて、腰にさげる袋。【チョークアップ】=指にチョークを付けること。【クリーニング】=岩についたチョークをブラシなどで落とす(掃除する)こと。

ちょうかんず【鳥瞰図】

鳥が眺めたかのように、高所から見下ろして描いた立体的な地図。距離や面積は分からないが、実感を掴みやすい。

ちょうじゅうほごく【鳥獣保護区】

鳥や獣を保護するために環境庁や都道府県知事が決めた地域。

ちょうじょう【頂上】

山の一番高いところ、てっぺん、いただき。?!いただきま〜す!?

ちょうちょうぐも【蝶々雲】

稜線の上空の同じ位置に、浮かんでは消え、消えては浮かんでいる綿雲。小型の移動性高気圧の中心付近にあるときに現れるので、翌日には雨になる。

ちょうめいし【町目石】

霊山の登山道や街道などに1町(109m)おきに設けた標識。

ちょうりょう【頂稜】

頂上が複数のピークからなっているときにそれらを結ぶ稜線。頂上へつながっている稜線。
?!マナーの悪い連中がのさばりはびこっているところ!?

ちょくせつ【直接ビレイ】かんせつ【間接ビレイ】

アンカー(岩に固定したプロテクション)で確保する方法が直接ビレイ。クライマー(登攀者)が墜落したとき、その衝撃がアンカーに直接かかる。【直接確保】【固定支点ビレイ】ともいう。
 ビレイヤー(確保者)が確保する方法が間接ビレイ【間接確保】【ボディビレイ】。ビレイヤーはアンカーにセルフビレイ(自己確保)を取っている。クライマーが墜落したとき、その衝撃はまずビレイヤーが吸収し、ついでアンカーにかかる。ビレイヤーがセルフビレイをとらずに、クライマーが墜落したときビレイヤーは空中に引っ張り上げられ、その体重で確保する方法もある。
【ターニングボディビレイ】アンカーを介して(ロープがアンカーでターンして)ビレイヤーが確保する方法。「ボディビレイ」はATCなどの確保器具を使わずに、ビレイヤーの体で(腰がらみなどを使って)制動をかける方法をいうが、この場合はふつう確保器具を使う。

ちょくとう【直登】【ディレッティシマ】【鉄砲登り】

岩場などを直線状に、あるいは最大傾斜線方向にまっすぐ登ること。岩登りのルートは、普通はクラック(岩の割れ目)やホールド(手がかり)に沿って蛇行する。それを無視して直線上に登ること。⇔トラバースたかまき

【チョック】chock{E}

クラック(岩の割れ目)に差し込んで固定するプロテクション(確保器具)の総称。ナッツ、ヘキセントリック(Hexentric)、カム、フレンズなどがある。[ぎっしり、くさび]

【チョックストーン】chock stone{E}

チムニーやクラックなどの岩の割れ目に挟まっている石。
?!岩の割れ目にストンと挟まりこんで動けなくなる人がチョクチョクいる?!

【チョモランマ】Chomolungma{T}【サガルマータ】Sagarmatha{Np}【エベレスト】Everest{E}

ヒマラヤ山脈にある世界の最高峰。標高8850m。チベット名のチョモランマは[大地の母神]の意味。ネパール名のサガルマータは[宇宙の頭(世界の頂上)]の意味。エベレスト

ちりいんず【地理院図】

国土交通省(建設省)の国土地理院が発行する五万分の一や二万五千分の一などの地図。

ちるい【地塁】【地塁山地】

周りが断崖で切れ落ちて高くなっている地形、山地帯。

【チロリアンシューズ】Tirolean shoes{E}

チロル地方を原産とする紐靴。街中でも履ける軽登山靴。

【チロリアンハット】Tirolean hat{E}【チロル帽】

フェルトでできた帽子で、縁は狭く、縁の後部は上部に折り曲げている。登山帽として愛用されていた。

【チロリアンブリッジ】Trolean bridge{E}

水平に張ったザイルに掴まって沢や崖を渡る技法。ザイルの上に腹這いになり、片足をザイルにかけ、他方の足はだらんとぶら下げる。両手でザイルを引っ張って前進する。渡り方はこの他にもいくつかある。

【チロル】Trol

オーストリア西部からイタリア北部にわたる地方。氷河、森林、牧草地などが広がるアルプス東部地帯。

ちんでん【沈殿】{s}

悪天候などで行動ができなくなって、山小屋やキャンプ地に長く滞在すること。⇒停滞

【チンネ】Zinne{G}

巨大な岩峰、尖塔。(ジャンダルムよりも大きいものをいう)。鋸歯状(のこぎりの歯のような)の胸壁。[ギザギザの峰/ヨーロッパ中世の城壁上の凸部]。
剣岳・三の窓のチンネは固有名詞になっている。

〔つ〕

【ツアー】【ツアー登山】tour{E}

遠出、小旅行。旅行会社や登山教室などが参加者を公募して実施する団体登山。[旅行]
【スキーツアー】スキーを使って野山へ遠出をすること。

【ツァッケ】Zacke{G}【ピナクル】

(1)山稜に切り立っている小さな岩の峰。⇒ ピナクル。[先端]
(2)アイゼンの爪やピッケルの先端。⇒スピッツェ

ついらくけいすう【墜落係数】【墜落率】

クライマーが墜落したときにクライマーやプロテクション(確保支点)にかかる衝撃の大きさを表す。
 墜落係数 = 墜落した距離 ÷ 繰り出したロープの長さ
墜落した距離が同じであっても、繰り出したロープが長い方が、ロープが衝撃を吸収するので、クライマーにかかる衝撃は小さくなる。例えば、15m登ってプロテクションを取り、さらに5m登ったところで墜落したとする。墜落距離は5m+5m=10m、ロープの長さは15m+5m=20mだから墜落係数は 0.5 になる。一方、5m登ってプロテクションを取り、さらに5m登ったところで墜落したとする。墜落距離は前者と同じ10m、ロープの長さは5m+5m=10m、墜落係数は 1 になる。後者が衝撃が大きい。つまり、出だし(登り始め)はまめにプロテクションを取る必要がある。

【ツェルト】【ツェルトザック】Zeltsack{G}

袋型の軽量簡易テント、非常用テント。本来はポールはなく、木や岩を使って張るか、頭からかぶる。ドイツ語のツェルト(Zelt)はテントのことだが、日本ではツェルトザックの意味で使われている。Zelt[テント]、Sack[袋]。⇒ テント

つじ【辻】

四叉路(十字路)、二つの道が交わっているところ、分岐点。路上や道端の意味でも使われる。

【つづらおり】【葛折り】【九十九折】【ジグザグ】Zickzack{G}

Z型にくねくねと幾重にも曲がりくねって続いている坂道。ワインディングロード。【電光坂】。葛[フジなどツル性の植物] 蔓が折れ曲がっているところから。Zickzack[鋸の歯]

【つぼあし】【壺足】{s}

深い雪の中を(スキーやわかんを使わないで)、足が雪の中に埋まりながら歩くこと。足跡が壺状になるからか。⇒ラッセル

【つめ】【詰】

沢の奥。「つめる」は沢を奥(源流)まで登りつめること。 ?!小指を切るわけではない!?

つゆあけとおか【梅雨明け十日】

梅雨が明けた後の10日間くらいは晴天が続くということわざ。太平洋高気圧が発達して梅雨前線が北上し梅雨が明けると晴天が続く。

つりおね【吊尾根】

尾根の末端が隆起したもの。二つの山頂をむすぶたわんだ(きれいなアーチ状の)尾根。奥穂高岳と前穂高岳の間など。

【つるべ式】【釣瓶式】

二人のクライマーが、各ピッチごとに交互にトップになって登る登り方。つるべとは、井戸の水を汲むために縄の両端につける桶のこと。水を汲む時は、二つの桶が交互に上下する。 ⇒スタカットピッチオーダー

【ツルム】Turm{G}

塔のように尖った山。[塔]

〔て〕

【テーピング】tapeing{E}

捻挫などの怪我をしたときの応急処置や、怪我の予防のために、足首、手首、膝などにテープを巻いて保護したり固定すること。

であい【出合】【落合】ふたまた【二俣】【二股】【二又】【土合】【河合】ど【渡】【川口】【合流点】

二つの川(谷、沢)が合流する地点。合流点以外は地名(固有名詞)としてよく使われている。⇒ジャンクション
「ふたまた」は水量が同じ場合に用いる。「川口」は元々は河口(かこう)、つまり川が海に注ぐ地点の呼称で、小さな川が大きな川と合流する場合に使われる。
合流点に「〜出合」などと地名が付く場合は、一般に支流の名を使う(滝谷出合など)。

【ディアライト】DiALiGHT{c}

低温時には保温性、高温時には透湿性を持つ素材。温度が低いときには分子の間隔を狭めて熱の放出を押さえ、温度が高いときには、分子の間隔を広げて熱や蒸気を放出する素材。ジャケット(上着)などに使われる。

【ティックマーク】【分目盛】

地図(国土地理院の1/25,000地形図など)の四辺に一定間隔で記載されている短線。緯度・経度の1分間隔を表す目盛。

ていきあつ【低気圧】

地上天気図で周囲より気圧が低いところ。その中心では上昇気流が生じているので雲ができやすく、雨が降っていることが多い。

ていさつ【偵察】

冬山登山のために秋にルートを確認し、ルート上に赤布を付けたりする山行をいう。本来の意味は、軍事用語で、密かに敵の動静をうかがう行動。
偵察の際に、食糧や装備などを運びあげて要所に保管することもある。その運びあげ作業を【荷揚げ】といい、保管する場を「デポ」という。

ていたい【停滞】

一ヶ所に留まって動かないこと。悪天候やパーティのコンディションなどによって、行動を中止してその場に留まること。⇒沈殿

ていちゃくとざん【定着登山】

宿泊地(キャンプサイト)を一箇所に定めて、そこを起点にして日帰りで複数のコースに出かける登山形式。

【ディパック】daypack{E}

日帰りの山行に適する小型のザック。【ディパッキング】=日帰りのハイキング。
【ティアドロップ型】(上部が狭く下部が広がっているスタイル)で、ジッパーで開閉を行う小型のザック。⇒アタックザック

ていぼくたい【低木帯】

背丈の低い(1-3mくらい)樹木が茂っている地帯。灌木帯

【ディレクション】direction{E}

ナッツ1個では、ロープが引かれた方向によっては外れそうなときに、その方向に備えてセットする別のナッツ。ナッツは、岩の割れ目に差し込んで確保支点を作る器具。[方向、趨勢]。⇒ナッツ

【ティンバーライン】timber line{E}

森林限界線。timber[材木、森林]。timberの元の意味は、木を伐採するときに注意を喚起するための掛け声 「チィンバー!」。

【てぐす結び】【テグス】【フィッシャーマンズノット】

てぐすなど、糸や細いロープをつなぐ結び方。登山において、ロープをつなぐときにも使われる。⇒フィッシャーマンズ・ノット
てぐすとは、テグスサン(蛾の一種)の幼虫の体内から取り出した絹糸線から作った糸のこと。釣り糸。

【デセンダー】【ディセンダー】desender{E}【デサンドール】Descendeur{F}

下降器。ロープを使って降下するための器具。⇒エイト環懸垂下降。⇔アセンダー

てっしゅう【撤収】

テントなどをたたみ、荷物をまとめて、その場から引き上げること。
河原や沢近くでキャンプしていて夜中に雨が降り出したとき、リーダーが叫ぶ「てッしゅーう!!」

【デッドマン】【スノーフルーク】

雪の中に埋めてアンカー(確保支点)を取るための器具で、湾曲したアルミ合金の板にワイヤーをつけたもの。

てっぽうみず【鉄砲水】

集中豪雨などによって、谷の水が激しい勢いで一気に流れ下ること。
山奥で切り出した材木を下流に運ぶために、堰を作ってそこに材木をためておき、堰を切って一気に流す方法があった。その堰を【鉄砲】という。

てっぽうのぼり【鉄砲登り】

途中に緩やかな場所がない、一直線に近い急な傾斜で登っている坂道。

【デブリ】debris{F}

破片、崩壊物。雪崩落ちて堆積している雪塊。山崩れの堆積物や風化・氷雪蝕のために崩れた岩石が積み重なったもの。[破片]

【デナリ】Denali{E}

アラスカにある北米最高峰マッキンリー山(6,194m)。先住民族の言葉で「白き偉大なるもの」の意味。マッキンリー(Mckinley)は、第25代大統領ウィリアム・マッキンリーにちなむ。

【デニール】denier{F}

繊維の太さを表す単位、記号はDまたはdn。長さ9,000m(450m)の糸の重さが1g(0.05g)の場合を1Dという。数値が大きいほど太い糸になる。テント地は40D〜70Dくらい。

【デポ】depot{F}

ザックやスキーなどの荷物を一時置いておくこと。冬山用の食糧や装備を、雪が無い秋のうちに運びあげて山小屋などに保管しておくこと。[預けること、駅、貯蔵所]。⇒偵察

【デポ旗】depot flag

1mくらいの細いポールの先に赤布を取り付けたもの。冬山の登山で、ルート上に道標のために建てる旗。

【テラス】terrace{F}

台地。岩場の棚状地。岩壁の途中にある、2〜3人が休めるくらいの広さの平らな場所。⇒バンド

【テルモス】Thermos flasche{G}【サーモス】THERMOS{c}

魔法瓶、保温性のある水筒。THERMOSは魔法瓶を製造しているドイツのメーカー名。

【テレマーク】Telemark{No}

ノルウェーのテレマーク地方で発達した、野山を歩くスキー(テレマーク・スキー)。
クロカンに比べてエッジとサイドカーブがあり、ブーツが堅めで、エッジ操作がやりやすくなっている。また、回転(方向転換)のやり方に特徴があり、片足を前にだし両膝を深く折り曲げる独特のスタイルをする。⇒山スキー

【テレマークターン】【テレマーク姿勢】

テレマークスキーで回転する技法、その姿勢。スキージャンプ競技で着地のときにもテレマーク姿勢を取る。
テレマークターンという言葉は、カヌーの回転技法でも使われている。

てんきず【天気図】weather chart{E}

同じ時刻に観測した、各地の天気、気圧、気温、風向、風力、および低気圧、高気圧、前線、等圧線などを地図上に書き表したもの。登山中には、NHKラジオ第2放送の気象通報を聞いて作成する。

てんきりげん【天気俚諺】

天気予報に関する昔からの言い伝え。「朝日の赤いのは雨、夕日の赤いのは晴」「山が青く見えると晴、白く見えると雨」など予報に役立つものも多い。

てんぐだおし【天狗倒し】

山で生活する人たちがよく聞くと言う怪音のひとつ。深夜に木を切るノコギリの音が聞こえ、やがて大木が倒れる音がする。翌朝、その音が聞こえた現場に行ってみると木は一本も倒れていない、といった現象をいう。

でんこうざか【電光坂】

ジグザク(Z字型)に登っている坂道。電光は稲光(稲妻)のこと。

てんじょう【天井】【でっちょう】【てんしょう】

山のてっぺん。絶頂。大天井岳(おてんしょう-)は梓川の支流二の俣谷を上り詰めた天辺の意。 ?!屋根裏を覆い隠す板!?

【テンション】tension{E}

ロープをピンと張ること。ロープに体重を掛けること、ぶら下がること。またプロテクション(確保支点)をつかんだり、それを足場にすることもいう。
クライマーがバランスを崩すなどして、ロープに張力がかかるときに、ビレイヤーに注意を喚起するために叫ぶ掛け声。

てんすい【天水】

雨水。雨水を貯めたもの。山小屋によっては雨の水を集めて飲料水や生活用水に使っている。

てんせき【転石】

河原などに点在している石。転がっている石。いまゴロゴロと転がっている(落ちつつある)石は落石

【テント】tent{E}【天幕】

支柱と布でできた簡易家屋。ネイティブアメリカンは【ティピー】tepee、モンゴルでは【ゲル】ger、中国では【パオ】包 pao、トルコでは【ユルト】yurtという。ユルトは故郷のことでもある。テントは登山家にとって故郷かもしれない。

  登山テントを形で分類すると次のような種類がある。
【三角型】【ウィンパーテント】【ミード型】=三角柱を横に置いたような形。ウィンパーテント
【屋根型】=切妻の屋根を地面においたような形。(切妻とは、本を開いて逆さに置いたような形の屋根)
【家型】=屋根型に短い壁がついた形
【かまぼこ型】=蒲鉾のように円柱を半分に切った形
【ドーム型】=湾曲させたポールを組み合わせた半球型。現在の登山用テントの主流
【ジオデシック型】=複雑な六角形。
【ロッジ型】=オートキャンプで使われる壁の高い家型。⇒ロッジ
【セルフスタンディング】=張り綱を張らなくても自立しているタイプ

   付属品などには次の名称がある
【ポール】=支柱にするパイプ。
【フレーム】=ポールを組み合わせて骨格にしたもの
【ペグ】=張り綱を地面に固定する大釘(小型の杭)。ペグを地面に打ち込むことを【ペグダウン】という。
【フライシート】【タープ】【外張り】=雨除けにテントの上(外)に張る防水布
【グランドシート】=水除けや汚れ防止にテントの下(地面)に敷く防水布
【内張り】【インナー】=冬山テントなどでテントの内側に張る布
【スリーブ】=テント本体にあるフレームを通す筒状の部分。(袖)
【シームテープ】=縫い目の浸水を防ぐために貼っているテープ。
【吹き出し口】=冬用テントにある出入り口。ひもで縛れるようになっている。
【前室】=出入り口付近に、フライシートとテント本体とでできる、荷物を置ける空間
【何人用】=宿泊できる人数。山岳用テントの一人あたりの床面積は、180×44.5cm

【テント場】

テントを張る場所。キャンプ場。

【テントシューズ】

テントの中で、足を保温するために履く履物。シューズといっても、厚手の靴下に近い。

てんぴょう【覘標】

三角点などの測量地点が遠くから分かるように設ける標識。3本または4本の木などを角錐状(ピラミッド型)に組み合わせたもの。覘はうかがうこと。

てんらく【転落】/ かつらく【滑落】/ ついらく【墜落】

崖などから落ちること。転落は斜面を転がり落ちること、滑落は氷雪上を滑り落ちること、墜落は(高いところから)空中を落ちること。⇒滑落停止
?!人生では転落しても滑落しても墜落してもいい、堕落さえしなければ立ち直れる!?

〔と〕

【ドーム】dome{E}

半球型の頂上や岩峰。円頂。doma{Gr}[屋根]

【トア】【岩塔】

岩壁の中にまるで石碑や塔のように突出した岩。岩盤が風化していく際に、節理(岩の割れ目)が少ない部分が風化せずに残ったもの。金峰山や鳳凰山の地蔵岳などに見られる。

とうきごや【冬季小屋】

冬の期間に利用できる山小屋。夏季には営業している山小屋が、冬季に小屋の一部や古い建物を登山者のために解放しているもの。【一部開放】 ⇒避難小屋

とうげ【峠】 pass{E} col{F} Sattel{G}

山道において、坂を登りつめて下りに転じるところ。鞍部(尾根上の低くたわんだ部分)を「たお」という。それから転じたもの。
 峠は、一般には尾根の低くなった所にあるが、ときに盛り上がったところや山名につくこともある。そこに尾根を越えていく道があれば、「上りから下りに転じるところ」だ。もとから道が無い場合は、「とっけ(突起)」が「とうげ」に転じて「峠」になったものであろうか。passもcolもSattelも鞍部の意味。⇒どっけ乗越し

とうこう【登高】

高山に登ること。
登高器はロープを登るための器具。⇒アセンダー

とうこうせん【等高線】【コンターライン】contour line{E}

地図上で標高を表す線。地表面を一定間隔の水平面で切った線。
等高線には主曲線と計曲線がある。【主曲線】は細い線で描き、2万5千図では10m間隔にある。【計曲線は】太い線で描き、50m間隔で引く。

とうしょう【凍傷】 frostbite{E}

ひどい寒さの中で指先や足指などの血行が悪くなり障害が残る症状。
損傷の程度により4段階に分けられる。第1度=皮膚に充血むくみが生じる。第2度=水泡が生じる。第3度=皮下組織が壊死を起こす。第4度=手足の指などが脱落する。
?!そうなったらとうしょう!?

とうはん【登攀】とはん climbing{E}

険しい山や岩場を手足を使ってよじ登ること。岩や氷雪をよじ登ること。一般の登山道を登るときには使わない。
【登攀隊長】=ヒマラヤなどの遠征登山で、頂上をアタックするチームのリーダー。

どうひょう【道標】【みちしるべ】 guidepost{E}

道案内のために方向(行き先)や距離/時間を書いた標識。指導標。立て札。
山では、岩などにペンキで印を付けた【ペンキマーク】、木の枝などにテープや布切れを取り付けた【赤布】などでもルートを表す。マークに定まった規則はないが、一般に丸印や矢印は正しいコースを示し、×印は通行止めを表す。テープの色も赤が一番多いが他の色も使われる。

【とかげ】蜥蜴{s}

天気のよい日に岩の上で昼寝をすること。テントの外に出て食事をすること。「とかげをきめる」などとつかう。トカゲの生態から。造語者は大島亮吉ら。

どくず【読図】

地図を読むこと。地図に表されている情報から現地の状況を理解すること。

とざん【登山】mountaineering{E},Bergsteiger{G}

山に登ること。⇔下山
【アルピニズム】=より困難を求める"スポーツ"としての登山行為。登山哲学。
【クライミング】=険しい岩壁や氷壁を"よじ登る"こと。登攀。
【ワンダーフォーゲル】="山野歩き"、野山を旅すること。[渡り鳥]
【ハイキング】(hiking) =自然に親しむために野山を"歩く"こと。徒歩旅行。
【ピクニック】(picnic) =野外で"食事"をすること。遠足。遊山
【キャンプ】="テント"を張って炊事や宿泊をすること。天幕生活。

とざんか【登山家】

登山をする人⇒登山者
?!高地に順応し、平地における生存能力を著しく欠いた生物。最近は山岳地が都市化したために生息地を失い絶滅が危惧されている!?

とざんきせい【登山規制】

遭難事故防止や自然環境保全のために、地域や期間などを限って立ち入りを禁止すること。

とざんじょうれい【登山条例】

遭難事故防止のために、地方自治体が制定した法規。群馬県の谷川岳遭難防止条例や富山県の剣岳登山届出条例などがある。

とざんぐち【登山口】

山への登り口。車道や林道などから登山路へはいる入口。⇒アプローチ

とざんぐつ【登山靴】Bergschuh{G}【ざんぐつ】{s}【ブーツ】boot{E}

登山をするための靴。
目的や使用状況に応じていくつかのタイプがあるが、大きく分けると次の2種類。
【重登山靴】【アルパイン】【ウインター】=冬山や20〜30kgを超える重装備の登山など本格的な登山用の靴。素材は革かプラスチック。ソールは堅くて手で曲げるのは困難。
【軽登山靴】【トレッキング】【ウォーキング】【ハイキングシューズ】=ハイキングや夏山で使う靴。素材は布または革。ソールは堅いが手で(なんとか)曲げられる。

【キャラバンシューズ】=軽登山靴の一種。商品名
【兼用靴】=登山と山スキーのどちらにも使えるもの。
【ウェディングシューズ】【渓流靴】=沢登り用の靴。
【クライミングシューズ】【クレッテルシュー】=岩登り用の靴。

 登山靴の部品
【ソール】=靴底。地面を踏む部分。
【アッパー】=甲。上面、または底以外の部分
【ライニング】=内張。靴の内面に貼ってある柔らかい皮革やゴアテックなど。lining[内張]
【アイレット】【はとめ】=靴紐を通すための穴、【D環】=Dの字型のリング、【フック】=引っ掛けしきのもの
【ベロ】=靴紐を絞める部分の内側にある舌型の部分。
【べろ止め】=歩行によってベロが動くのを防ぐためのフック
【アンクルパッド】【スクリーガード】=ハイカットシューズで足首を保護するためのクッション部。ankle[くるぶし] scree[小石]
【インソール】【中敷】=靴擦れ防止や衝撃吸収などのために靴の中にいれる敷物。⇒インソール
【シューレース】=靴紐。
【シャンク】=適当な硬さを持たせるために、底(の内部)に入れるプラスチックなどの板。shank[土踏まず、すね]
【ショックアブソーバ】=底部に空気や液体を封じ込めて衝撃を吸収する装置。
【オイルレザー】=油脂を使ってなめした革。
【裏出し皮】=皮の裏面を表にした革
【ヌバック】=皮の表面(グレイン、銀面)を起毛処理した革
【ハイカット】=くるぶしが埋まる(足首まである)深いデザインの靴
【ローカット】=運動靴のようにくるぶしが覆われていない短い靴。
【足入れ】=靴を履くときの履きやすさや、入れたときに納まりがよいことを「足入れが良い」という。

 靴の【サイズ】は指先から踵までの一番長い個所を計ってcmで表す。この他に親指の付け根と小指の付け根の周囲を測りA〜Gの記号で表す。これを【ワイズ】【ウィズ】という。日本人の平均的な足は E あたりになり、サイズ(足の長さ)とワイズ(周囲)が同じ寸法になる。周囲の長さがそれより大きい足を【段広甲高】(だんびろこうだか)という。
 靴底の堅さを【フレックス】ともいう。フレックスが堅い靴は不整地長距離歩行、重装備向き。

とざんしゃ【登山者】とざんか【登山家】

登山者は、(一般的に)山に登る人、いま山に登っている人。
登山家は、登山を趣味や職業にしている人。登山に関する高い技術や知識を持ち、明確な哲学を持った人。?!本当かなぁ!? ⇒アルピニスト

とざんとどけ【登山届】

登山計画書。登山の日程、コース、メンバー、緊急連絡先、装備などを記載した計画書。登山前に地元の警察署や登山指導所などに提出する。
【下山届】下山したときに出す報告書。

とざんないふ【登山ナイフ】

登山で使用するナイフ。やや大振りで先端がとがったシースナイフ(さやに収めるナイフ)。峰が鋸になっていたり、柄に非常用小物を納めることができるものもある。

とざんのきふうをこうさくすべし【登山の気風を興作すべし】

志賀重昂(しがしげたか・地理学者)が1898年に著した「日本風景論」の一章で、日本の青年たちに西洋の冒険精神を取り込むこと奨励したもの。登山技術を解説し、槍ヶ岳など日本の山岳を詳しく紹介している。志賀は登山家ではなく、登山もやっておらず(北海道探検の実績はある)、しかも、フランシス・ガルトン(英・探検家)が著した「旅行術」(1873年)やB.H.チェンバレン(英・言語学教授)の「日本旅行案内」(1891年)などからの引用が多い。小島烏水や木暮理太郎などがこれに刺激を受けて登山に進み、近代登山の基礎を築いた。その意味で志賀は【近代登山の父】といえる。

としょう【徒渉】【かちわたり】

川や沢を(水の中をジャブジャブ)歩いて渡ること。沢を横断すること。【渡渉】とも書く。⇒ばっしょう
【徒渉点】=徒渉をする地点。コース上の渡渉をする場所。

【どっけ】【とっけ】【とっけん】

山頂の突起物。山名につくこともある。[突起]。⇒
?!とげとげしく振る舞うことはとっけんどんという!?

【ドッペル】doppeln{G} 【ダブル】double{E}

ザイルを中心で折り返して二重にして使うこと、または二本のザイルを併用すること。⇒ダブルローブ

どっぴょう【独標】

地図を作るための測量の際に、位置と高さを測定して標石を設置した場所を【標高点】または【独立標高点】という。それを略したもの。⇒三角点
槍ヶ岳北鎌尾根や西穂高岳の独標は固有名詞になっている。

【トップロープ】top rope{E}

あらかじめそのルートの終了点からロープをおろして、ビレイ(確保)をするクライミング形態。クライマーが登る方向にロープが伸びているので、安全性が高い。主にクライミングの練習のときに使う。⇔リード

どば【土場】

切り出した木材を集めておく場所。森林の中にある、木の生えていない平らな場所。

【トポ】【トポグラフィー】topography,topo{E}

フリークライミングなどで使われているルート図。岩場の絵や写真にルート名やグレードが載っている。topography[地形・地勢]。⇒概念図

【ドーム型テント】dome{E}

おわんを伏せたような形のテント。複数のパイプを組み合わせて湾曲したフレームを作り、天幕を張るタイプ。風に強い、居住性がよい、コンパクトにたためる、設営が簡単などのメリットにより現在主流のテントになっている。⇔ウインパー型テント。⇒テント

【トラバース】traverse{E} traverser{F} traversieren{G}【まく】【からむ】

横断。縦走路にある山を、その頂上へ行かずに山腹を横ぎること。斜登降。そのルートを【巻き道】という。
岩壁や氷壁で、横(水平)方向に登る(移動する)こと。⇒へつり。⇔直登
「からむ」と「からみ」は全く異なる言葉。⇒空身

 Traverse(英語)、traverser(フランス語)、traversieren(ドイツ語)は、いずれも[横切る、横断する]意味の言葉で、「traverse a desert = 砂漠を横断する」などと使われる。transversus{L}[斜めの]
 登山に関しては、ひとつのピークに登るのに、登りと降りが異なるコースになっているとき、あるいは、渓谷を渡る場合などに「traverse」という。⇒縦走

【トランシーバ】transceiver{E}

送信機と受信機が一体になった無線機。元来、無線機は送信機と受信機が別々の機器だった。それをひとつの筐体(箱)に収めたものをトランシーバーという。昭和54年ごろ、周波数27MHzを使った市民ラジオ無線機(CB無線)がブームになり、トランシーバという言葉が一般の人に使われるようになった。一般には、ポケットに入るような小型の無線機をいう。transmitter+receiver[送信機+受信機]。⇒アマチュア無線
アマチュア無線機

【トリコニー】tricouni{F} TRICOUNI{c}

登山靴のソール(底)(主に土踏まず)に付けるやや大型の鋲(金具)。鋲を作っていた会社の名。以前には鋲靴でない登山靴(キャラバンシューズなど)でもトリコニーだけは使われていた(最近は使われていない)。⇒鋲靴クリンカー

とりつきてん【取り付き点】【取付】

目標物に取り付く地点。平坦な山麓の道から尾根に向かって登り始める地点や、沢登りで登山道から沢に入った地点(入渓点)など。⇒アプローチ

【ドリネ】【ドリーネ】Doline{G}

石灰岩地帯にできるすり鉢状の窪地。[谷]

【トレース】trace{E}

踏み跡をたどること。先に行った人を追跡すること。trace[跡] trahere{La}[引く] 図面を引くこと

【トレイル】trail{E}【トレール】

行程。山道、小道。踏み跡。人が歩いて道のようになったところ。雪面などに残った足跡。歩いた航跡。オートバイで林道などを走ること。[足跡]
スキーで滑った跡は【シュプール】という。

【トレッカー】trekker{E}

徒歩旅行(トレッキング)をする人。

【トレッキング】trekking{E}

ヒマラヤなどの山麓の、比較的長期間の徒歩旅行。ベースキャンプまで歩くこと。健康やレクリエーションのために山歩きをすること。
語源は、ボーア人(南アフリカのオランダ系移民)が牛馬に荷車を引かせて内陸へ移住した開拓時代の旅のこと。[トレッケン{D}(引っ張る)→困難な旅、ゆっくり進む]。trekkingは英語で、米語ではhikingという(日本語のハイキングよりも長大な徒歩旅行を含む)。

【トレッキングアンブレラ】

登山用の折畳式コーモリ傘。普通の傘より小型軽量で丈夫に作っている。

【トレッキングポール】srekking pole{E}【ストック】Stock{G} 【ステッキ】stick{E}

登山用の杖。一般には、ステッキは散歩で使用する洋風の杖、ストックはスキーで使用する杖のこと。登山用の杖には、グリップ(持つところ)がI型になっていてスキーと同じように2本の杖を両手で持つものと、グリップがT型になっていてステッキのように1本の杖を片手で持つものがある。
?!水戸黄門が持っているのが杖、ポアロが持っているのがステッキ、レルヒ少佐が持っているのがストック!?

【トレンチ】trench{E}

雪崩に埋没している人を捜すために雪に掘った深い溝。探索者がその溝に入り、雪中にゾンデ(細長い棒)を差し込んで埋没者を探す。[壕]

【とろ】【瀞】

渓流で流れが緩く深くなったところがある程度の距離続いているところ。⇒
?!そこにマグロがいるわけではない!?

【ドローコード】

生地の端を袋状に縫い合わせて、その中に紐を通し、絞り込めるようにしたもの。レーンウエアやヤッケのフード、ズボンのウエスト、シュラフの口などに使われている。紐をとめるために【コードロック】が良く使われている。