研究紹介トップへ

足利工業大学



      足利工業大学 機械工学科 教授 牛山   泉
足利工業大学総合研究センター 客員教授
 西沢 良史



 
当研究トップへ
1. はじめに
2. 低回転型風車ブレードの最適形状に関する試作研究
2-1. 緒 言
2-2. 供試風車のブレード形状 
2-3. 供試風車の性能試験
2-4. 実験結果および考察
2-5. 結 言
3. おわりに
 


2-2.供試風車のブレード形状

 本研究では、風速6[m/s]において約50[W]の能力を有する風車の設計を行った。その設定より、風車は風車直径:1[m]、翼枚数:3枚、回転数:350[rpm]前後(周速比:3.054)とした。
 供試風車の翼型形状選定について、既存の翼型特性データベース(2)から各翼型の最大 CL/CD 値の表を作成し(表1)、それをもとに選定を行った。その選定基準および設計基準として、
(1) Re=1×105領域において高 CL /CD であること。
(2) 上記時の CL 値を翼素運動量複合理論の設計パラメータとして使用する。
(3) 性能比較の対象とするブレードとして、上記翼型 の CL 値に近い値特性を有する翼型を選定する。

図1 各翼型の楊抗比(C1/C0値)
(図をクリックすると拡大図が見られます)

 図1より、Re=1×105において高 CL/CD の翼型は、Cody Robartson 001(以下、CR001)とGilbert Morrisであった。両翼型とも CL/CD =60程度であり、実験に用いる翼型は「CR001」とした。また性能比較の対象とするもう一種類の翼型は、CLARKYとした。この翼型は、キャンバーがあまり大きくなく、またブレードの受風面が平面であり、翼厚比も比較的大きなことなどから製作しやすいために、しばしばマイクロ風車の製作に広く利用されている翼型で、また先に設定した条件である「CR001翼型の最大 CL/CD 値における CL 値」が一致したため、CLARKYを比較対象翼型として選定した。

 CR001の翼型特性は、Re=1×105の時、最大 CL/CD = 59、その時の CL = 1.1、迎角:α= 6.5 で、CLARKYの翼型特性は、最大揚抗比 CL/CD = 50、その時のCL=1.1、α=8である。

 これら各パラメータを設定値として、翼素運動量複合理論(3)により風車ブレードの設計を行った。各翼型による木製供試風車ブレード設計のパラメータを表1に示す。それにより設計されたCR001翼型のロータを図2、CLARKY翼型のロータを図3に示す。

表1 ブレード設計計算パラメータ
ブレード名 CR001 CLARKY
ブレード半径[m] 0.5 0.5
ブレード枚数 3 3
設計周速比
(設計回転数[rpm])
3.543
(350)
3.543
(350)
設計揚力係数 1.1 1.1
設計迎角[°] 6.5 8.3

図2 CROO1 翼型の共試風車投影図

図3 CLARK Y 翼型の共試風車投影図

 なお、ダウンウィンド風車のロータとしての試験も兼ねるため、ブレード取付フランジにはコーニング角調整の機構を備えている。

 
北関東産官学研究会トップへ