心のバリアフリーを考える

〜第2時 障害者が暮らしやすい社会に〜

篠崎孝一


論文全文
・「障害者にあまりやさしくない社会の絵」を掲示する。
【発問】この絵の中で、障害を持つ人たちが生活する上でのバリアがいっぱいあります。
     探してノートに書きなさい。


    ・授業の助走である。できるだけたくさん出させる。
    ・ノートに書かせ、無指名発表させる。

【説明】私たちには何でもないことでも、障害を持っている人にとっては、厚く高い壁になっているんですね。
【発問】地球には、約50億人の人が住んでいます。WHO(世界保健機関)では世界の障害者人口を約?人と発表し
    ています。約何人でしょうか。

    ・どんどん言わせる。時間はかけずにテンポよく行う。
【説明】約5億人と発表しています。世界の人口の10%、10人に1人は、なんらかの障害をもっていることになります。


・人口に占める障害者の割合の図を示す。

【発問】これは、人口に占める障害者の割合です。この図を見て気がついたこと、考えたこと、わかったことを書きなさ
     い。

    ・できるだけたくさん出させる。
     日本が少ないのが意見の中心となるはずである。そこで、次の発問をする。
【発問】日本には、障害者が少ないのでしょうか。

    ・「少ない」「いや違う」という自分の考えを挙手で明示させる。
     その後、次の説明をする。
【説明】この数字の違いは、国によってどういう人を障害者とするかが違うからです。日本では障害者というと、肢体不
     自由、視力障害、聴覚障害、知的障害(それぞれの障害について板書し、資料を配付し、簡単に説明する)
     を中心に考えられてきました。慢性的な病気の多くは障害と見なされていません。
     精神障害(板書し、説明)を持つ人が法律で障害者と見なされるようになったのは、1990年代になってからで
     す。日本では、障害手帳をもらっている人の数を基準にしているからです。この手帳は自分から申し込まないと
     もらえません。

・「障害者にあまりやさしくない社会の絵」をさしながら次のように言う。
【発問】私たちには何でもないことでも、障害を持っている人にとっては、厚く高い壁になっていることが街にはたくさん
    ありました。こんなところは、不便だ不自由だからこんなふうに改善した方がよいという所をノートに書きなさい。
 
(黒板に例示する)  
     横断歩道と歩道との間に段差がある→段差をなくす
 
    ・子どもの意見をもとに整理していく。

・意見が出尽くしたら「人にやさしい社会の絵」を掲示する。
【説明】これまで障害を持つ人と持たない人は、同じ社会に生きながら別々の世界に住んで、あまり交流を持たないで
     きました。しかし、社会にはいろいろな人がいます。子どもや老人、障害を持っている人、持っていない人、いろ
     いろな人がいて、いろいろな都合があって、そういう人々が一緒に暮らしていくこと、それが「正常な社会」なの
     だと考えられるようになりました。
【発問】「ノーマライゼーション」という言葉があります。
    「正常にすること」という意味です。何を正常にするのでしょうか。

    ・ノートに自分の考えを書かせる。何人かに発表させた後、
【説明】人間の社会のあり方を正常にするのです。
    バリアフリーという言葉がありますね。(バリアフリーの説明)
   「何かお手伝いすることはありませんか。」と声をかけましょう。
   「ノーマライゼーション」と「バリアフリー」の2つを合い言葉に、世界中の人たちはいま、新しい社会に歩みだそうと
   しています。

全発問・全指示 子供の感想 追試・修正論文など