「障害者に対する見方を考える」
第2時〜一枚の写真から〜
篠 崎 孝 一


論文全文
 
 
【発問1】オリンピックを知っていますか。
【発問2】パラリンピックというのを知っていますか。
解説とポイント
 【発問1・2】

・それぞれ挙手をさせて確認する。
・発問1はテンポよく。
・発問2は、知っているという子に内容をいってもらう。その後、次の説明を読む。

【説明】
 長野オリンピックが開かれた後、冬季パラリンピックが開催されました。この大会では、アル
 ペン・クロスカントリー・バイアスロン・アイススレッジスピードレース・アイススレッジホッケー
 の5競技で熱戦が繰り広げられました。
 障害の度合いや使用する機器によって、各競技ごとにクラス分けがされています。
 (表を配布)
 参加した選手の障害も、足や腕を切断した選手・義足を使う選手・車椅子の選手・視聴覚障
 害者・知的障害者と、様々でした。
 パラリンピックは、1960年のローマオリンピックの時から、身体障害者スポーツ大会として開
 かれてきたのです。
【発問3】ここに、パラリンピックの写真があります。これを見て、思ったこと・気づいたこと・考え
      たことを箇条書きしなさい。
解説とポイント
【発問3】

・インターネットを利用して見つけた、片足でスキーをする人の写真を提示する。
 《A3の大きさに拡大カラーコピーする。》
 《イラストよりも写真の方がインパクトを与える。》
・時間は7分とし、できるだけたくさん書かせる。
・全員の意見を発表させる。
 《足がない。よく滑れるな。自分にはできない。・・等》
・発表が終わった後、次のように説明する。

【説明】
 切断した足のところをよく見て下さい。確かに足はひざからありません。でもみんなの身体と
 同じように、血も出ていません。皮膚で覆われています。交通事故や大きな事故で、足を切
 断する事になったのだろうと思います。
【発問4】みんなが今「?」と思ったことは、直接この片足でスキーをしている人に聞いてもよい
      ことですか。聞かない方がよいことですか。自分の考えを書きなさい。
      書けた人は理由も書きなさい。
解説とポイント
 【発問4】

・まずは、聞いてもよいか、聞かない方がよいか挙手で確認する。
・その後、自分の考えを書かせ、理由もかかせる。
・理由をかけた子は持ってこさせ、○をつけてやる。
・○をもらった子は、発表してから席に戻る。
・全員書き終わってから、次のように話す。(大場氏の引用)

【説明】
 片足でスキーを滑っている人は、ちょうど高速道路を車で走る速さ、時速90kmのスピード
 も出せるそうです。片足でバランスをとることは難しく、練習をたくさんするそうです。それで
 も、スキーの競技者として金メダルを目指して頑張っています。
 パラリンピック物語』という本の中に、スキーのコーチをする人の話がでてきます。・・・・片足
 を切断した人の傷跡に目をやる。あ、じっと見ちゃ悪いかな、と目をそらす。これは、本人達
 も感じると言います。気をつかってくれているな、見て見ぬ振りをしているなとね。だけど、目
 をそらさずにきちっと見て、どうしてそうなったのですか?と先入観なしに率直に聞く。話した
 くない人もいるだろうけど、それはそれで話してくれなくてもいい。見て見ぬ振りをするのが
 一番相手に対して失礼じゃないかと思うのです。・・・・
 じろじろ足だけを見て、かわいそうだと勝手に思い、困っていても助けようともしない。そんな
 ことはしたくないですね。
【指示】今日勉強したことについて、自分の感想を書きなさい。

・読み終わった後、感想を書かせ授業を終える。
 ※参考・引用文献 ○JVE教育26号 JVE基本マナー10 大場寿子                

全発問・全指示 子供の感想 追試・修正論文など






















◇子どもの感想より◇

「私は足があったり目が見えたりするけど、足とかない人たちは私たち以上に頑張っています。
 自分にどんな障害があっても、金メダルを取るために頑張って頑張って滑れるようになっているのに、
 私たちは頑張ってうまくいかないと、すぐあきらめてしまいます。
 私はなんでそんなに頑張れるのかと思ってしまいます。
 パラリンピックでメダルを取る人は、オリンピックのメダリストより何十倍も頑張っているように見えます。」