「障害者に対する見方を考える」
第1時〜不自由さとは〜
篠 崎 孝 一
耳の不自由なSさんへ、4人の子どもがそれぞれお礼のあいさつをしています。
でも、Sさんはうれしそうではありません。 |
4人のあいさつのどこが、Sさんを悲しくさせるのでしょう。
その言葉に赤線を引きなさい。引けた人は理由も書きなさい。 |
@「手話を教えてもらえて、とてもよい勉強になりました。手話がもっとできるようになれたらと思いました。
Sさんも、障害があることに負けないで頑張って下さい。」
A「家の人にも今日勉強した手話を教えてあげたいです。Sさんどうもありがとう。これからも、耳が不自由で
大変なこともあると思いますが、障害にめげずに頑張って下さい。」
B「手話には自分たちが生活の中で使っている物がありました。さよならで手を振るのもそうでした。
これからも耳が聞こえない障害を乗り越えて、また僕たちに手話を教えに来て下さい。」
C「手話をやっているとどんどん楽しい気持ちになってきました。これからも障害を克服しながら頑張って下さい。」
これらの言葉は、私たちが励ましの言葉のつもりで使ったものです。Sさんに障害あったとしても元気に頑張って
ほしいと思って送ったエールです。でも、Sさんの立場からするとその言葉は、応援でも何でもないというのです。
「耳が聞こえない」というのは確かにSさんにも私たちにも事実です。でも「耳が聞こえないのは障害である」と思っ
ているのは私たちです。「耳が聞こえなくて大変だろう」と思っているのも私たちです。それに対してSさんは「耳が
聞こえないのは障害だと考えたことがない」と思っているのです。「耳が聞こえないのは、生まれつきの自分らしさ
の一つである」と思っているのです。
みんなが食事に出かけることになりました。Aあなたが車椅子に乗っているとしたらどんな心配をしますか。
書きなさい。 |
みんなが食事に出かけることになりました。Bあなたの手が不自由だったとしたら、どんな心配をしますか。
書きなさい。 |
不自由さというのは、当事者にならないと分からないものが多く、周りの人が簡単に軽いとか重いとかを判断
すべきではない。手も足も目も耳も、不自由さはそれぞれに大変なのだ。障害を持たない人たちが当たり前にで
きることでも、障害を持った人たちはたくさんの努力を使っている。障害を持った人たちが、その不自由さに大変
な気の遣い方をしながら、自分の人生を少しでも生かそうと一生懸命な態度を、しっかりと見てほしい。 |
あなたたちは、自分の身体に備わっているいろいろな能力を使うことにどのくらい熱心でしょうか。
そのことも考えながら、今日の感想を書きなさい。 |
※参考・引用文献
○JVE教育27号 「生きる」O先生に教わったこと 渡辺尚人
○JVE教育28号 JVE基本マナー12 大場寿子