ZWOptical ASI130MMの活用

 このサイトは、私の使用しているZWO ASI130MM に関する天体分野への使用状況や実験等を紹介していきます。

  ZWO ASI130MM の概要 
 ZWO-ASI130MM 中国の上海市西の都市 苏州市にあるZWOptical社製のCMOSカメラです。
ImasingSource社に比べ、大変安いので初心者やちょっとした撮影には適しています。

このカメラを上手に使う上で、欠点の理解と機能の利用について紹介します。

私はカリフォルニアのOPTより購入しましたが、
国内では名古屋のエレクトリックシープが代理店になっています。


ここで紹介する内容は、ブログやFacebookで書いてきたことをまとめています。
 大きさは大変小型です
ZWO-ASI130MM右のディスタークァンタムと比較しても小さいことが分かります。
1/2インチCMOSの1028×1024ピクセル 転送速度は30FPSです。
ZWO-ASI130MM 
 
  太陽観測をする上でのASI130MMの特徴 
 DMK51との比較 DMK51AU02.ASと比較(本来ならDMK41と比較したい)して、何と言ってもフレームレートの大きさです。DMK51は12fps(DMK41は15fps)に対して、ASI130MMは30fpsのAVI録画が出来ます。

活動型プロミネンス、特にプロミネンスの噴出やフレアーと悪シンチレーションなどで威力を発揮します。ただし、風で望遠鏡が揺れる場合は、ローリングシャッターなので画像がこんにゃく現象(iPhoneと同じように)を起こしてしまいます。

 まず、プロミネンスの噴出の撮影は30秒も録画してしまうとスタックしたときにぶれてしまいます。フレアーでも同じです。DMK51よりASI130の方が撮影時間を半分以下に出来ます。
 また、シンチレーションが大きかったり、冬場の風で望遠鏡が揺れてしまうときなど、わずかに静まった短時間にコマ数を稼げます。

 そして、価格が安いと言うことです。日本での価格は、DMK41の1/4以下です。
 ツーリボンフレアー 左上はプロミネンスの撮影で、DMK51との比較


左は、フレアーに伴うツーリボンです。

2つとも12月末の撮影ですので、冬場のシンチレーョンが良くないので理想的な解像度が得られていませんが、短時間に変化する対象に向いています。
(使用機材は、ビクセン9cm+ディスター・クァンタム) 
 
  CMOSカメラの欠点
 下は、オリオン座大星雲を撮影して、気になるところをアップしてみました。
本来このカメラは、このような星雲を撮影する物ではないので、参考程度に見てください。ASI130MMはオートガイドか惑星などが得意とします。
● 飽和した恒星の左右にブルーミング防止のためと思われる暗帯が出でしまいます。これは、太陽でも薄いプロミネンスを撮影するときに光球面がフレームに入ると気になります。
● ホットピクセルがたくさんあります。ゲイン80%で2秒露出(気温5℃)では、20個ぐらいありました。
 このホットピクセルは、下に示す方法で
ソフトウェア上で除去できます。このカメラの良い点です。
● 輝星の横にゴーストが出ました。大きさから言って多分ディテクターと保護フィルター間による反射でしょう。 
月・惑星・太陽では問題になりません。
ZWO-ASI130MMの欠点 
 
  CMOSカメラの現在の技術で克服できない縦縞
 ● CCDと比較して、CMOSは大変安く製造できますが、小型CMOSの現在の技術では、避けられない縦縞模様です。カルシウムK線での太陽面は大変フラットなのでコントラストを強調します。すると、下のように縦縞が出てしまいます。
 薄いプロミネンスを撮影したときに、バックグラウンドにも現れます。その場合は、画像処理でしきい値を上げてあげれば消すことが出来ます。
DMK51との比較   
  ASI130MMのCMOSによる縦ノイズを消すために、太陽像を回転させながら撮影した画像を加算コンポジットしてみました。効果がはっきり現れます。

上の画像は、ウェーブレット処理を施した直後の画像で縦縞が大変目立ちます。

それを消すために、次のような処理をしました。
画像は2014年1月5日のNOAA11944。
一番下の画像はしきい値を下げて、黒い線を目立たなくしましたが、まだ縦線がわずかに見えます。
真ん中は、90度回転させた画像を加算処理。
一番上は、約25度毎の回転画像4フレームの加算処理。
2フレームでもわずかに縞模様が確認できますが、4フレームになると全く分かりません。

 画像をクリックすると拡大します。 
 
 
  ディテクターのピクセルが正方形でないのか → 解決しました(撮影ドライバーとステライメージのバッチ処理の問題でした)
                                          
※ 風で望遠鏡が揺れている場合は、太陽が丸くなりません。
 ● CMOSの欠点である縦縞を消そうとして、フレーミングを回転させ、加算平均処理をしようとしたらご覧の通り太陽像が性格に重ならなかったのです。つまり、太陽がゆがんでいたのです。 → 解決 理由は具体的にどこか分からないのですが、ステライメージで小細工をしないことで解決
  ゆがんだ太陽 ピクセルサイズが5.2ミクロンの正方形であるはずなのですが、これについては、問い合わせ中です。 
 SharpCapを使わず、ASIドライバーのみで撮影したファイルを、メデイアプレイヤーで再生したら、このようにゆがんでいました。SharpCapでは、正常に見えたのですが。
 ASI130MMやASI120MMは、ローリングシャッターです。一般的なカメラは、グローバルシャッターです。そのため、望遠鏡が風で揺れている場合は、太陽が丸く写りません(画像の上のラインと下のラインの撮影時刻が同時でないために、形が変形します。iPhoneをお持ちの方は、撮影時に大きく手ぶれを起こしてください。こんにゅく現象の写真になります)
 そのため、画像をスタックする場合は、像の形が崩れているのでうまく重ね合わせることができず、境界線がぼけたり、二重三重になってしまいます。
 言い換えれば、風で望遠鏡が揺れたり、シーイングが大きく波打っている場合は、良い写真は撮れません。

 
   
  ASI130MMの機能を生かすには
●付属のドライバーやSharpCapの機能を使って、画像の質を上げられます。
SharpCaP 左が操作画面です。
○で示した設定で簡単に画質が上げられます。
 上はフレームレートの設定です。これは下のフイルターオプションと関連していますが、PCパワーなどによりフレームレートを自動で変えています。画像は最大値にセットしていますが、撮影中は画面下にフレームレートが表示されますが、絶えず変化しています。

 ● ホットピクセル除去機能
 フイルターオプンションをクリックするとプロパティが出ます。「ROI Misc」タブの「Subtract Dark」にダーク減算機能があります。ここでダーク減算ファイルを新たに作るか訊ねられます。指示に従って、望遠鏡に入る光を遮断します。「Save」ボタンを押すと、今使っているダーク減算を保存でき、次回に使えます。
   
 ●ガンマーは、彩層面の撮影では少し落とし、薄いプロミネンスの撮影では上げます。太陽の縁のプロミネンスと黒点などの光球を同時に撮影するときは、70%ぐらいに上げます。  ●望遠鏡にダイヤゴナルプリズムを付けると鏡画像になったり、カメラの取り付けで倒立画像になりますので、Flip Horizontal FlipVerticalをクリックして成立に戻せます。