第22話 富士山(1) 突然の地獄 (2000.11.26)


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私が富士山に登ったときのお話です。 ちょっと長くなりそうですので、3回に分けてお話します。 第1回目は富士山ってどんな所なのかをお伝えしたいと思います。 たぶん面白くはありませんが、富士山に登ったことのない人は、「なるほどな」と思うと思います。

ある夏のこと、Gさん(←べつに年くってるわけではない)、H君(←特にスケベというわけではない)、T君(←思いつかない)、U君(←馬)、私の5人で富士山に登るという計画を立てた。 高校時代山岳部であったU君をリーダーとして、それなりにいろいろと計画を立てた。 そういうものは、けっこう準備が楽しかったりする。 登山靴を買って、リュックを買って、何を思ったかウィンドブレーカーの変わりに安いカッパを買って……。 まあ準備は万全であった。 そのときはそう思った。

当日はリーダーUの運転するチェイサーに5人乗って、富士山の5合目まで行った。 そこで気合を入れて、早速登山を開始した。 そのときすでに、私のイメージする富士山に対して、気にくわない点があった。 まず、人が多すぎることである。 駐車場に車を停めるのにも一苦労したほどだ。 ほとんど人気のない山を5人で登りたかったが、これではほとんど遠足である。 歩け歩け運動(←何だそりゃ?)みたいである。 だって、登山道が行列になってる感じなんだよ。 あともう1つは、暑いということ。 富士山なのに暑いんだよ! 防寒のセーターとかも持ってきちゃったんだよ!

「けっこうちょろいもんだな」とか思いながら登りつづけた。 Tシャツ一枚に汗びっしょりかきながら。 でも景色は一級品。 雲海というものを始めて見た。 写真撮ったりもしたけど、なんかH君のすばらしい写真が撮れたんだよね。 あれはけっこう伝説だ。 ここに載せたいぐらいだ。 ただし下の眺めが一級品ではあるものの、富士山自体は木もないし、荒地という感じで、ちっともきれいじゃないけれど。

しばらく歩くと、やっぱり疲れてきた。 7合目あたりだろうか。 確かにまわりを見ると、みんな引き返し始めたのか、人は少なくなってきている。 疲れて休んでいる人がけっこう目に付く。 でも元気よく歩きつづけるおじいさんとかがいっぱいいるんだよな。 あれがなんかムカツク。 予定としては山小屋で一泊して、頂上で日の出を拝むはずだった。 私も含めみんなに疲れが見え始めていたが、もう少し頑張って歩いて、8合目の山小屋で1泊することになった。

日も傾き始めてきた。 そのころからだろうか、私たちが思わぬ異変に気付き始めたのは……。

私はなにやら体がだるく、頭痛も感じ始めてきた。 それをみんなに伝えると、みんなも症状は軽いものの、私と同じような状態になっていた。 ま、まさか、酸素が……。 そう、我々は未知の病気、高山病にかかり始めていたのだ。

しかしこれは、これから始まる地獄の序章にすぎなかった。 つづく……。

結論: 富士山では酸素ボンベが売っている。 あれを使うと、すーっと頭が痛いのが取れる。 キアリーみたいである。 ただし効果はわずか30秒。


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