第20話 球根2000 (2000.11.08)


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これは私が以前に某ホームページで語ったネタを、2000年バージョンにリメイクしたものです。 みなさんも「語り」の世界に、はまってみてください。 ちなみにこの話は、80%の真実と10%のフイクションと10%の「のり」からできています。

11月。 ちょうど寒くなり始めたころ頃、俺のバイオリズムは最低ラインに達していた。 何をやってもうまく行かず、つまらないことにいら立ち、憂鬱な日々を過ごしていた。 俺はどうにか生活を変えようと考え、どういうわけか部屋で花を育てることにした。 花の名前はスノードロップ。 球根だ。 しかしその頃の俺に花など育てられるはずもない。 水をやるのも忘れ、とうとう芽も出さないまま1ヶ月の月日が流れていった。

「腐ってしまったのか…。 これじゃ俺と同じだな…。」

12月のある日、その日もまたやることもやらず、誘惑に流されるまま遊び歩いていた。 そして、ちょっと飯を食べるために路上駐車していた。 帰ってくると、車にはしっかりと駐車違反の黄色い札が縛り付けてあった。

「やってしまった…」

金なら払うから許してくれ、という感じだったが、時間は夜中なので翌日出頭して下さいと書かれてある。 現場は家から離れた場所だったので、一度帰って、また翌日に現地の警察署に行かなければならない。 本当にブルーだった。 世の中すべてに対する怒りが込み上げてきた。

家に帰って、怒りを押し殺すように、ベッドに横たわった。 するとスノードロップを植えた鉢が目に入ってきた。 鉢を眺めていたら、怒りが抑えきれなくなり、土を掘り返してやりたくなった。 そして鉢を手にとった瞬間、信じられない光景が目に映った。

「芽が出ている…」

まじめに世話もしないで、腐ってしまったと思っていたスノードロップが、ほんの1ミリだけど芽を出していた。 たったそれだけの出来事なのに、俺の心は不思議と落ち着きを取り戻していた。

罰金1万5千円は痛かったけど、その事件を境目に、私のバイオリズムは上昇中だ。 現在スノードロップの花が咲こうとしている。 俺もそろそろ花を咲かせるか…。

結論:駐車違反は罰金1万5千円。一時不停止は6千円。これっておかしくない?


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