備前楯山


 備前楯山は足尾町の中央にあり、かつては黒岩山と呼んでいた。
慶長十五年(1610年)備前国出身の農民治部(じふ)と内蔵(くら)が銅の露頭を発見し、 日光座禅院に報告、
座主は二人の功績を記念し黒岩山を備前楯山と改めた。
「楯」とは鉱脈の露頭を言う。
参考資料:「k.t.Home」

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【日 程】 平成9年9月20日(土)
【天 候】 曇り時々晴れ
【山 名】 備前楯山(1,272.4m)
【地 域】 足尾山塊
【ガイド】 栃木の山100(随想舎)
【地 図】  国土地理院地図(足尾)、日光・奥鬼怒・奥日光(エアリアマップ)
【ルート】 舟石峠(10:30) → 備前楯山(11:10-13:20) → 舟石峠(13:40)

 皇海山・庚申山の登山口として有名な足尾の銀山平。その駐車場脇を右折し舟石林道に入る。 道は舗装されているが昨日の台風のせいか、青々とした落ち葉や枯れ枝が多い。 しばらく走ると舟石という岩を左に見て舟石峠に到着。 新しく造成された駐車場には車が3台あるが、まあ静かな山行が楽しめそうだ。

 峠の周囲には、明らかに人手で均された階段状の土地がそこここにあった。 銅山が栄えた頃の遺跡だろう。登山道は、その横を登って行く。 道は良く整備されており道幅も広いが、丸太階段が多く、段差がかなりしんどい。 足元にはドングリが沢山落ちている。昨日の台風のせいだろう。
 気持ちの良い雑木林をリズミカルに登って行くと、下草が丈の短いミヤコザサに変わった。 これも、また気持ちが良い。
 しばらく行くと、犬連れの老夫婦が木の実を摘んでいる。 名前が判らないが2m程のツツジにも似た木に、紫色の小さな実が鈴生りに生っている。 一つ食べてみたが、甘酸っぱく少し渋い。(後日談:これはナツハゼだったらしい。)
 ふかふかした土の道から岩場に変わると、程なく岩場の痩せ尾根に出た。 更に僅かで3等三角点のある備前楯山の山頂へ。呆気ない行程だった。

 山頂からは、足尾の山々を一望できる。煙害で荒れ果てた山。治山事業の様子も伺えるが、 緑の回復には更に長い年月を必要としている。
 そして、遠景がまた良い。中禅寺湖南岸の山々の大パノラマが広がっている。 阿世潟峠の奥に控える男体山は、残念ながら山頂を雲が覆っている。東を見れば、庚申山が。 その奥に皇海山が山頂だけ覗いている。更に南には袈裟丸連峰。真南には、 我が町桐生の根本山が確認できた。

 山頂は5名ほどの人がいたが、皆さん2時間以上の長居をしている。だが気持ちはわかる。
 ずっと私とお喋りをしていた単独行氏が、以前行った、 深沢から半月峠越えの登山口を案内してくれると言うので、一緒に下山にかかる。
 登りで会った犬連れの老夫婦は、300mも進んでいなかった。時速100mか。

 舟石峠からは、来た道とは逆に本山坑跡の方向に向かう。かなりの悪路だ。 途中の広場にはススキが茂り、周囲に点在する銅山の跡は、いっそう哀愁がただよう。
 深沢の集落で半月峠への登山口を確認し、足尾ダムと荒涼とした松木沢周辺の景色を見物し、 単独行氏を駅に送って帰路についた。

【撮影機材:NikonF4+AF35-135mm(1:3.5-4.5),NikonCOOLSCAN II】