世界文化遺産
土楼
の旅



2010年10月

この奇妙な形の建物群は福建省のアモイ(厦門)市の西部、ショウシュウ市にあります。
いくつもの峠を越えて人家もまばらな小さな山奥の小村に棟を寄せ合うように建っています。
初めてこの奇妙な建物群の写真を見たのは3年位前です。
そしていつか実際に見たいと思うようになって、今回実現しました。
なぜこのような円形の構造にしなければならなかったのか。
その理由(わけ)に大きな興味が沸きました。


【土楼について】
土楼は福建省の西部、広東省との境界地域に広く分布しています。
一般にアモイを拠点に多くの旅行社が一日または2日のツアーを催行しています。
私はまず珠海から夜行バスでアモイに行き、到着した日に翌日の一日ツアーを申し込みました。
土楼はアモイの西部のショウシュウ市の山間部に多く分布していてアモイからはバスで片道3時間で現地に着きます。
場所によって村に入れるところと入れないところがあってまた土楼の中に入れるところや入れないところがあります。
土楼の内部は多くの小部屋があり、一階部分では観光客に地元産のお土産などを売っているところもあります。
これらの村人は客家といわれる一族で結束が固く、海外に出て多くの成功した人を輩出しています。
客家は広東省の東部にも分布していて、東南アジア地域に華僑として進出して海外で政治的にも大きな影響力を持っています。

土楼の奇妙な形はどういう理由からか。調べてみました。
一番の理由は風水です。円形は天、方形は地を表わし、天地が融合して子孫繁栄をもたらすという信仰から来ています。
また円形構造は多くの利点も具有しています。ほとんどの円形土楼の入り口は1箇所で分厚い木の板の門で外部と内部を隔てています。
利点の1は防災性です。外敵や災害に対して高い防御性があります。利点の2は耐震性です。地震などの場合に構造が建物全体を強化します。
利点の3は防火性です。火災の場合でも延焼が最小限にできるそうです。利点の4は防湿性です。すべての部屋に窓があって防湿性を高めます。
土楼は広い範囲に分布していて一日で見られるのは限られたものだけです。多くの土楼を見る為には最低3日は必要です。 

【交通情報】
珠海からアモイまで : 拱北の永通長途汽車站(拱北永通長距離バスターミナル) 発車 18:00/18:45  到着 アモイ 湖濱バスターミナル  所要 12時間
アモイから珠海まで : アモイ湖濱バスターミナル 発車 19:45/20:50  到着 拱北 永通バスターミナル 所要 12時間
交通費 珠海ーアモイ 250元/人     アモイー珠海 210元/人
夜行寝台バス : 定員は28席の3列2段式寝台バス。禁煙で空調付。トイレ付。途中1回だけ休憩停車がある。かけ布団と枕は清潔。

【アモイ市内旅行社】
厦門四方旅行社有限公司 電話 0592-8400866 http://www.tuloutulou.com/index.asp
福建省客家土楼旅游?展有限公司 電話 400−6615222  http://www.hakkatulou.com/index.php
土楼旅遊集散中心    電話 0592-2111106  http://www.tulou360.com/index.html
厦門旅遊酒店網  http://www.xmhotel.com/

【宿泊施設】
アモイ市内  上記旅行社のホームページに各種の宿泊施設の案内があります。
         200元以下で町の中心 思明区中山路(歩行者専用路)付近が便利
土楼宿泊   上記旅行社にて受付 一般の民家もあるので事前確認が必要


【観光コース】
        選択肢がいくつかあり、値段も違うので事前に検討が必要。
         ちなみに今回は厦門四方旅行社の南靖土楼一日遊を138元で回りました。(定価288元をインターネットで予約)
         バスは大型の豪華バスでクーラーつき、昼食は10菜1湯でとてもおいしかった。
(食事無料つき)


【出発から南靖土楼まで】
早朝7:30にホテルからピックアップ → 市内各所から参加者ピックアップ → 8:30 各コース別にバスに分乗 → 11:30 南靖県の旅客ターミナル到着 → 昼食 12:30まで → 1:00 南靖田螺坑到着

今回のツアーバス 昼食 10菜1湯で味付けも辛くなく美味しかった。 建設中の旅客ターミナル
土楼群までは専用バスに乗り換える これが有名な南靖田螺坑土楼群 方形を囲むように円形土楼4棟が建つ様は
梅花を地面に散らしたようと例えられる。
この地方の土楼の形はほんとうに奇妙だと思う。
客家の風水信仰から由来するらしいが巨大なドーナツが点在する様は異様です。アメリカの偵察衛星がこの地方の土楼群を発見した当初ミサイルの発射基地ではないかと疑われて、実際に3ヶ月間アメリカから人が来てこの地方に住んだという笑い話のような実話があるそうです。グーグルアースでこの地方を俯瞰するとはっきりと巨大ドーナツが見えます。
土楼展望台近くの交番 形が土楼風でしゃれている 土楼を下から仰瞰した風景 土壁の色はこの地方の特徴だ

【裕昌楼】・・・・物理法則に反して東に傾斜して西にひずんだ巨大で古い円形土楼  

裕昌楼の村の入り口 
壁に毛主席万歳と書いてある
この先に裕昌楼があります 巨大円形土楼 裕昌楼
裕昌楼壁面 深い亀裂が歴史を感じさせます 脇を流れる小川  水が澄んでいる この村もゴミのない環境のいいところだ
裕昌楼の入り口 入り口の石段 角が丸くなっている 裕昌楼の中庭 空が丸くてドームの中のようだ
左右に歪んだ柱  でも強度は充分保たれている
 築600年だ
中庭の排水溝 放射状に外に排水している 井戸のある部屋 井戸は何箇所かある
室内の井戸 水が澄んでいてよく見ないと見えない。
縁から10Cmに水
村の中 裕昌楼の外観

【塔下村】 ・・・・・・水と建築が調和した渓谷の小村  江南水郷
       この村からバスの乗り場まで約2Kmを徒歩で散策しました。
        途中の景色を撮影したり、時には村人が軒先で売っている特産物などを見たり食べたりしながら歩きました。

茶葉の天日干し この地方特産は茶 山のいたるところに茶の棚田がある
道祖神
スローシャッターで水がビロードのよう
張氏一族の廟
珍しい バラ茄子
アモイには夕方の6時ごろ着きました。
一日観光としてはちょうどいいくらいのスケジュールでした。

                 2010年10月16日記

使用機材  ASAHI PENTAX K-X
   SMC PENTAX DAL 1:3.5-5.6 18-55mm
バス待合所
土楼はアモイ(厦門)から西に150Kmくらいの広い範囲に点在しています。
一日観光で回れるのは限られているのでできれば現地に連泊してゆっくり回るのもいいかもしれません。
現地の人はみんな気さくで親切です。