毒蛇の判別

   マムシは北海道から九州まで、ヤマカガシは本州、四国、九州に生息しているが、ヤマカガシ咬傷は非常に稀である。しかし、マムシ咬傷がその症状やヘビの判別の間違いからヤマカガシ咬傷と間違われることがしばしばある。また、アオダイショウの子ヘビは親とは模様が異なることや、人に出会うと頭を三角形にして咬みついてくることなどからマムシと間違われることも多く、イワマムシシロマムシキマムシなどと呼ばれることがある。また、図鑑には子ヘビの写真が載っていることが少ないため、判別できないことがほとんどである。

A.体の色彩や斑紋などによる判別
1)褐色ないし赤褐色(茶色ないしこげ茶色)で、丸い大きな斑紋が体の左右に1列ずつ並び、          その斑紋の中心に暗色の点がある。眼では虹彩の下半分は黒っぽく、眼の後ろに太い黒い     線が続く。全長は大きくても60cmほど。                                                                                                ・・・・・・・・・・・ニホンマムシ

2)[東日本、中国、四国、九州]赤と黒の斑紋が交互に並び、下あごや頸の付近が黄色っぽい。
  [近畿]全身がくすんだ緑色で、赤や黒の斑紋はほとんどないか、赤い斑紋がわかに残る。                                ・・・・・・・・・・・ヤマカガシ

3)オリーブ色ないし灰色で背中の中心にそってはしご状の模様がある。虹彩の色はうすく、眼の    後ろに黒い線が続く。
                                                              ・・・・・・・・・アオダイショウの子ヘビ

B.牙痕(咬まれた傷あと)からの判別
1)針で刺したようなあとが1つまたは1cm前後の間隔で2つある。
                                                                    ・・・・・・・・・・ニホンマムシ

2)1、2列ないし4列の歯形がある。       ・・・・・・・・・ヤマカガシおよび無毒ヘビ

C.症状からの判別
1)特別な症状はない。              ・・・・・・・・・ヤマカガシおよび無毒ヘビ

2)咬まれた局所を中心に痛みと腫れが広がる。   ・・・・・・・・・ニホンマムシ

3)数時間から1日ほど経過して、歯ぐきや傷からの持続性の出血が見られる。(30分〜1時間後に一過性の激しい頭痛を伴うこともある)               ・・・・・・・・ヤマカガシ

4)痛みや腫れはほとんどないが、血圧の低下や出血傾向が見られる。                                                         ・・・・・・・・・ニホンマムシ

D.どうしてもヘビが判別できない場合    (財)日本蛇族学術研究所 に問い合わせる。  

注)ヤマカガシやシマヘビでは全身が黒い個体(黒化型)がしばしば見られる。
     マムシでも、かなり赤っぽいのから黒いのまで色彩にはかなり変異があり、

     また、丸い斑紋も形がくずれていることがある。
              

ニホンマムシ 胎生で9月頃に子ヘビを生む。草刈りやキノコ採り、農作業中に主に手を咬まれることが多い。攻撃範囲は30cmほど。
アオダイショウ(子ヘビ) 成蛇とは模様や色が異なっており、また、外で出会うと頭を三角にして飛びかかるように咬みついてくるので、よくマムシと間違われる。人家付近でよく見られる。
ヤマカガシ
(関東産)
赤と黒の斑紋が特徴であるが、個体差は大きい。カエルをエサとしているため、水田や池、川で多く見られる。全身が真っ黒の黒化型もしばしば見られる。
ヤマカガシ
(近畿産)
他の地域で見られるヤマカガシとはかなり異なる色彩の個体が多い。興奮すると頭を三角にしてコブラのように頸を広げて持ち上げ威嚇する。

トップページへ