体の腫れ(はれ)


ヘビには手足もなく、にょろにょろしたロープのような体つきをしてますが、その体が見た目にもはれる時があります。‘はれる’といっても、体全体がはれているのか、一部がはれているのか、一部がはれている場合でも豆粒大であったり、もっと大きいはれであったり、あるいは皮膚の下がはれていたり、体の中がはれていたりなど、様々です。

体全体がはれたニホンマムシ。皮下に水がたまっていて、その中に多数の寄生虫がいました。口内の粘膜も同じように水がたまり、口の中のスペースがほとんどない状態でした。
ヒメハブの頭部を斜め上から撮ったもの。顔の左側(向かって右側)と頭頂部(人差し指のところ)が出っ張っていました。切開してみたところ、小さなウミのかたまりが詰まっていました。
上の写真と同じヒメハブ。ポコっとしたふくらみが確認できます(体の真ん中くらい)。やはり、ウミのかたまりが原因でした。
野生で捕獲されたヘビでよく体がポコポコはれているのが見つかりますが、多くのケースで左の写真のように寄生虫が中にいることが確認できます。実は上のヒメハブもこの寄生虫が原因だと初めは思いました。切ってみたら違ったわけです。
顔面がはれたハブ(正面から撮ったもの)。多量のウミがたまっていました。
上の写真のハブ(治療後)。腫れも引き、ほとんど普通の姿に戻りました。
正常なハブの頭部。
顔の右側がはれたビルマニシキヘビ。原因にもよりますが、このような状態でも普通に餌を食べ、生活に何の支障もないケースもあります。
カリフォルニアキングスネーク。体の後半部がはれているのが見つかりました。体の中で何かがはれていると診断できましたので手術をすることにしました。結果、卵巣が大きくなり中に水がたまっていましたので、摘出しました。


このように体のはれにもいろいろあります。まずは、触診やレントゲン撮影、試験切開や試験開腹などを行ってその‘はれ’が何であるのかを診断して、治療法を決定します。その‘はれ’が直接の原因でヘビの状態が悪くなった場合には早めの診断、治療が必要になってきます。


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