拒食
餌を食べないことを拒食と言います。ヘビを飼育していると必ず遭遇すると言ってもよい問題です。
スネークセンターのヘビでもときどき見られます。
拒食を解決するためにはまず原因を探ることから始めます。
原因は様々ですが例えば次のようなものが考えられます。
・ 飼育環境に問題がある
ヘビにとって温度が低すぎるあるいは逆に温度が高すぎる場合に餌を食べないことがあります。冬にヒーターが故障して室温が低下するとヘビは動きが鈍くなり、そのようなときに餌を与えてもまず食べません。夏の室温上昇にも注意が必要です。特に最近は猛暑ですのでスネークセンターでは特に暑い日はクーラーを使っています。
また、湿度が低すぎたり、高すぎても拒食を起こす可能性があります。
スネークセンターには世界中のヘビがいます。乾燥した場所やじめじめした場所、あるいは樹上や水辺、砂地などその生息環境はさまざまです。
ヘビの本来(野生下)の生息環境を考えることも大切です。
サハラノツノクサリヘビの部屋。 砂漠に住んでいるヘビです。 |
マムシがウヨウヨいます。 | ||
樹上棲のヘビの部屋。 (コガネハブ) |
マムシは水にもよく入ります。 |
・ 脱皮前
ヘビは脱皮前には餌を食べなくなることがほとんどです(なかには食うヤツもいますけど・・・)。脱皮が終了すればまた食べ始めます。
脱皮殻。 頭から尾まできれいに脱げています。 ヘビは脱皮前に眼が白くなります。 |
・ 精神的なストレスを受けている
スネークセンターには日本国内だけではなく世界中からヘビがやってきます。小さな袋や箱に入れられて車や飛行機などで運ばれてきますので輸送によるストレスを相当受けています。到着してからしばらくは餌を食べないこともあります。
また、ヒトが触りすぎたり、他の動物が近くに存在するなどでストレスを受けていると考えられるときはそれらを取り除いてやる必要があります。
餌に食いついたとしても、振動を感じたり、あるいは人の存在に気付いただけでも餌を放してしまうことがあります。
ただし、ヘビの種類や同じ種類でも個体により神経質の程度にも差があるようです。
アメリカから空輸されてきたセイブダイヤガラガラヘビは来てすぐに餌を食べましたし、毎週何十人ものお客様に触られまくっているアオダイショウはいつもよく食べます。
セイブダイヤガラガラヘビ。 ヂャー!! |
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アオダイショウ。さわりに来てね。 |
・ 餌が気に入らない
ヘビは種類によって食性が違います。ネズミが好きなものもいれば、トリが好きなものもいます。また、トカゲ好き、ヘビ好き、カエル好き、サカナ好きなどさまざまです。そのヘビに合った餌を与えることが一番良いのですが、手に入りにくいものもありますので、比較的手に入りやすいものを何とか食べてもらうようにいろいろと試してみます。
キングコブラはヘビ喰いで有名ですが、スネークセンターにいるキングコブラはハブが好物でアオダイショウは食べません。東南アジアのアオハブは、マウスは食べないのですがウズラのヒナを与えるとパクッときます。しかし、同じアオハブでもマウスもウズラも両方とも食べるヤツもいます。
ペットショップで売られている種類は、餌として手に入りやすいネズミを食べるのものが多いため、餌に関しては楽と言えます。しかし、餌が大きすぎたり、冷凍物だったりすると食べない場合もあります。
キングコブラ。 ヘビを食べちゃいます。 |
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ヤマカガシです。 カエルや小魚が好物です。 毒蛇注意! |
・ 病気
病気になると餌を食べなくなることがあります。ヘビもいろいろな病気になりますので、診察をして必要であれば治療を行います。
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