郷土文芸読本の発刊について

野間清治顕彰会書記 長 京 子

 平成15年10月16日、野間清治の献花式の日に合わせて郷土文芸読本 第1巻が発刊された。
 最初に取り上げられたのは、坂口安吾、南川潤、鳥井足(みつる)の3人である。来桐した坂口安吾は戦後文壇の旗手であり、南川潤は戦前、三田文学の若手ホ−プとして活躍していたが、第二次世界大戦で妻の実家のある桐生へと疎開して来ていた。
又、鳥井足は中国、青島から引き上げてきて妻子の住む桐生へと来た。この3人が戦後の桐生の文化に大きく貢献したことにちなみ、先ずは小説家をということで第1巻に取り上げた。
 第2巻は詩人達でこのシリ−ズを出すきっかけとなった夭折詩人長澤延子、敗戦の年から詩を書き始めた橋本邦雄、反骨の詩人石坂斐三(あやぞう)の3人を取り上げた。
 第3巻は俳人5人である。桐生に文学の灯を掲げた・岩崎楽石、強烈に自我を貫いた・田村貫水、月明下夜学を詠む・原勢桐男、桐生に生きた女流俳人・浅野槇女・石川県生まれで夫と共に来桐し、桐生に根を張った・大和梨花。
 第4巻は歌人6人。桐生に住み桐生を愛した安中出身の歌人・吉田緑泉、おしどり歌人尾関栄一郎・安藤佐貴子、歌を究めた青柳武門・満佐美夫妻、歌ひとすじに森口鶴子。  第5巻(平成19年秋、発刊)は第4巻と同じく歌人編で5人を取り上げる。清水基美・きみよ夫妻、田島信江、今井さわ子、福田きよ子。その他桐生の歌人達という予定で5人ほど取り上げる。
 読書推進部の部員たちが分担して執筆し、小説、詩、俳句、短歌と5年間で5冊発刊してきた。このシリ−ズは一応これで一区りとする予定である。余り知られていない文学活動に光を当てた作業かと思っている。