ゴブラン織は、竪型の織り架台で経糸を垂直に張り、その後方に実物大の増絵を置き紋様にしたがって緯糸を織り込んだ 平織りの一種で、日本のつずれ織りに酷似した織物でタペストリーとも言う。

 そのつずれ織りは、古来祭具や室内装飾布、袋物、帯地等に用いられるが、生産に手数と時間がかかるので甚だ高価です。 この織物の起源は古く、エジプト時代から織られていましたが、ゴブラン織として広く一般に認知されるに至ったのは 15世紀頃にパリで染物業を営むゴブラン家のGillesとJean兄弟が造った物が特に人気を博し、ゴブラン家の家紋が織り 込まれているつずれ織だけを、ゴブラン織と呼ぶことが許されて、その名が残った。その後、17世紀にルイ14世が、 この工場を買い上げて国立ゴブラン製造所としたものが現代に及んでいる。事実パリの地下鉄の駅にGOBELINの 名があり、そこに工場も現存し見学もできます。

 一方ゴブラン織が我が国に輸入されたのは戦国時代で、インドより入ったのでこれを天竺織と言い、非常に珍重されました。 この様に、ゴブランは古くから多くの人に愛されて大切に受け継がれる理由は、この織物が持つ色彩表現力に他なりません。 近年では機会織でこの手工芸的な物の織表現も可能になり広く高級織物として普及し、これらをゴブラン織と言うのが 一般的になりました。では、ここで現代のゴブラン織物はどういう物か説明しますと、一言で言ってゴブランは、 多色経糸と複数緯糸の組合わせを多用し変化に富んだ色彩表現をした平織物であると定めて良いと思います。 また高色彩ゆえ表現できる物は、風景、人物、動物、植物、等々色や造形さえあれば全て緻密に表現できるのです。それゆえに 織りあがったものは、壁掛け、カーテン、ベットスプレッド、クッション、テーブルセンター、ピロー、ピースマット、 椅子張り、鞄地等々多くの用途があるばかりでなく、これらで造られたインテリア空間は、クラシックな重厚感と暖かな肌触り、 そして優雅さや気品、歴史を感じる不思議なところとなるでしょう。


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