9月3日(月)先負
「木の家見学会と作陶二人展」のお知らせ |
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日時 9月20・21・22・23日(日・月・火・水) (午前10時から午後4時まで) 場所 加須市志多見1535 (国道125号むさしの村西ゲート前) Yahoo!地図情報 - 加須市志多見1535の周辺地図 当日の連絡は 09027589008 丸山まで |
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4月6日(月)先勝
足利「大久保の家」完成見学会のお知らせ桜も足利では満開になりましたが皆様はいかがお過ごしでしょうか。おかげさまで工房は純然無垢の木の家を造ることができています。この度、その木の家に賛同していただいた大久保の栗原さんのお宅が完成しました。この家の特徴は家の真ん中に木のテラスがあることです。使わない見せかけのテラスではなく、天気のよい日はテラスでそばを食べたり、コーヒーを飲んだり、子供が工作したり遊ぶことができる広いテラスを設けました。家によってライフスタイルも微妙に変わると思いますが、さて栗原さんの生活もこのテラスによって変わるのでしょうか、楽しみです。また幸運にも栃木県からとちぎの木のプレゼントがあり、室内の壁を杉板にしました。木の家を計画されている方に工房で造っている「真壁の家」を見ていただき、これから始まる家づくりの参考にしていただきたく思います。特にお子様を持つご夫婦のお越しをお待ちします。下の看板シートがありますのでぜひお立ち寄りください。 ![]() 日時 平成21年4月18日(土)19日(日) AM10:00よりPM4:00まで 場所 栃木県足利市大久保町967 Yahoo!地図情報 - 栃木県足利市大久保町967の周辺地図 当日の連絡は 09027589008 丸山まで |
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▲浅間山の少し東側からの噴火の様子。噴煙がなびく方向に現場がある。現場は硫黄の臭いがした。 |
2月8日(日)友引 軽井沢に行った。 1日の日曜日と今日と連続して軽井沢に行った。今秋から始まる予定の現場である。軽井沢は足利の隣町、太田から、工事途中の北関東道に乗って2時間弱で行ける。強風でぼろワゴン車はあおられヨロケながら進んだ。 現場は浅間山の南面の信濃追分である。落葉松林のせいか風はそれほどでもなかった。現場の前は一人住まいのおばあさんが住んでいる。その息子さんが山桜の枝をおろしていた。息子さんは軽井沢は避暑地なのでに7月中旬から9月の彼岸までは工事を中止した方がよいことを話された。これは役場に聞いてこなければならない。また、工事中の仮宿にする民宿も教えてもらった。その民宿は地元で法事や寄り合いに使う人気スポットらしい。帰りに寄ってみたが一泊朝食夕食付き5000円と格安であった。それにもまして大きな浴槽がよかった。職人達も疲れがとれるだろう。帰りは新鋭女性建築家の設計によるトンボの湯につかった、入浴料1200円。 1日の日曜日に帰った深夜に浅間山が噴火したことをニュースで知った。私が行ったせいで浅間は噴火で向かえてくれたのだろうと、例の我田引水。 |
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12月18日(木)先勝 工房が「真壁の家」を造る理由 いま専門誌「建築知識」の原稿を書いている。工房の家の造り方「真壁」ついて簡単にまとめてほしいと言うことだ。来年4月号の「木構造」特集に掲載される。その骨子を下に公開します。(これいいのかね。) |
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▲桐生 矢野邸 | |
この25年間、室内の梁柱を現す真壁の木の家を造ってきたが、近頃は外部も梁と柱を現す真壁の家を建てることが多くなった。これは筆者が日ごろ望ましいと思う、家のあり方やその造り方を示唆する家が実現できたことだ。この実現も建て主の意向によるものだが、筆者の工房では建て主に外観を梁、柱を隠す大壁の家か、それともそれを現す真壁の家かどちらかを選んでもらうことにしている。その過程で、特にこの頃感じることは、環境と健康、または自己表現としての家造りを求める建て主が増えていることである。 たとえば、現在施工中の注文者は30歳代前半の若夫婦だが、台所の流し台にこだわり夫婦で見つけてきた幅90cm長さ270cm厚さ30mmの黒御影石の甲板と千葉のイケアで求めてきたステンレスシンクを支給され、奥さんが自ら描いたスケッチを渡された。工房では石屋にシンクとレンジの穴を開けてもらい、ベースになるキャビネットを作った。また、ある注文者は照明器具にこだわり、骨董店で売約済みの照明器具であったにもかかわらず、キャンセルを待って購入し、入居して半年後に取り付けた。これに限らず今の若い注文者はディテールまでこだわり、気に入ったものを手に入れようとする傾向があり、これらの情報はインターネットから受けているようである。 また、設計者の方はアネハが原因の建築基準法の改正により、善良な建築士の顔はつぶれ、せっかく性能規定が取り入れられたのに、仕様規定の強化が行われ戻った感じである。それは設計者の裁量を狭めることを目的としたものであるが、ますます、法だからしょうがない的な、設計の仕様規定による形骸化が進むのだろう。 真壁は構造部材に囲まれる壁や建具で空間構成を図ることであり、それは明快に部品化ができることである。誤解されやすいが、ここで言う部品とは、相互に絡むことなく取り付け、取り外しができる部材をいい、現在の多様化を拒む大量生産の工業製品を言うのではない。 戦後復興から長く続いた数を求める促成住宅も、ようやくここにきて頭打ちになってきた。そこで政府も200年住宅となるものを打ち出した。 (超長期住宅先導的モデル事業)それは社会実利と環境の観点からリサイクル、リユーズ、リデュースの3Rを図ることが好ましいとする。しかし、まだ住宅レベルでその実現を見るものは少なく、他産業からみると遅れを取っている。それは住宅のつくられ方に起因しているようである。時間的変化を許容できないこれまでの家が、刻々と変わる家のライフサイクルとそこに住まう人のライフスタイルに対応できないからである。残念なことであるが、それはスクラップアンドビルドを繰り返すことになっている。そのためか、あこがれもあるのだろうが、伝統工法の家が賛美されている。しかしその成り立ちが、時間的経過を許容する、可変性を持つことに着目しなければ、伝統工法の評価を確かなものにすることはできない。 この可変性を真壁の家の部品は可能にしてくれる。それぞれの部品が絡み合うことなく取り付けられれば交換可能になる。それは進行する劣化程度が違う部品の組合せでもそれぞれ単独に交換ができる。これまでのように一部の劣化のため、すべてをスクラップにすることなく継続して使用可能になる。それはメンテナンスを容易にしてくれるつくり方である。また設計者はその機能に基づき、建て主が選択できるさまざまな部品を開発することで、多様な建て主の意向に応える家づくりが可能になる。これは軸組工法の真壁が持つ大きな利点である。ここを部品メーカーに譲ることは設計者としての仕事を放棄することになる。 また、生産現場では熟練者が衰退していると言われて久しく、少子高齢化社会では、その働き手が今より少なくなることは明らかである。真壁の部品化はその一つの解決方法になることが考えられる。その部品の組み合わせは、誤差も含めて正確に加工されていなければその機能を発揮することはできない。しかし、その加工は屋根の下の工場で天気に左右されることなく計画的に作業を進めることができる。またそこで非熟練者や女性でも機械を使って参加できるようになる。さらに構造部品に取り付けられる壁や鴨居などの現場で行っていた造作部品も平行して加工できるようになる。これは部品の性能を落とさず、工期の短縮を図り、組織の運営経費の節減ができる。また現場に通う回数も減り、その通勤の余剰時間は働く人の自由時間に当てられ、車の排出ガスも抑えられる。 このように住宅は社会の生産基盤から成り立つもので、我々はそれに着眼しなければ設計者の領域は広がらない。その世界の新たな家づくりは真壁による軸組住宅が見せている。 |
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12月17日(水)赤口 やっと看板シートができた! 左のような現場に掲げる看板がやっとできた。 長年の懸案だったのでうれしい。 工房のオリジナルデザインである。 やはりエコロジーだからグリーンか、このグリーンは微妙である。その森の中に春夏秋冬を適当にちりばめた。これは工房の家は日本の風土、春、夏、秋、冬、を感じる住まいにしているから。春は萌黄、夏は私の好きな(食べること)伊予柑の色である。秋は黄金がたなびく稲穂の色、冬は清楚な雪の色。こんなわけである。 工房が造る柱、梁を素直に表す「真壁の家」の書体を、真行草の真にしたところがにくい、自画自賛。 「真・まこと」造る人たちが特に求められるアイディテンティだ。 来年の初飾りをこれにしました。どこかの通勤電車の中で見かけるかもしれません。また、散歩の途中でも見かけたら現場に寄ってください。大工さんがいますからお声かけください。お茶でも入れるように言っておきますので。 |
7月30日(水)先負 模型を作る 現在の木造住宅は柱や梁の構造材が見えない大壁の家が主流だ。しかし、工房の家は内外共、柱、梁を見せる真壁の家になっている。室内は梁や柱が見えるつくりにするが、外部は梁、柱が見えない大壁か、真壁かを建て主に選んでもらう。実際に建て主は真壁の家を見ると必ず真壁を選んでいる。設計者としてうれしい限りだ。真壁の造りは環境と木にとり、ふさわしいつくりであると思うが、巷ではなぜか普及していない。これは建て主の要求からではなく、造り手の都合からで、多分雨漏りの心配があるからだろう。 戦前、ドイツから日本へ建築家ブルーノ・タウトは来た。タウトは高崎に向かう列車の中で、本庄か深谷の家並みだろうが、その美しさに感動した。その家は当然、真壁の家であり、黒ずんだ柱と白い漆喰壁の絶妙なコントラストが目に焼きついたのだろう。村落のスケールも家の木割によってバランスがよい景観になっていた。そんなことを思いながら、設計者としては真壁の家を望んでいる。 工房ではこの真壁の家造りにあたり、間取りが定まったころを見計らい、1/30の模型を作ることにしている。建て主には実際の真壁の家を見てもらい、その感じを得て、この模型を見ることでよりリアルに自分の家がイメージできる。建て主は模型の我が家に感動している。 やはり図面だけでは慣れないと実際のスケール感は得られないことは確かである。いつも建て主の希望は大きく、予算は少なく、そのバランスが取れないことが多い。まして、広さは図面だけでは見当がつかない。まだ、現在の建て主は畳の帖数で家の広さがつかめるが、今の家はほとんど畳がない大壁の家である。この家で育つ子供達は家のスケール感に乏しい子になるのだろうか。 建て主と造り手の共有寸法が無ければ、その調整に困ることになる。その点、工房の真壁の家はリズムとスケール感が身につく小気味よい家になっている。 |
予算も見当がつかず、建て主の希望通りの間取りで作ってみた模型。これまでの模型と比べて一際大きいのが分かった。 |
予算と間取りが整合見た模型。建て主は左の模型と見 比べて納得した。これまでに作った模型に値段をつけ ようかと思っている。 |
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今年も、ものづくり大の学生がインターンシップに来ている。その本庄の八木君が作った真壁の家の模型。来年に建てる加須の陶芸家夫妻の工房付き住宅だ。予算の都合でシンプルな大屋根の家である。 真壁の美しさがそのまま模型に出ている。 |
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彼のすごいところは軒梁の継手を図面通り作り、その梁を赤味と白太で分けているところ。
その部分が見えるだろうか。教えごとではない、期待する青年である。 本庄のブルーノ・タウトか。 |
7月28日(水)先勝 ジャズ喫茶・屋根裏 「きのうの出来事」どころではなく 昨年の出来事になるくらい、ブログの更新がすすんでいない。日々、それなりの生活をしているのだが、あまりプライベートなことを書いてもしょうがない。でも、個人営業は公と私が入り混ざり、結構それはそれで他人事はおもしろいはず。 今週の土曜日は足利の花火ですが必ず雨が降りますし、日曜日は来年家を建てる足利の津布子夫妻の代わりに、宇都宮へ、杉の県産材プレゼントの代理抽選人として行かねばならない。自慢ではないけれど、うちの家内は滅法くじには強く、スーパーのくじでもたいてい1等か2等は当てる。決してティッシュはもらってこない。悪くても味噌1キロは獲得してくるのである。貧乏くじを引いたのは旦那だけ、とは誰が言ったのか分からないが、多分大丈夫だろう。そのために家内を連れて行く。当たれば10万円相当の県産材の杉柱か杉板が県から無料でもらえる。家内は責任重大であるが、私は大船に乗った運転士である。 月曜日は同業のつくばの高田さんが来る予定。彼は面白い男で50を過ぎても青年そのままである。汚れてくたびれた私に無いものを持っている。これからはこういう人がもてるんだろうなぁと思うが、私には無理だろう。彼と知り合って10年は経つと思う。最初は工房が手がけた山形県西置賜郡のいのちアトリエ のセルフビルドセミナーだったそうである。彼も食に関心持っていたことが後でわかった。そこで高田氏と本ページにある愛知県春日井市の「食べる庭」の津端家を伺ったのである。 |
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話しは前後するが、7月13日夜、待望のジャズ喫茶に行ってきた。喫茶店、古いね。20代後半、足利に帰ってきた訳だが、まず行ったのがこの喫茶店。ドアを開けたら暗い店でじろりと通の客に睨まれた。そこでたじろぎ、新参者はあわてて帰って来てしまった。それ以来、気にはなっていたが行かずじまいだった。それは知る人は知る、ジャズスポット、屋根裏 。女主人は亡くなってしまったが今も続いている。行きつけのカフェ・モカの若旦那からチケットを頂いたからである。風呂に入り、夕食をすませ、短パンとサンダル履きで家内と行った。椅子は古かったが座り心地がよく、500円の赤ワインでご機嫌になった。ボーカルは紅一点、足利出身のみりんさん、ピアノは辺見優司、ベースは池田和仁、ドラムスは田中正志である。若いみりんさんのキャラは明るく、結構,人気者の
シンガーになんるんじゃない、という感想、応援したい。 この構成はまるで建築職人の態である。ボーカルは口達者な大工、ピアノは仕切屋の設計士、ベースは平穏無事の左官屋、ドラムスは気性からして鳶頭だろう。この連中も職人なんだなぁ、と思った次第。 |
2月8日(金)友引
わたしのいえ
ありがたいことに今年も右のような年賀状が多数届いた。
この頃は30代の若い建て主が多いので子供は幼稚園児か
小学生になる。
いつもながら「木の家」家族のほほえましい生活がうかがえる。
これは設計者冥利である。
佐野の平岩家の長女で小学2年生になる はおりちゃんは
「木の家」の作文を書いた。それはみごとに作文コンクールで
入賞した。原稿用紙3枚にきちんと納めた大作である。これを
みてもこの子は賢いことがわかる。
その中に登場する「大工おじさん」は私のことである。新春から
はおりちゃんに元気をいただき、光栄なことである。
下にその作文を載せますのでお読みください。感性豊かな
子供の成長がわかり、「木の家」を造ってきた設計者として、
新たな確信が生まれてくるようだ。
平成20年2月7日(木) 旧正月
気の抜けた年賀状
いやはや、月日のたつのは早いもので更新が遅れに遅れて半年が過ぎた。遅くなってしまった二番煎じの年賀状です。改めまして、年賀状を差し上げなかった方々に本状をお送りいたします。寒中お見舞いになり申し訳ありません。
7月22日(日)友引 人生、軸Zag 今回は少し手抜きですが同業の岐阜の友人に送ったメールを掲示します。ご覧ください。 中村 様 こんにちわ。
暑中お見舞い申し上げます。
元気でやっておられるでしょうか。
室生寺に引っ越したのことおめでとうございます。
草深い山里の生活は快適そのものですね。
以前の写真からその様子がうかがわれうらやましい限りです。
時間はお金で買えない価値を認めることを、これからの生活の主体にすることは先見の明があると思います。この視点が今の日本に欠けていることだと思います。これからも、この視点を中村さん自身の生活を通して、発信してほしいと思っています。影ながら応援します。
話は変わり、この間、10年ぶりに足尾に行ってきました。植林に行って来たのですが、公害の原点である足尾の山は緑に覆われて、昔の凄惨さは薄れていました。また、古河精錬の工場廃屋も何か少し訴えるものが失せてきているようです。日本国土の自然の回復力は、やはり世界に類を見ない所なのでしょうか。しかし、今だ、そのカバーされた緑の下には鉱砕があり、その灰汁は滲み出ているようです。それを源流とする足利の渡良瀬川も清流ですが、その被害は微妙に続いているようです。 まったくもって、これは美しい日本を象徴しているようですね。
また話は変わりますが、ご存知のように今、真壁ネットでは木造の限界耐力計算を勉強中で半年たちました。基本のテキストは終わり、これからはJSCA関西の本を習います。近ければ中村さんも参加できればいいのですが。なかなか構造設計者は木造に疎く、意匠設計者は数字に弱く、今は地震が頻発するせいか構造学者の独壇場です。施工者から考えると、命は大事ですが、日々の生活の視点から地震を見ればもっと広がりのある地震対策があるような気がします。その一つが限界耐力計算法でしょうか。
だんだん、世間もそうですが、住宅も固くなり、建築基準法も改正されて少し混乱してるようです。これも硬直化の一つなのでしょうか。設計者にもやっかいなことになってきました。これは今までも見られますが、より一層、デザインも形骸化に向かうような気がします。
その形骸化に陥らないためにも、工房では栃木県林業センターで真壁パネルの復元力特性を抽出してもらうべく、3種3体の実大試験体を届けてあります。まだ実験は行っていませんが真壁ネットで見学する予定です。
その前に、昨日は耐力壁のジャパンカップに工房も出場しようかと思い、板壁のフレーム1体を林業センターに届けてきました。参加に値する強度が出たらの話ですけれど、これは今月中に実験します。この壁は、あまり住宅では使われない根元の根曲がり部分を幅広の板にして使ったものです。ただ、矩形の板にしてはおもしろくないので、台形にした板をリャンコにフレームに入れたものですが、変形すると板壁が互いに締め合うようになり、初期剛性を高めようとの考えです。さて、この壁の
ネーミングを「軸Zag」ジグザグとしましたが、いかがなものか楽しみです。
追伸
中村さんも山に関心があると思いますが、日本材木学会の行動班であるNPO 才の木 をご覧ください。
私もこの一員ですが、20年来、葉枯らし材で工房と付き合いのある黒羽町森林組合の山を見学することを提案しようかと思っています。
潟ー建築工房・丸山
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![]() ▲昨年は京町屋を見てまわりました。 |
謹賀新年 今年も相変わらずよろしくお願いいたします。 皆様お変わりありませんでしょうか。月日の経つのは早くて身体から時間が離れて一致しないもどかしさを感じます。これも歳のせいと言えば納得でしょうが、己自身はそうはいかず、日々その原因を考えあぐねています。そんなことを考えてもしょうがないと妻は申していて、快眠をむさぼっています。でもその原因は少し解明できそうです。 昨年の我が家は大きな出来事がありました。それは家族に変動があったことですが、とうとう、子供たちがすべて家から出て行ってしまいました。これは家出と違いますが、末娘が大学に進学して一人住まいを始めたことです。希望を持つ子供の自由な将来の歩に応援したい気持ちと、親から子が離れ、もう親の元へもどることはないと思う一抹の寂しさが錯綜しました。これは私自身の男3兄弟、三男の弟を見ても明らかでした。晩年の母は遠く離れるその三男を案じて「日曜日くらい、遊びにこれる所に居ればいいのになぁ。」といっていました。今はその心境でしょうか。身体から時間が離れているのはこれが原因だったのでしょう。 このような家族の出来事や生活が演じられる舞台としての家の役目は重要です。ただ、いつもながら自分自身の実体験から考えめぐらす自分にあきれることも多いのですが、家の設計者は建て主に代わってある時は母親になり、また父親や娘、せがれになり、計画する家で演じることになります。これは建て主に実際に会わないとリアルにその家族の生活がイメージしにくいものですが、まずは建て主を好きになることから始まり、あまり先入観にとらわれないで設計に入ります。いつも絶えない家族の笑顔を思い浮かべます。とくに奥さんが喜ぶ姿を思います。これが高じて奥さんを好きになってしまうことは危険です。しかし、この危険を冒した建築家がいます。それはかの有名なF・L・ライトです。ライトはことにクライアントの奥さんを好きになり、結婚を重ねました。 これは私には心配は及びませんが、その家族を好きになることを心がけています。どういうわけか、この心がけは気持ちの良いプランが生まれます。そのディテールは家の寸法のあり方から決まるのでしょう。今年も身体から時間が離れないような家族の寸法を求めることになりそうです。 2007 元旦 潟ー建築工房 丸山純夫 |
5月30日(火)友引 葉枯らし材見学 連休が明けて13日の土曜日に久しぶりに黒羽町森林組合に行った。これから間取りの計画が始まる宇都宮の井田さんの要望で、工房がかねてから注文している八溝(やみぞ)の山の葉枯らし材を見学することにした。私と井田さんだけではさびしいのでほかの人も誘ったら、総勢20名以上になってしまった。今回の葉枯らし材は新月伐採を行なった。 |
▲7月にこの葉枯らし材が製材されて工房に納入される。 |
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▲雨の中の見学だった。 |
▲黒羽町森林組合の屋代さんが説明をしてくれた。 |
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午前は那須の竹原邸を見学した。 この日は雨も降り、結構寒かったのでストーブに人気が集まった。 竹原さん夫婦はリタイヤ後のスローライフを楽しんでいるようだった。 奥さんが岡山で個展を開くと言っていた。夫婦ともども生き生きしていた。 ▲ワイン職人のガットラブさんも夫婦で参加してくれた。 |
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5月20日(友引) 引渡し きょうは大垣さんの家の引渡しだ。(これから鍵を渡し に行く。)昨秋に実大実験をしたおじいさんの家(笠原 さんの家)の跡地に工房の「真壁の家」を建てた。 このおじいさんの家も真壁の家だった。加奈さん夫婦 の家がそれに勝る家になったかどうか、これからの 加奈さん家族の生活が証明するのだろう。 このおじいさんの家を実大実験し、多くのデーターが 得られた。形を残すことも伝統の受け継ぎに違いないが、 このデーターも伝統の受け継ぎといえる。この多くのデ ーターはこれからの家のあり方を示唆してくれる。 (もし、このデーターに興味のある方は関東能開大の岩田研究室 まで連絡ください。公開しています。また、この実大実験の研究成果 は今月に行われる四国支部 の建築学会に岩田先生が発表します。) また、大垣さんの家のテーブルはおじいさんの家の 床の間の地板を使った。それは3尺6尺の栃の木の 1枚板だった。 ▲おじいさんの家の床の間の地板を使ったテーブル。秩父の家具 職人の塚本さんがつくった。 |
また、工房ではおじいさんの家の天井板を再利用した。 それは玄関ホールから広間に入る引き分け戸に使った。 50年ほど経った2分3厘の赤味の杉杢の天井板を削り なおした。写真のように再び美しい木見を表した。 ▲天井板を再利用した建具。横桟のデザインは天井板の釘穴を隠す ことと天井板を切らずになるべくそのまま生かしたい理由による。 |
11月28日(月)赤口
足利「八幡の家」完成見学会のお知らせ晩秋の日々 をどのように過ごしていますか。工房では着々と自前の手ワザで住まいを造り続けています。住まいを計画されている方、あるいは工房の家の建築を心待ちにしている方のために完成した「八幡の家」を建て主さんの協力で見学することにしました。工房で造っている「真壁の家」を見て、これから始まる家づくりの参考にしていただきたいと思います。家は住まい手によって同じ「木の家・真壁の家」でも微妙に違ってきます。住まいは個々に建て主の思いと考えで明らかに違う表情をみせます。それが町を形成するとき、均質化、画一化されたどこかで見たような風景とは違う、豊かな家並みをつくります。豊かな家並みは散歩していて気持ちよく、人と家がよくなじみ、向こう三軒両隣のコミュニティは良好になります。住まいは個人のものですが群として環境の一部になります。特に今回の「八幡の家」はこんなことを考えました。 その表情が玄関へのアプローチに表れています。公と私を塀や門で画然と分けるのではなく、あいまいにして、しかもプライバシィを確保するように、ポーチへの進入を木の階段にしました。この公と私のあいまいさが視覚的な道の広がりとなり余裕を生んでいます。とくにこの通りの家々は塀でしっかりと道と敷地を区画して息苦しさを感じます。この息苦しさを「八幡の家」の出現で緩和され、豊かな感じが生まれています。それを階段あがりはなの山ぼうしが一層引き立てています。 これも建て主の家に対する意向と考えで実行できました。このように家に対する視点を少し変えれば特別な負担を強いられることなく気持ちのよい町はできるのでしょう。 日時 平成17年12月10日(土)11日(日) AM10:00よりPM3:00まで 場所 栃木県足利市八幡町1丁目 Yahoo!地図情報 - 栃木県足利市八幡町2丁目の周辺地図 なお見学会と同時に陶芸家・藤野純一氏の日用雑器の作品展示即売を行ないます。興味のある方は合わせてご覧下さい。 |
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9月25日(日)大安 笠原さん家の実大引き倒し実験 笠原さん家のおじいさんが建てた家は築50年程経った土壁の家である。昭和30年初期の家で塗り壁の下地材であるラスボードは使われていない。行政指導のためか筋違が土壁の中に納められたつくりになっている。現代の筋違や合板の固い家づくりへの移行期の家である。その家は南東が土間の入り口になり、田の字型の開放的な間取りになっている。北関東で見られる典型的な戦後の農家住宅である。 この家を壊した跡地に孫娘の加奈さん夫婦の家を建てることになった。おじいさんに申し訳けないと思う加奈さん夫婦は何かその家を利用できないかと考えていた。そこで工房は実大の引き倒し実験を行い、その家にもうひと働きしてもらうことを提案した。家は残らないがこの家が持つ耐震性能を抽出してその技術を後に残せればと考えた。また床の間の地板、柿の1枚板を食堂のテーブルに使い、南2間の天井板2分3厘は建具に再利用することにした。これでおじいさんの許しを得ることにした。 いま流行り のブンカやエコ精神だけで、かと言っておカネの理由から民家再生ができるとは限らない。住まいには家族それぞれの思いがあり生きる意思の反映がある。家づくりは家族の絆を信じて健康的な生活営もうとする行為であること。いい思いが託くせる家族の家をつくりたい。 |
![]() 加奈さんのおじいさんが建てた家。材料が乏しくても大工の技術は確かである。 |
![]() 2分3厘の天井板を取り外した小屋裏を見る。まだ天井の竿は残っている。煤を洗い落とした母屋の丸太はほぞ穴が残る再利用材である。再利用材がそこかしこに使われている。土壁は鴨居から天井を越えて6尺以上も塗られている。土壁は鴨居の高さを約6尺とすると柱の長さと同じ大きな梁成を持つ柔らかな壁梁になっている。これは柱の木の曲げ作用と柔らかな壁梁の土のせん断作用の協働で粘りがある耐震要素を構成している。 |
実大引き倒し実験のお知らせ 建坪27坪平屋建て築50年の土壁の家の実大引き倒し実験を関東能開大の岩田純明先生と武蔵工大の大橋好光先生の協同研究で行います。見学を希望する方は下記の問い合わせ先までご連絡をください。なおこの実験に平行して関東能開大(栃木県小山市)岩田・松岡研究室において木造軸組工法の変形を許す限界耐力設計セミナーが開催されます。 実験予定日 10月14日(金)〜16日(日) 実験場所 栃木県足利市 笠原様宅 問い合わせ先 「真壁ネット」呼びかけ人代表 山下建築研究所まで (〒329-0101 栃木県下都賀郡野木町友沼6614-57 TEL0280-57-2441 FAX0280-57-2441 【E- mail】_yamashita@nifty.co) |
6月13日(月)大安 「佐野の家」完成見学会のお知らせ おかげさまで「佐野の家」が6月9日に完了検査を受けて竣工いたしました。建て方が4月6日頃でしたので現場施工はほぼ2ヶ月で終わったことになります。特に施工中はご近所の方々にご迷惑をおかけしました。住宅建築はご近所の協力で完成できると思っています。そのためにも建て主さんのご意向も含めて「佐野の家」をご披露したいと思います。そしてご近所の仲間入りをさせてください。また、この期を借りまして一般の方々の見学も承ります。遠慮なくお出かけくださいませ。(「佐野の家」完成見学会・見学案内) この家は建て主さんが希望する木の家ですが、工房で勧める梁、柱を表す「真壁の家」のつくりになっています。近在の農家の納屋などに昔の真壁づくりの家が残り、かつての村風景が偲ばれます。それは朽ちていく土や木の材料ですが落ち着いた確かなものを感じます。たいてい、現在の家の外壁は窯業系のサイディングが張られています。その表面のパターンをいくらメーカーが工夫してもその材料が放つ風合の力はごまかせません。その材料のもつ力が家並の風景を決めてしまい、キレイな町になったにも関わらず、美しい町にはならないようです。こんなことも反省しながら「佐野の家」はできています。 |
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![]() 「佐野の家」東側外観: 柱が規則正しく3尺ピッチで現れている。 |
工房で造った杉柾のテーブル。 ジャンプルーベ風に足元を細くしてみた。 |
6月11日(土)に新潟大赤林研究室http://tkkankyo.eng.niigata-u.ac.jp/で気密 測定 を行う。真壁の家の「佐野の家」でもQ値=2.3を得る。かなりの高気密性能であった。 |
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5月4日(水)仏滅 聖天さまの御利益 連休は苦手である。生来の貧乏性でヒマをどう使っていいのかわからず落ち着かない。家でブラブラしていたら家内に天気がいいのだからと自転車でも乗ったらと勧められた。そこで前から気になっていた赤岩渡船に行くことにした。 この渡船は群馬県邑楽郡千代田町赤岩にあり永禄年間から続いている。赤岩は工房前の県道を南に約10キロ程行った町である。赤岩渡船は利根川を渡し、埼玉県の熊谷と群馬県の館林や栃木県の足利を結んでいる。今でもこの渡船は公道の役目を担い無料で乗ることができる。 この渡船は自転車も乗せられ対岸の妻沼の葛和田に5分程で渡る。葛和田の船着き場に着くとすぐそばの河川敷はサッカー場で女子中学生が試合をやっていた。サッカー場の上流と下流はグライダーの滑空場だった。日大や慶応などの学生がグライダーを操縦している。グライダーは女子中学生の歓声と共に青空高く舞って気持ちよさそうだった。 |
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葛和田の船着き場から約5キロ先の妻沼の聖天さまに向かった。聖天さまの本堂を何度か見に来たことはあるが自転車で訪れるのは初めてである。聖天さまのそばのすし屋の稲荷ずしはことに知られ、前にもたびたび買いに来たが売り切れて買うことができなかった。しかし、この日は聖天さまを祈願したせいか買うことができた。御利益があったということか。 今回のミニサイクリングは赤岩渡船がタダで乗れ、利根川に流れる風をいただき、聖天さまの稲荷ずしも食べられた。これも聖天さまの御利益なんだろう。ありがたい1日であった。 |
▲赤岩渡船の船着き場から対岸の葛和田を見る。 |
![]() ▲聖天さまの貴惣門 (江戸末期に建てられた三つの破風を持つ八脚門。 本堂も見ごたえあるが改修中で見られなかった。) |
▲右上の大きな稲荷ずしが聖天さまで売っているもの |
![]() ![]() ▲葛和田のグライダー滑空場 |
![]() ▲葛和田の船着き場にある熊谷駅行きのバス停(中央ポールの黄色い旗を揚げると対岸の赤岩から渡船が迎えにきてくれる。) |
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4月2日(土)先勝 建て方見学会 突然ですが4月6日(水)に潟ー建築工房の建て方見学会を行います。これは一般の方も参加できますが特に設計事務所や工務店の参加を求めます。(参加費は無料ですが駐車場の関係で限定5名にします。)午前中に建て方を見学し午後は小山市の関東能開大で壁の耐力実験を見学します。興味がある方はご参加ください。 お問い合せは潟ー建築工房まで。 |
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4月1日(木)赤口 ふすまパンのレシピ ふすまパンのレシピの公開を約束して早4ヶ月たってしまった。 きのう、事務機屋の草野さんが工房に来てそのことを言われた。そのためにHPを更新することにした。もったいぶっていたわけでないが時間は予想を裏切り早く進んでしまう。工房では岩船の家が終わり、佐野の佐山邸の建て方に入るところである。この不景気な時代に仕事が続くことに感謝している。 いま、アメリカのダイエット法は低インシュリンダイエットからローカーボダイエットに移ってきた。女性の方はもうご存知と思うがアメリカではこのローカーボダイエットが盛んである。これにあやかり炭水化物をほとんど含まない食物繊維のふすまに目をつけた。いま食物繊維はサプリメントとして注目されている。これは便秘の方にもいいらしい。また血糖値はこの炭水化物をコントロールすればよいとの医学的見地がある。 |
私は身長1760mm、和室の内法高と同じ5尺8寸、体重60Kgと決して太った体ではない。むしろスマートすぎる。それがなぜローカーボなのか、それは血糖値が高めだからである。年々高くなる傾向にあり、食習慣を改めねばと思っていた。言わずと知れた生来のナマケモノで運動不足である。大学受験の末娘も多分にもれずこのナマケモノを引き継いでいる。オヤジの血糖値が上がるがごとく娘の偏差値も上がればいいのだが・・・なぜか下降気味である。お互いに困ったものだ。 こんなことから朝食は自家製のふすまパンを食べている。これが結構いけるのである。セガレは水分が吸い取られるパンと言って食べないが、それはその通りだ。水分を補給しながら食べなくては年寄りの私は少しむせる。そこでその水分補給を朝食の味噌汁にしてふすまパンを食べている。これはまさにパリに行った江戸侍の気分である。ヤケではないが本当にこれはいける。 皆さんも食べていただきたい。工房に来て食べてもらうにも気が引けるのでそのレシピを公開する。作ってみてはどうだろう。ただ、嗜好は個人差があり責任は持てませんが・・・。(ふすまパンのレシピはこちらです。) |
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11月18日(木)仏滅 ふすまパン いま、パンに凝っている。 5年ほど前、大宮のパン教室に通ったことがある。これは1年間のカリキュラムで本格的に教える教室だった。バターロールから始まり、フランスパン、メロンパン、あんパン、ぶどうパン、ベーグル・・・といろいろ作った。家内は1年間やり通したが私は半年で挫折した。なぜ挫折したか、生来の飽きっぽい性格は間違いないが、30人ほどの教室は私一人が男でほかはすべて女性であった。これは年に似合わず気恥ずかしい思いからである。(この気恥ずかしい思いは20代に茶道を習っていたときも経験していた。)それに次から次へといろいろなパンを習うが結局、パンは小麦粉を発酵させてどうふくらませるかだと思った。この真髄にふれて興味が失せたことが大きな原因といえる。それは教室の女性群を見て一層強くした。 我々は学校給食が弁当からパンに変わった年代だ。これは木造校舎から鉄筋コンクリートの校舎に変わったことと同調している。教室でおふくろが作ってくれた新聞紙にくるんだアルミの弁当箱をザワザワと開いて箸で食べた。パン給食になってからは台車に乗せた深鍋から、給食当番がアルマイトの食器に盛り付けた。パンをちぎりスプーンで音をたてながら食べた。 |
こんなことを思いながら家でパンを焼いている。年を気にして健康に気を使うことが始まりでふすまパンを焼いている。生来の研究好きでやっと食べられるふすまパンができた。 ふすまはご存知のようにほとんどが繊維質である。これを小麦粉に入れて全粒粉以上に繊維分を多くしようとのねらいからだ。それは腹一杯食べてダイエットしようとのあさましい魂胆からである。この矛盾を矛盾でないようにするのが研究者の社会的使命と思っている、とか言って?! ふすまパンの作り方やレシピは後ほど発表します。 |
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▲ライトアップされたふすまパン |
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![]() ▲4寸角の垂木をつないでいる能開大の凸凹漫才師、小谷野君と栗原君 |
8月9日(月)大安 インターンシップ 今年も工房にインターンシップで大学生が来た。たまたま期間が重なり、行田市のものづくり大と小山市の能開大の2年生、各2名が参加した。連日35度を越すうだるような暑さと、台風の中の作業だった。しかし、よくがんばり、まんざら今の若者も捨てたものではないと思った。 ものづくり大の40日間の研修はセルフビルドのサポートで東秩父の家の加工から建て方まで一貫して行なった。能開大は10日間の研修で建て方を体験した。 山の中の東秩父の家は車やレッカーが使えず、運搬と建て方をすべて人力で行なった。職人ともどもシンドかったが、連帯感が高まり、良い雰囲気で作業ができた。 一連の作業プロセスに身をおく家づくりはバラエティに富んでいて、モチベーションが高まる仕事だと思う。建築は種まきして、田植えをし、稲を育てる素朴な農業と似ている。インターシップの学生たちは筋肉痛の体でどんなことを感じたのだろう。将来の歩みにいくらかでも役に立てばありがたい。 |
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![]() ▲7キロのダイエットに成功した 紅一点の成田さん ![]() ▲冗談か天然ボケかワカラヌ 小谷野君 |
![]() ▲棟梁気取りの朝倉君 ![]() ▲身長1m92脚立がいらない 栗原君 |
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![]() ▲緑陰の中で2階床組みが組み上がる。 |
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7月18日(日)先勝 正直な真壁の家 工房の家はいつも国産の杉、ヒノキで造っているが、木は捨てるところがなくありがたい材料だ 。新田の家は柱、梁を表す真壁でつくり、外部は炭焼きから得られたタールを塗った。建て主の梶塚さんが工房に来て、タールを塗った木片を見つけた。これは1年前に塗っておいたもので結構いい味がでていたので使うことになった。 タールの成分は体に良くなさそうだが、防虫や防雨の効果はあるのだろう。人工塗料にない味わい深い色である。2000万円を切る木の家のコストと性能から、いつものようにアルミサッシを使わざる得ない。でも、アルミ、アルミしていては残念なので、今回もアルミ雨戸のフレームを取り寄せて、鏡板に杉板をはめ込んだ雨戸にした。これでコストはアルミ雨戸並みで軽くてスムーズな木の雨戸ができる。これは工房の定番部品になっている。 以前、真壁の家は風景を壊さないと言ってしまったがどうだろうか。新田の家の外壁は1階は杉板張り、2階は硬質木片セメント板である。隣地境界から3メートル離して延焼の恐れのある部分にはかかってはいない。柱をしゃくり、杉板を差し込んである、内外とも真壁の家はこれで5棟目である。真壁で懸念される雨の進入は今のところない。もし、あっても一目瞭然に雨漏りはわかり,原因究明も早く、かつ木の乾きも早い。木は濡れても乾けば長持ちはする。風雪にさらされた古民家の板壁は風景になじみ美しい。柱を隠す大壁の家のように知らないうちに柱が腐食していたなどならない、真壁の家は、メンテナンスを考えると好ましい造り方と言える。 隠さず、雨漏りがすぐわかる真壁の家は正直な家だ。そういう建て主の梶塚さんも正直な人である。 |
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5月30日(日)先負 セルフビルド3 先週の水曜日、26日に埼玉、東秩父村の坂本に行った。東秩父村は足利から意外と近く、1時間ちょっとで行けるのどかな山間の村である。 この日は大安の良い日なのでセルフビルドを行なう塚本さんの水盛をした。塚本さんは横浜、元町で仕上がった家具職人である。温厚で誠実な方だ。今、その塚本さんから頂いた、セルフビルドをやるのだ、という手紙を見ているが02.7.22となっている。2年も待っていただいたのか、申し訳ないことだ。 塚本さんはこれでセルフビルドは3軒目になるそうだ。1軒目は1階が材料倉庫で2階は部屋になっている。2軒目も2階建てで1階は木工機が置いてある工房で2階が一部住まいになっている。この2軒とも1階を工房として使うために柱は少なく、張間が飛んでいるため、方杖やトラスでうまく処理している。素人が造ったにしては理にかなった造りである。やはり、家具職人からだろうか。 今回の3軒目は母と一緒に住むための住まいである。よく練られたシンプルなプランと自分で描いた簡単なパースをいただいた。それをもとに工房仕様の「真壁の家」を造るのである。今回は軸組だけを任せてもらった。セルフビルドの経験者である塚本さんはほとんど建築家である。 (なお、山梨、塩山の高橋さんのセルフビルドの家が住宅雑誌「木の家に暮らす」7月号に掲載されます。私も駄文を書いています。よろしかったらご購読ください。) |
▲塚本さんの工房 |
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4月27日(火)大安 光陰矢の如し ナンダカこの頃、日が経つのがヤケニはやい。50を過ぎると歳はもういいや、という気になる。20代は認められようとイキガッテ背伸びしたものだったが、この歳になるとどうでもよくなってくる。 思えば、私たちの年代は経済成長と人の成長がうまい具合に連動していたのだった。なるほど、年老いて、体も経済も活力が失せてきた。 こんななか、学生のセガレは求職活動している。なかなか思うようにいってないらしい。私たちが学生のころは引く手あまたで、今で言う上場一流会社はたいてい就職できた。今ではそういう会社は5次、6次の入社試験がある。若者も大変だと思うが、少し遠くに自分のポジションを見て求職してはどうだろう。大学を偏差値だけで選んでしまったように会社は選ばず、その仕事に興味があるかどうかで選ぶ。仕事やその人の生き様には偏差値はつけられない・・・・・と。 少しおせっかいなことを言ってしまった。 これは身内のことも含めてのことだからお許しねがいたい。 こんなことを思いながら「きのうの出来事」の更新も4ヶ月たってしまった。「那須の家」も完成し、足利の「助戸の家」も完成した。 ▲足利・助戸の家 1階広間から玄関土間を見る。 |
▲玄関土間から仕切りの建具を半分閉めた広間を見る。 ▲玄関土間から仕切りの建具を開け放して広間を見る。 |
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12月1日(月)赤口 那須の家 完成見学会 暦も残り1枚になり今年もあわただしく終わりそうだ。この忙しいなか那須の家は完成した。近頃,特に工房の「真壁の家」の見学者が多いので引っ越し前の家を借りて今週の土、日の6,7日に完成見学会を行ないます。現地までの地図は こちらです。 この那須の家は屋根裏を含めて約50坪ほどあるが工房で軸組と壁パネルの加工を8月から約1月半行ない現場組立てを9月中旬から始めて建具も入り11月一杯でほぼ完成した。約4ヶ月の工期だった。 |
この時節どこの会社もコスト削減がテーマでご多分に もれず工房も同じようだ。このごろ長期ローンが組めてその負担が少なくできる30歳前半の建て主が多くなった。特に「木の家」を望む人たちは若くても生活を見据えた堅実家である。この人たちは自分でできるものは自分で行ない、低予算で本物の家を造りたい人たちである。三木さんの奥さんではないが「地球にやさしくお財布にやさしい家」を望んでいる。 多くの家は営業マンとローンの打合せで丸ごとできてしまう。この一元的な住まいづくりが少し変わってきたようだ。奥さんの手料理を家族で一緒に食べるように全員参加の家づくり、自分の家は自分で建てる、この当たり前のことが見直されてきたのだろう。みんなでやる楽しい家づくりは子供にとって良い勉強になると思う。 |
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9月25日(木)赤口 「とちぎの木で家をつくる会」県下一斉見学会 今年も「とちぎの木で家をつくる会」の会員で県下一斉に家の見学会を行ないます。工房も参加しています。右下の要領で行ないますのでお問合せください。 いま、工房では那須の山中で定年後に生活する千葉の竹原夫妻の家を造っています。11月一杯で完成です。足利から少し遠いので大工連は通わず、貸し別荘で寝泊りしています。ビジネスマンにとって出張は日常茶飯事ですが職人はあまり経験がありませんのでマンザラ別荘生活?も捨てたものではないと大工連は思っているようです。 この間、炊飯器とカセットコンロを現場に持って行き、昼飯をつくりました。木陰で食べる豚汁と天ぷらは格別でした。やはり、緑に囲まれみんなで食べるのはいいものです。 この家は山の地形に合わせた片流れの屋根を持つ家です。2階にある玄関は道から架け渡したブリッジを渡って行きます。小さなギャラリーの玄関は夫妻の作品を飾ります。食事をする広間は片流れの屋根裏を表わす吹抜け天井になっていてロフトのゲストルームからは広間のストーブが見えます。南のテラスにつながる浴室は梢の間から菜園で野菜を採っている奥さんが見えます・・・と計画したが、さてさてどうなるのか楽しみである。 |
![]() 見学会要領 今回は築16年ほど経った「真壁の家」を見学します。 すべて国産材の材料を使った家の経年変化見てみることにしました。 日時・平成15年10月4日(土)5日(日)PM1:00〜3:00 場所・足利市島田町136 新築の家は日を改めて見学します。希望者は追って通知しますので工房までご連絡ください。 |
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7月22日(水)友引 炭焼き炉 この5月連休に炭焼き炉が工房に納入された。木工場敷地内の隅に仮設足場と単管で小屋 をつくりその中に炭焼き炉を設置した。これは窯の容量が450リッターの炭焼き炉で木酢液が抽出できるものである。 注:この炭焼き炉の排煙が懸念されたが二次燃焼させる方式なので煙は出ず良好である。 工房では国産材の家を造っているがその残材が1割ほどでる。これは梁、柱の寸面を決めるときにモルダーや4面鉋盤から出る削りクズと必要長さにカットした残りの端材である。 削りクズは隣町の乳牛飼育家が引き取ってくれる。これは牛舎の床に 敷き藁として使い糞尿とともに熟成させて堆肥にする。 端材は市内の銭湯、花の湯が使ってくれたが、この頃ハシハシしない。燃料としての端材は重油と比べ管理が面倒らしい。 なお、昨年は産業廃棄物規制の法律が施行された。工房の焼却炉もその規制を受けることになり買いかえなければならなくなった。そこで端材を処理するために新基準の焼却炉にするならば、いっそのこと、炭焼き炉を導入して炭をつくり活用しようと考えた。 きれいな杉の炭ができた。 今まで炭を買っていた秩父の炭焼き職人の青木さんに申し訳けないがこれからは自前の炭を床下に敷くことになる。これで炭の値段も下げられ、残材も処理できるので一石二鳥であるが・・・・・。青木さーんすみませ〜ん。 |
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5月17日(土)友引 ソースカツ丼 ![]() ▲足利 三田屋のソースカツ丼 これは何かと思うだろうが足利、利保の三田屋のソースカツ丼である。これで500円は安い!(ちなみにラーメンは300円!!であった。)何故ソースカツ丼かと言えば今回、工房に来た、エコサイクル住宅研究会のリクエストによるものだった。足利はソースカツ丼の元祖と聞いているとの打診があったが当の私はわからなかった。以前、桐生の建て主さんが得意そうに足利にはないソースカツ丼を食ってけと出前をとってもらったことはあった。自信ありげに言うので桐生が元祖かと思っていた。 地元の沽券に関わると思い、あまり肉は食べない私は、妻と一緒に市内のソースカツ丼を食べ歩いた。なかでも紹介された三田屋のソースカツ丼はカツの肉が薄くて少し辛めのサラリとしたソースが染みわたっていた。そのカツからキャベツは少し覗き、カツがご飯の上にほとんどダイレクトに乗っているのがよい。そのカツは懐かしい味がした。 そういえば子供の頃コロッケを買いに行かされた肉屋は、トンカツ用の肉を平べったい鉄で叩いて薄く伸ばしていた。三田屋のソースカツ丼のカツはそれと同じでいつも親父が食べていたトンカツだった。 ただ、トンカツにはあまりいい思い出はない。当時、コロッケばっかり食べさせられた弟と私だったが、親父が残した脂身だらけのトンカツをもったいないから食べろと言うお袋がいやだった。 |
いやはや、時が経つのは早いものである。この3月、4月といろいろなことがあり忙しかった。このページを作ってから結構、カウンターが増えているので少しプレッシャーにはなっている。 今週の水曜日に東京からエコサイクル住宅研究会の人たちが工房を訪れた。エコサイクル住宅研究会はまだNPOにはなっていないが環境を通して住宅を考えようと気張らないスタンスで活動している。 工房で手がけた足利市内の家を3軒ほど見学して頂いた。この建て主さんたちはドヤドヤと押しかけ迷惑であるがいつも快く応対してくれる。商売を超えた付き合いができることはありがたいことである。 |
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その家の建て主さんは30才代前半と40歳になったばかりの夫婦と停年生活をしている夫婦である。3軒とも今までズーッと造ってき | ||
た工房仕様のオール国産材の家である。間取りはいつも変わらぬ3尺グリッドにならい、高さは規格サッシと山の木に合わせた5寸勾配の屋根の家である、だが、これまで手がけた家は50軒以上になるが建て主の顔と同様、同じ家は1つとない。この3軒とも同じ材料、同じ寸法でできているが家の表情は内外とも微妙に違っている。これはグリッドを踏襲する真壁の家の木の構成によるのだろうか。一度ご覧いただければと思う。 エコサイクル住宅研究会の人たちも同じ様なこと感じて次は工房と木を通して協働できればと帰っていった。 |
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2月27日(木)先負 那須の製材所に行ってきた。 工房は設計・施工が基本であるがときどき設計だけを頼まれることもある。いま、工房で葉枯らし材の提供を受けている黒羽町森林組合にほど近い役場の課長さんの家を設計している。この建て主は30歳半ばから自宅を新築するために20年間コツコツと木を貯めてきた。去年の夏にそれを見に行った。銘木屋が負けるほど希少な材木が自宅の納屋に所狭しと保管されていた。中でも圧巻なのは直径2mを超える厚さ12cm程の杉の輪切り丸太であった。これにはビックリしたが、どうしてこんなトンデモナイ木を伐ってしまったのだろうか。しめ飾りでもあっただろうに。 大工はその家の刻みに入っている。そのバカでかい輪切り丸太を2階梁にボルトで取り付けて天井に使うと大工が言ってきた。あわてて大工のところに行った。 図面にはそんなことは書いてないのになぁー。 ![]() ▲栃木県北の那須・黒羽地方は このような美しい真壁の納屋や 板倉が数多く残っている。 その大工との打ち合せを兼ねて那須の製材所(有)M林業 に行ってきた。結構、今にしては元気な製材所だった。めずらしく工場では20代の若者が働いていた。山も職人に劣らず老齢化がはなはだしいが後継ぎの都会的で明るい専務の元に若い人たちが集まっている。 |
![]() この(有)M林業は葉枯らしの杉板を専門に挽いている。工房とは初めての取引なので見学に行ってみた。これまで板材は地元のE製材所で桟積み自然乾燥をしたものだったが今回は時間的に間に合わず人工乾燥になってしまうので断った。 エコロジーと言いながら木を使いその木を化石エネルギーで人工乾燥する愚行は個人的にはためらいがある。しかし、趨勢は性能保証の法制化のため人工乾燥に向かっている。 そんなわけで葉枯らし材を扱う(有)M林業にした。しかし、ここでも人工低温乾燥をするらしい。その原因は歩留まりを考えて板巾を5寸から6寸にしたためである。1寸ほど巾を広げたので葉枯らし材でも大きな反りが出やすくその影響を受けぬように考えてくれたのだろう。 ![]() |
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2月18日(火)赤口 引戸 その1 右は我が家の中ノ間から広い濡縁を通して庭を見た写真である。この家は末っ子娘と同齢で16年ほど経ち、兄弟大工が初めて伝統的真壁工法に挑戦した家である。 このように写真を撮るとまるで京都の高級旅館俵屋のようでマンザラ我が家も捨てたものでないと思う、だろうが、ご多分にもれず庭は洗濯モノが堂々と干してある。濡縁で和菓子と抹茶でイップクなどと言えぬ庭である。伸びたゴムのパンツなんか見てもちっとも感動シナイ。 |
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この我が家はローコストと大工の勉強のために構造が単純でシンプルな間取りになっている。中ノ間というと次ノ間、奥ノ間などと奥ゆかしい大邸宅を思い浮かべるだろうが、ただ単に東西に細長いウナギの寝床である。東から西へ台所、食堂、中ノ間の和室8帖、奥の和室6帖がつながり、濡縁を通して南の庭に開いている。 その開口は外から雨戸としてのガラリ戸、網戸、ガラス戸、紙貼り障子が左右に引分けられるようになっている。引分け戸は引き違い戸のように開口部が半分だけでなく全部開いてしまうものである。 この建具を微妙に位置させて洗濯モノが見えぬようにデジカメで撮った、この美しい絵?は引戸の賜物である。 例えばこれが両開きのドアであればどうだろうか。180度に開けば例の洗濯モノが見えてしまうし90度に開けば邪魔である。まして、庭の見え方が限定される。この点、引戸は空間の連続性が失われず、隠れて見えない庭に何がしかの期待が持てる。このように引き戸は日本の住まいを豊かにしてくれる。 そんな事を言っても洗濯干し場をどこにするのかいつも悩んでいる。 |
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![]() ▲柱頭部の変位 2月2日(日)友引 差鴨居簡易ラーメンの実験 ![]() ▲実験全景 ![]() ▲工房のオリジナル金物「鬼に金棒」と 協働してネバリを発揮する国産杉柱 |
先日、工房がかねてから提案していた差鴨居簡易ラーメンの実験を小山市 の関東能開大で行なった。
壁が少ない南側の窓やサッシの開口部に必ず太い鴨居や窓台(敷居)を取り付けることにより壁が無くても丈夫になる方法である。これは発想の転換で壁が無く開口部が多いほど強くなると言うわけである。 今の家は阪神大震災が起こってから、特に壁を重んじ、建築基準法も改正された。要するに地震に耐えるためには壁をたくさん設けなさいということだ。これは壁でできている2×4工法の家の評価が高まっている? 必ず壁を設けなくてならない2×4工法は間取りが閉鎖的になりやすい工法だ。また町の狭い敷地によるプライバシーの確保とエアコンの省エネのための高気密仕様がさらに閉鎖的な住まいにしている。これは個を重視する今の生活スタイルにマッチするのだろう。 しかし、工房の「木の家」はそれに反し、融通自在の開放できる家をつくっている。風が通り抜け、昼寝ができる家を理想としている。人工的空調の不快さを感じている人は多いはず。そんな人たちが工房の建て主になっている。 |
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![]() こんな開口が2×4工法では可能だろうか。 |
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1月23日(木)友引 セルフビルド その2 ![]() ▲T氏からの手紙 |
昨日、ホームページを更新したとたんに、インターネットはまだやってないはずの八王子の高橋さんから早速手紙が来た。これは本気らしい。娘さんが来春入学するので少しアセリもあるのか、おっとり刀の私が悪かったのか。 正月明けに渡した私のプランに勝る、スンゴイおーきなプランが送られて来た。ウーム、ドーム8年の自信からか。 来月からFAXを設置するとのこと。かなりエコロジカルな生活を望んでいる様子。エコロジーに徹する、これはお金がかからない生活。これ本当。よーし、ガンバロウ。 とは言うものの、この大きさはかなりの負担であろう。今回は、やはり、基礎と骨組みと屋根は工房に任せてもらおう。命がけで家づくりはやらなくてもいいんだと思う。もっと、軽くね。 |
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1月22日(水)先勝 セルフビルド その1 ![]() ▲塩山のドーム |
この頃、工房にセルフビルドの問い合せが結構多い。実行中2件。計画中3件。断念もしくは返り咲き可能8件。 お正月が明けた6日に、自宅を工房のシステムを使い、セルフビルドを志す八王子の高橋夫妻が訪れた。私は昨年の夏、山梨の塩山にある、高橋さんの敷地とそこに建つセルフビルドのドームを見に行った。失礼であったが、忙しさのあまりそのままになっていた。 高橋さんの家族は体育の先生をしているご主人とインストラクターをしている奥さん、それに来年小学生になる娘さんの3人家族である。 そのドームは8帖ほどの広さで高橋夫妻が8年がかりで建てたものだった。これは知る人ぞ知る、かの有名なJ ・バックミンスター.・フラーのドームである。ドームは同じ三角形の組み合わせできていて素人でも簡単に組み立てられるようになっている。このセルフビルドに8年かかったそうだ。私は情熱が失せないのは2年が限度と考えていた。それにメゲナイ高橋夫妻はエライ、と思った。 セルフビルドは職人と同じで「ケガと弁当は自分持ち」の心構えを忘れず、巷のお金と連動するサービス過剰に慣れてしまった人は無理かもしれない。 |
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12月28日(土)大安 コーヒーは趣味のない私を助長する。 ここ、北関東の両毛地域はギャンブルのメッカである。伊勢崎オート、桐生ボート、近々廃止の足利競馬がある。国定忠治が生まれたところ、と言えばこれは納得。だけど無趣味の私は一度も行ったことがない、と言えばウソになる。そう言えば桐生ボートに建具屋のセガレのデビュー戦を見に行ったっけ。ビデオに撮ってあげようと喜び勇んで行ったら係員にカメラを没収。それよりもセガレのボートには驚いた。コーナーでセガレのボートは先輩ボートの頭上を飛んで行った。 |
![]() ▲コーヒー店「モカ」の店内 焙煎職人のモダンな親父さんはこのZライトの 下でいつもハンドピックをしている。 |
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そんなわけで今はどうかと言えばこれまた何もない。これは趣味にはなるのかどうか、コーヒーは長年飲んでいる。町の文化程度はコーヒー屋の数で決まる?足利にもわずかだがある。いつも私はJR足利駅から北に徒歩5分、露地角の5坪程の小さなコーヒー屋に行っている。焙煎職人の親父さんと二人のハンサムな息子さんでやっている。 特にここの逸品は水出しコーヒーとオールドファッションであろう。さっぱり味の水出しコーヒーはミルク、シロップ付きで1リットル1000円。これはお買い得。アイスコーヒーは当たり前だが、不精モノの私は沸かして飲んでいる。ありがたいことにこれは冬でも落としてくれる。またオールドファションは不思議な味でカカオ仕立てのコーヒーだ。これは少しアルコールが入っているのか弱い私はハイになる。足利に来たならぜひともこれは飲んでほしい。 毎月15日は丸山に聞いたと言わなくても豆を注文すれば20%の豆増量券がもらえます。 |
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12月21日(土)仏滅 ハローワークの求人調査員が来た。 ![]() ▲津端邸の敷地 ここは愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンの約300坪(2区画)の分譲住宅地である。西に敷地から約2メートル程低い道路を隔てて小学校の校庭が広がり、北の道路から敷地に上がる。津端氏が若いころ勤めたレーモンド事務所の丸太トラス小屋をコピーした母屋が西向きに位置している。その前にナラ、エノキ、エゴ、ヤマモモなどの雑木林をつくり、夏の涼しい木陰と冬に奥深く暖かい陽差しを取り入れるようになっている。東の隣家を背にゲストルームを兼ねる倉と作業小屋がある。それらと西と南の境界に植えたウメ、ブドウ、スモモ、イチジク、ビワ等の果樹が囲むように約6尺角正方の21区画にうねった菜園、食べる庭がある。この家庭菜園で年間120種類の野菜や果実が収穫できる。実に豊かだった。 津端氏の著書はミネルヴァ書房(рO75−581−0296) はる書房(рO3−293−8549)で発行している。 |
昨日、工房にハローワークの人が来た。商工会議所の会員事業所に求人の調査に回っているのだそうだ。現在の景況を反映してかどこもかしこも浮かぬ顔をしていると調査員は言う。何ごとも満腹になれてしまった私達はこのスローダウンに必要以上に反応しているのだろうか。今日はこの景況感を表わすかのように冷たいみぞれが降っていた。 2年ほど前、名古屋の前広島大学教授の津端修一氏のお宅に友人と伺ったことがある。津端氏はクラインガルテン(市民農園)の実践者でこれからのスローライフを予測していたひとりだ。私は今は亡き母から日本の戦中戦後の食糧難の話を聞かされていた。しかし、ドイツでは家庭菜園を持つ市民が多かったので食料に困らなかったことを知った。そのクラインガルテンに興味をもった私は津端氏の生活ぶりを見に行くことにした。 今、その津端氏から頂いた手紙を思い出した。その手紙は工房も<第3のイタリヤ>のスモールファミリービジネスに学ぶべしとのことだった。 イタリヤ北東部に、ここ両毛地域のような小さな企業が集まっているところがある。その小企業家たちはこれまでのモノづくり社会の一斉に働くシステムと,そのリズムに連動する消費と価値観を嫌った人たちだった。その小企業は大企業と関係なく自立的、伝統的在来産業の最終消費財を家族や親戚友人でつくっている。その地区で部門別に特化した企業が共同化し、産地になり、、消費者と直接結びついている。これは有名デザイナーや中央のプランナーによって成り立っているのではなく起業家精神旺盛で厳しい競争で磨きぬかれた職人達だそうだ。この経営者たちは雇われていたときよりも忙しく、責任も重くなるが、仕事も軌道に乗り 家族で夏休みがゆっくりと過ごせたり、別荘に友人を招いたり、時間的、経済的に恵まれてくると、それ以上に商売を拡大したがらない企業家、生活者たちである。これをスモールファミリービジネスというそうだ。 津端氏は「大企業の経営が停滞する中で活力を維持し続ける<第3のイタリヤ>の中小企業経営が従来の大量生産体制に代わる新しい経済発展のモデルとしてその選択と生き方、環境を見直すことは今の住宅産業の中の地場の工務店、大工に示唆するところ大である。「信じられるのは自分自身と家族だけ」と誇り高い<第3のイタリヤ>のスモールファミリービジネスのスタイルは実に颯爽としているのです。」と手紙に書いている。 |
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12月9日(月)仏滅 熊本の玉名へ行って来た。 |
今日は朝から雪が降っている。 先週、熊本の玉名に行ってきたがやはり北関東よりもぬるい気がした。気質も町も北関東のガサツさはなく穏やかであった。 工房が送った住宅部品の組立現場を見てきたわけだが、50歳になった永井氏の案内で玉名山中の寺院に行った。これは永井氏が30歳代初期に設計されたもので今でも他の施設の設計が続いている。諸々の建物はローコストながら永井氏の各年代の作風の変化がおもしろかった。それらはいずれも永井氏の誠実さと端正さがでていた。 |
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▲寺院入り口にある十字形の割れめの石 | ▲生命山シュバイツァー寺カトリック別院本堂 |
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11月28日(木)先負 部品は飛んでいく。 ![]() ▲壁パネルの落とし込み |
きのう福岡行きのビジネスパックが予約ができた。何故こんなに安いのだろう。2泊3日、ホテル航空機代込みで25、500円。中古のエアバスなのか、ホラーホテルなのか、ローコストを望みながら心配になってくる。ローコストは怖〜い。(この辺は娘のメールのパクリ。) 工房では設計と施工だけでなく工房のシステムに則った柱、梁のプレカット材やパネルも売っている。これは工房で造る住宅が部品化されているから可能なのだ。部品とは予め工場加工して現場で組立てるモノだ。システム、部品というと機械をイメージするのか人間性の喪失を懸念する人もいる、本当かなぁ。システムにのる部品で多様性を求める、これは工房の永遠のテーマである。 そんなわけで来週は九州、熊本に工房の部品とともに私も飛んで行く。身土不二?に反するけれど工房の家が熊本に建つのである。職人はすべて現地の人、私は現場を見に行くだけだ。 ところで自然のシステムは多様じゃないか。くどいなぁ。 |
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11月27日(水) 友引 モノクロームの夢 ![]() ▲T婦人の作品 |
![]() 昨日、来春から那須で工事が始まる千葉の建て主である竹原夫人から個展の案内が届く。銀座のギャラリーKで来月2日から14日まで開かれる。これまでの設計打ち合わせで家庭婦人である竹原さんの話から 趣味を超えた創作活動には驚いていた。まだ直接その作品は見てないので来夏の竣工時に拝見できることを楽しみにしていた。それを待たずに見られることはこれから始まる住まいづくりの参考になる。 主題はモノクローム。竹原夫人のほかに数名の作家が出展する。このパンフに千葉成夫氏はモノクロームには二つの夢があると言っている。それは現実の作品から逃れて「モノ」になってしまうこと、もう一つは限りなく「精神」に近いものになること。これは物質の凝固と昇華と言っていいのかも知れない。そして見る人の時間と空間により、瞬時に反転してしまうものだろう。ノイズが多い現実から限りなく遠ざかり、無限の世界へ行く。モノクローム、 それは無機的ではない、多分、有機的で 豊かな色が充満する世界なのだろう。 |
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11月17日(日) 仏滅 コーヒー店Shozo ![]() ▲那須の現場 |
午後は千葉の竹原夫妻が那須の帰りに定年後に住まわれる 家の打ち合わせに立ち寄った。その敷地は那須の林の中にあるが立ち木をあまり切らずに計画した。しかし、その近くに住む竹原夫妻の知り合いからアブラムシの被害を聞き、木を伐ることになった。私はなるべく残してほしいことを伝えた。そのために竹原夫妻は残す木に目印をつけてきたのだった。 竹原夫妻は那須に新たなShozoの店を見つけて きたことを話す。私は黒磯のShozoは行ったことがあるがなかなかのデザインであった。ローコストで素人による手づくりのカフェである。2階の窓越しから運河でも見えれば最高である。とくに紙切れのレシートが気に入った。住宅もShozoくらいにラフに造ればコストも下がるのだろう。自分たち設計者はどうしても揃えたがる人種で縦のものは縦、横のものは横にキチンと揃えてしまう。 機械のワザや職人芸を見慣れてしまった現代人はShozoの心地よいラフさ加減が新鮮なのだろう。それとも消費のサイクルにハメラレタ商品の氾濫に嫌気がさしたのか。 Shozoのデザイナーはそのオーナーと聞いている、只者ではない。 |
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11月16日(土) 先負 小山市の能開大にセミナーに行く。 シックハウス症候群 |
まる1日、小山市の関東能開大で在来木造の構造セミナーを受ける。微に入り細にわたる耐力壁の評価方法を学んだ。まるで2×4工法のようだった。いずれにしても層間変形角120分の1で決まる。木のねばりを利用する構法であればもっと許してもいいのではと思った。 夕方は太田市のY夫妻が打ち合わせに工房を訪れる。Y婦人は長年、農薬や殺虫剤の化学薬品過敏症に悩まされている。突然のめまいや呼吸困難、失心をおこし救急車で何度も病院に運ばれた。しかし、どこも悪いところは見つからなかった。いろいろ医者を変えてやっと化学薬品が原因であることがわかった。今はまだ化学薬品過敏症の専門医は皆無に等しい。シックハウスの話は聞いていたが工房はこういう建て主は初めてだ。Y夫妻によると身近に結構この症状に悩む人は多いそうだ。この症状を緩和させるには毒消しの点滴とビタミンCを多くとるのだそうだ。 工房は20年来、純然たる「木の家」を造ってきた。当時は新築のビニールクロスの家は目がチカチカとすると言っていた。たいていの人はそういうものだと思っていた。工房ではその新建材の毒性はわかっていたが工房が造る「木の家」は目がチカチカしない毒の出ない家ですよ、と営業はしてこなかった。ユーザーを脅迫しながら仕事を受けることにためらいを感じたからだ。 この数年は工房に健康と環境を考える建て主が訪ねることが多くなった。現在の環境と健康を考える意識の高まりがブームでなく定着してくれればいいのだが。 自画自賛ではあるが、当時は工房で造るオール無垢の「木の家」はめずらしかった。今では工房で造った「木の家」の建て主さんに自分の家は最先端の家だったんだね、とよく言われる。 ただ、環境を考えて自然素材を使えばいいかといえば一概には言い切れない。例えば環境材料で人気の珪藻土の微粉末や断熱材のセルロースファイバーに含まれる難燃処理剤など、これらはどうなのだろうか。 |
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11月5日(火)仏滅 「とちぎの木で家をつくる会」県下一斉見学会開催 |
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▲長竹邸 食堂 | ||
今週の8,9,10日の金、土、日に工房が手がけた住宅見学会を行います。これは「とちぎの木で家をつくる会」会員の県下一斉見学会に参加するものです。工房では3件程見ていただきます。 見学地 8日(金) 石井邸 足利市堀込町1002 (掘里ニュータウン内) 9日(土) 中野邸 足利市八幡1丁目19 (県道足利小泉線元宝船西裏) 10日(日) 長竹邸 足利市名草下町4331 (足利飛駒線松島GS西へ入る) 見学時間は午後1時から4時までです。 この物件に限らず工房で造る「木の家」はすべて国産の無垢の木で出来ています。 時間が取れるようでしたらぜひお越しください。わからないことがありましたら丸山まで遠慮なくお問い合わせください。お待ちしています。 |
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11月3日(日)先勝 真剣に設計しよう。 |
この2年程は30歳代の建築主が多くなっている。午後、桐生の平岩夫妻が子供と共に事務所を訪れた。平岩夫妻も30歳を出たばかりの若夫婦である。多分にもれずローコストであるが自分たちの生活を真剣に考えている。親との同居をどうするのかを話された。設計者としてその真剣さに応えねばとあらためて感ずる次第。 |
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11月1日(金)大安 組立て茶室釜開き |
午後は熊谷の藍造園さんに行った。工房のパネル・軸組工法で造った茶室の釜開きに招かれる。秀吉の組立茶室にならい設計の大島氏の頑張りの茶室になっている。しかし、工房のシステムを使った茶室なのだが欲が出てしまった藍さんの監修による本格的な茶室になった。極力、現場施工を減らしローコストプレファブ茶室をねらったが藍さんの創作意欲は納まりきれなかった。 |
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▲にじり口を見る | ▲計画には無かった待合から露地の眺め |
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