以下の文章は、沖縄のアーティスト“はる”さんがDJを担当していた、沖縄のコミュニティFMラジオ局「FMちゃんぷらー」の番組「はるラヂオ」に投稿し、採用された内容です(正しくは、さだまさし特集にあたり、3週に渡って投稿を依頼されたものです)。
当時「FMちゃんぷらー」はインターネットラジオを配信していましたので、受信できたというわけです。
オン・エア日は2004年2月8日でした。


○『線香花火』(さだまさし「帰去来」)

【第1週】 『線香花火』

最初にご紹介するのは、1976年11月25日にシングルレコードで発表したソロ・デビュー曲『線香花火』です。
発表当時、「なぜ11月なのに線香花火なのか?」との質問を受けたそうです。
さださんの事だから何か意図があるのかも知れない、という深読みをしたファン、あるいは音楽ライターの
質問だったようですが、さださんが言うには「作ったのは夏だった。発売までにはいろいろと時間がかかる」という
とても単純な理由だったというのが実情だそうです。また、季節に合わせて発売するために次の夏まで待つということも
さださんの「性(しょう)に合わない」との事でそのまま11月の発売になったということらしいです。

楽曲や歌詞を見てみますと、イントロのギターのアルペジオが夏の終りから秋の初めの透明感を感じさせます。
歌詞の内容もとても情緒豊かに恋人同士の気持ちを表現しています。特に凝った比喩表現もなくて分かりやすい内容ですね。
さださんの歌詞には比喩がたくさん使われます。これを理解できるか否かが、さだまさしにはまるか、遠ざけてしまうかの
ひとつの分岐点になっているような気もします。

さて、分かりやすい歌詞ではありますが、この歌詞には重要なレトリック(修辞法=表現技法)が使われています。
それは、歌詞の冒頭が
  ♪ ひとつ ふたつ みっつ 流れ星が落ちる 〜 (略)
  ♪ よっつ いつつ むっつ 流れ星が消える 〜 (略)

で始まり、歌詞の最後が
  ♪ 火玉がぽとりと落ちて ジュッ

と終わっていることです。

つまり「ひとつ ふたつ みっつ ・・・・・ ジュッ(十)」と一から始まって十で完結するという、
凝った構成がされているのです。ただしそれは、いかにもそういうふうに作りました、という事を感じさせずに
自然に歌詞の中に溶け込ませているところがすごいところです。
もちろん最後の「ジュッ」は火玉が落ちたときの音を表現したもので、「十」との掛けことばになっているわけです。

この構成にはさださんご自身も気に入っているようで、
「ひとつ ふたつ みっつ で始まって十(ジュッ)で終わるのは、さすがさだまさし」とコンサート・トークの中で
自画自賛していらっしゃいました。

さださんが書く歌詞にはこのようなレトリック、もっと分かりやすく言えば“言葉あそび”が時々ちりばめられています。
いろいろな曲を聴いていくうちに、自分で気がついたり、はるヂオの中で紹介されたりするのを耳にするかも知れません。
こんなところに注目してさださんの楽曲を聴いていくのも楽しみ方の一つではないでしょうか。

それではさだまさしさんのソロ・デビュー曲『線香花火』をアルバム『帰去来』から聴いて下さい。