2001年しし座流星群観望記


<<プロローグ>>
 今年のしし座流星群は大出現が期待できると知ったのは、夏頃のことだったと思う。毎月購読している雑誌『天文ガイド』誌上の記事でだったような気がする(この雑誌、中学校の頃から毎月欠かさず購入していて20数年が経った)。
 1966年の大出現を知識として知った頃から次回の1999年(しし座流星群は33年周期で大出現することがわかっている)を待ち遠しく思いながらもあっという間にその時はやってきてしまった(時の経つのは早い)。大騒ぎになったのは1998年で、マスコミや各種メディアがこぞって取り上げ期待感を煽ったように感じた。しかしながらこの年の出現については、一般に報道されているほどの大出現は日本では期待できないという信頼できる筋の予報もあって、個人的にはこちらを支持してというか、一種の賭けで、あまり熱くならなかった。その当日は自宅周辺では曇り空で、晴天は期待できない状況だったので早々と寝てしまったことを覚えている。実際はどうだったかというと、今年のような大出現はほとんど無く、雑誌などの記事によれば、確か例年通りの出現くらいだったような印象であった(ただし、ヨーロッパでは大出現を観測している)。かつて1972年に、ジャコビニ・ジンナー彗星に伴う流星雨が期待されたことがあったが、この時もマスコミが大騒ぎをしたようだが流星は不発に終わっている。余談だが、ユーミンの曲に「ジャコビニ流星の日」というのがあって、このような楽曲が出てくるくらい世間で話題になったということだろう。
 そして今年2001年、イギリスの新進気鋭の天文学者デビット・アッシャー博士の新しい理論による予測が発表され、しし座流星群の大出現が予報された。博士の予報が注目されたのは単に新しい理論であるだけでなく、その理論から導き出された予報が実現しているという実績を伴っているからである。流星群のピーク時間を予測することは特に難しいこととされてきたが、博士の予報は数分単位の誤差内に納まっているというのである。
 アッシャー博士の予報では、日本時間11月18日夜から19日未明にかけて、19日午前2時31分と19日午前3時19分にピークが訪れるとアナウンスされた。しかも、新月直後で月明かりはなく、天候さえよければ日本が観測に最適の場所に位置しているという。これ以上の条件は今後そうあるはずはなく、みすみす見過ごすわけにはいかず、どうやってこれを見るべきか思案した。

<<しし座流星群をどこで見るか>>
 これだけ条件が揃っている天文現象をどこで見るかというのは重要な問題である。日本国内どこでも見られるものの、普通の星空が満足に見えないような場所は遠慮したい。いきおい、町から外れて光害がなるべく無く、空が開けている場所を求めていくのだが、さてどこにするか。候補に挙げたのは、自宅から車で30分程の霧降高原と同じく車で1時間ほどのハンターマウンテンスキー場。どちらも何度も行ったことがある場所だが、念のため1週間前に下見に行った。
 ハンターマウンテンスキー場はスキーシーズンの晴天率が高いことで知られている。北側の視界が開けているのは分かっていたが、東から南にかけての視界が不確かだったので、確認に行った。唯一心配なのは、しし座流星群の1週間後に控えたスキー場オープンのため、夜間に人工雪を作る作業に伴う照明の点灯であった。
 霧降高原は東側が良く開けているが、その名が示す通り天候が心配される。また、1985年のハレー彗星回帰の際には多くの人出があったことが気にかかった。
 結局、当日の天候次第でどちらに行くかを決定することにした。

<<11月18日〜19日 しし座流星群極大日>>
 18日は朝から晴天。夜の流星乱舞が期待される。夕方、雲が広がり少し心配になる。夕食後何度か雲の様子・霧降高原方面・ハンターマウンテンスキー場方面の様子をうかがう。午後11時半頃ハンターマウンテンスキー場方面には雲がかかっている。霧降方面は晴れていることを確認し、霧降高原に行くことを決定。19日午前12時過ぎに自宅を出発、30分のドライブで現地着。すでに駐車場には多くの車があったが、都合の良い場所に駐車。すでに流星は盛んに流れている。ピーク時間への期待は募る。
 流星の写真を撮るつもりで機材などの準備をして行ったものの、盛んに流れる流星を見ていたら写真を撮るよりも一生に一度あるか無いかの機会なのだからこの目に焼き付けようという思いが強くなり、ただただ肉眼で流星を追った(写真を撮るには十分な条件が揃わなかったせいもある)。写真は「天文ガイド」誌上に掲載されるものを楽しみにしよう。ピーク時刻の前後には同時に2〜3個の流星が流れたり、地平線近くには複数個の流星が雨筋のように流れたりして、イラストなどに描かれているイメージ図と同じ感じで印象的だった。
 午前4時30分頃まで現地で観望して、午前5時ごろ帰宅。9時30分頃まで睡眠。19日は月曜日で本来は出勤するところだが、ここぞとばかり有給休暇をとっていたので1日のんびり流星雨の余韻に浸りながら過ごす。

<<エピローグ>>
 流星群は今までにも何度か観測(観望ではなく観測)したことがあるが、さすがに今回のしし座流星群はすごかった。国立天文台のアナウンスでは、日本において過去200年に観測されたうち、最大の出現であったとのことだった。当初国立天文台の情報では、せいぜい1時間に数十個とのアナウンスをしていたようだが、これは行き過ぎる報道や期待感にブレーキをかけておこうとの意図もあったのではないかと想像される。
 各地からの観測結果によれば、時間帯によって1時間に3000〜5000個が数えられたとのことである。単純計算で1秒に1個の流星が見られたとすれば、1時間で3600個になるわけで、それくらいは見ることができた夜であった。
 何とも言えない、素敵な数時間であった。

(2001/11/25 記す)