冬場の撮影で、かつ縮小画像で細かい所は分かりにくいのですが、画面全体の均質性とダークフイラメントのコントラストを中心に確認してください。
 ※周辺部の増光は、フイルターへの入射光が90度でなかったり、傾いたりすると中心波長がHα中心波長からシフトされるために彩層・光球面の光量が増すために起こります。 

 ※バーローレンズの倍率が2倍・3倍であっても、レンズとディテクター(CMOS)までの距離が長いために、テレビュー・パワーメイト(テレセントリック)以外は規定以上に拡大されています。
 ※画像で周辺部がぼけています。これはRegistaxで中央部分しかアライメントを指定していないためです。
   
 基準とする画像:KenkoSE120/1000 TeleVue powermate2.5x  基準とする画像:KenkoSE120/1000mm TeleVue powermate 4x
   
 Vixen 3x Barlow 周辺部に増光が見られるが、小型チップのカメラであれば気付かないと思われます。  Vixen 2x Barlow 倍率は2倍より高くなっています。全体的にフラットであるが、波長が短波長にシフトしているように思われます。デイスターフイルターの波長調整で調整することも可能であろう。
   
 Vixen 2x Short Barlow ロングタイプのバーローに比べ、高めの倍率になっています。しかし、合成Fは大きくなっているにもかかわらず、透過波長にムラが出ています。ドーナッツ状に中心波長になっているようですが、中心部と周辺部は中心波長からずれています。  Meade Telenegative x2  ショートタイプのバーローレンスであるために、ドーナッツ状の明暗が見られます。中心波長の調整が難しい。
   
 GSO 5x Barlow このレンズは、5倍という高倍率にもかかわらず、波長に適合するのは中心部のみです。合成F50を越えているが十分な視野はとれない。チップサイズの小さい、ASI120MMやDMK21なら問題なく使えます。  OPT 3x Barlow 左の台湾製のGSOのOEMでアメリカのデイーラーブランドOPTです。5倍のレンスほどではないが、周辺部の増光がある。チップの小さいカメラなら問題なく使えます。
   
 無名の2倍 バーローレンズ  フラットであるが全体的な短波長にシフトしているように思えます。  無名の2倍 ショートバローレンズ ショートバロー特有のドーナッツ状のムラになってしまう。
 右は参考画像
Vixen 90L/1300mm F14に2.5倍TeleVue Powermateを使いほぼ理想的な光学系で撮影した画像です。
左上のSE120Lでの撮影と比べると、こちらの方がHα中心波長にあっていることが分かることと思います。

 なお、この比較では最初にQuantumSE120に付けをPowermate x4で撮影し、各種バーローレンズで撮影した最後にPowermate x4で再度撮影し、シーイング以外、彩層の写り方で違いがないことを確認しました。つまり、撮影中のQuantumの精度が変わらないことを確認しています。
 
デイスター・フィルターのバーローレンズとのマッチング

 概要

 デイスターのフィルターは、リアマウントのエタロン・フイルターであり、フィルターへの入射光を理論的に平行光線にしないと、性能が発揮されません。また、発揮されないだけではなく均一の画像が得られないのです。そのために、デイスター社はF値を30以上の望遠鏡に使うか、合成Fを30以上に設定する必要があると述べています。
 下の図は、Daystar Quantumの解説書に記載してあるものです。この図は、同社のIONやCombo-Quarkフィルターにも共通しています。

 デイスター社では、バーローレンズとしてテレビュー社のパワーメントを薦めています。マニュアルの中にも、「各種バーローレンズをテストして、TeleVue Power-mateが最適である」と記しています。
 私が限られたバーローレンズを比較しても、結果は同じでした。パワーメイトシリーズは、5倍を除きテレセントリック系の設計です。5倍のパワーメイトは、今回テストしたGSOの5倍と設計が似ています。
 今回使用したバーローレンズは、最安値は3000円から最高値45000円まで15倍の価格差があります。カメラのディテクターサイズを考慮して選定すると良いです。

 ※テレセントリツク系のバローレンズを使って、撮影でなく眼視観察の場合、アイピースの視野が狭まったりアイリリーフが限られるので、覗きづらくなります。

 10種の各バーローレンズと撮影結果

 上の図は、半値幅0.5Åフィルターにおいて、F値と半値幅の変化を示したものです。グラフでも分かるように、F値を30以上にしないと、性能が発揮されないことを示しています。
 図は、半値幅0.5Åのフイルターに対しての関連図ですが、他の値のフイルターにおいても同様です。

検索エンジンから来た場合

 比較結果

 上の図は、F5〜F15の望遠鏡は、F8であれば、4倍のバーローレンズを、F10であれば3倍のバーローレンズを使い、合成Fを30以上にしてください、と示されたものです。

 比較の様子

 右の画像は、コンボ・クォークとクォークです。コンボ・クォーク使用時は、バーローレンズの選択が必要になります。
 コンボモデルは、バーローレンズが無いのに、価格が同じなのはおかしいと思う方もいらっしゃると思います。しかし、写真では分かりませんが、コンボの方はオリジナルよりブロッキングフィルターを大きな物を使っています。

 各バーローレンズのディスターフィルターへの相性は、ケンコーSE120L(口径120mm→110mm、焦点距離1000mm)にクァンタムPE0.5Å、カメラはZWO ASI174MM(チップの対角13.4mm)で撮影した。撮影動画をRegistaxで200/400frameスタック処理し、縮小画像にしました。