石になってもわが子を守る母の愛
小林地区の民話です。身重(みおもの)[おなかに赤ちゃんがいる]の妻(つま)があまりの空腹(くうふく)[おなかがすいている]のため、ヤマメを食べてしまい「ヤマメは神の魚で、ひとりじめすると山の神の怒り(いかり)を呼ぶ」ということを思い出し、うずくまっているうちに大きな石になってしまいました。
もどった夫(おっと)は石の上に赤んぼうがいるのに気がつきました。不思議(ふしぎ)なことに、赤んぼうはその石に乗せると静(しず)かに眠(ねむ)るので、この石が妻であることを知りました。その後、親子の姿を見たものはいませんでした。
ただ、その石の近くを通ると石の中から赤んぼうのなき声が聞こえたそうです。
石の上には、赤んぼうのあしあとが残り、生子石と呼ばれるようになって、今もこの小字名が残っています。