秘密の部屋


[Image] 大川 圭吾(オオカワ ケイゴ)

少 年 の 日 の 思 い 出

 私は小学校4、5生の頃、イジメられっ子でした。学校からの帰りなどに、一つか二つ年上の上級生に「ふざけっこ」と称したイジメを受け、パンチなどをくらった事もありました。ですから、その上級生に会うのがいつも怖くて、逃げる様に家まで帰ったものです。しかし、学校から家までの距離は約3kmと長く、時々「ふざけっこ」つまり今で言うプロレスごっこに名を借りたイジメに会っていました。
 こんな時ほど自分の無能さを感じた事はありませんでした。いつも頭の中では、その当時に放映されていた『少年探偵団』の明智小五郎や、少年探偵団の団長である小林少年に自分の姿を投影させていたのです。イジメられっ子である私の姿は、実は仮の姿であり、本当の姿は「弱きを助け強きをくじく」月光仮面である、との思いを駆せていました。
 また当時、一つ年上の女の子に淡い気持ちを抱いていました。今でこそ、小学校の5、6年生と言うのは、ただのガキに見えますが当時はとっても大人に見えたものです。私の気持ちの上では、その女の子が暴漢に襲われ助けを呼ぶと、正義の味方に変身した私がさっそうと登場し、その子を救うのです。名も告げず立ち去るけれど、いつしかその女の子には、私が変身して助けてくれた、と言う事がわかる・・・・・。
 あれから三十数年の月日が流れました。今でもかすかに変身の方法を覚えています。皆さんが仕事で突破できそうの無い壁に突き当たって、どうしようもなくなった時には、ぜひ私を呼んで下さい。すぐに解決してあげます。ただし、絶対に私の正体だけは口外しないことを約束して下されば。


君にだけ教えよう

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