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(♪馬頭琴の音色1)
スーホの白い馬
大塚ゆうぞう 作
赤羽すえきち 絵 |
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中国の北の方、モンゴルには広い草原が広がっています。そこにすむ人たちは昔から、ひつじや牛や馬などを飼って、くらしていました。
このモンゴルに、馬頭琴という楽器があります。楽器の一番上のところが馬の頭の形をしているので、馬頭琴というのです。
いったいどうして、こういう楽器ができたのでしょう?それには、こんな話があるのです。 |
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昔モンゴルの草原に、スーホという、まずしいひつじかいの少年がいました。
スーホは、年とったおばあさんと、2人きりでくらしていました・・・
スーホは、とても歌がうまく、ほかのひつじかいたちにたのまれて、よく歌を歌いました。スーホのうつくしい歌声は、草原をこえ、遠くまでひびいていくのでした。 |
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みんなが心配でたまらなくなったころ、スーホは何か白いものをだきかかえて帰ってきました。生まれたばかりの小さな白い馬でした。
スーホは、にこにこしながら、
「帰るとちゅうで、子馬を見つけたんだ。これが地面にたおれて、もがいていたんだよ。あたりを見ても、持ち主らしい人もいないし、おかあさん馬も見えない。ほうっておいたら夜になって、おおかみに食われてしまうかもしれない。それで、つれてきたんだよ。」 |
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あるばんのこと、ねむっていたスーホは、はっと目をさましました。けたたましい馬のなき声と、ひつじのさわぎが聞こえます・・・
白馬は、からだじゅう、あせびっしょりでした。ずいぶん長い間、おおかみとたたかっていたのでしょう。
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スーホは、あせまみれになった白馬の体をなでながら、兄弟に言うように話しかけました。
「よくやってくれたね、白馬。本当にありがとう。これから先、どんなときでも、ぼくは、おまえといっしょだよ。」
月日は、とぶようにすぎていきました。 |
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ある年の春、草原いったいに知らせがつたわってきました。これから開かれるけいばの大会で1等になった者は、とのさまのむすめとけっこんさせるというのでした。
なかまのひつじかいたちは、スーホにすすめました。
「ぜひ、白馬にのって、けいばに出てごらん。」 |
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(♪ファンファーレ)
けいばが、はじまりました。たくましい若者たちは、いっせいにかわのむちをふりました。
馬はとぶようにかけます。でも、先頭を走っていくのは、白馬です。スーホののった白馬です。 |
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とのさまは、スーホのまずしい身なりを見ると、しらんふりをして言いました。
「お前には、銀貨を3枚くれてやる。その白馬をここにおいて、さっさと帰れ!」
スーホは、かっとなってむちゅうで言いかえしました。
「わたしは、けいばに来たのです。馬を売りにきたのでは、ありません!」 |
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とのさまは、どなりたてました。
「何だと、ただのひつじかいが、このわしに、さからうのか。ものども、こいつをうちのめせ!」
スーホは、おおぜいになぐられ、けとばされて、気をうしなってしまいました。そして、友だちにたすけられて、やっとうちまで帰りました。 |
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すばらしい馬を手に入れたとのさまは、まったくいい気もちでした。
そこである日、おきゃくをたくさんよんで、さかもりを開き、みんなに見せてやることにしました。
とのさまがのろうとしたとき、白馬はおそろしいいきおいではねあがり、とのさまは地面にころげおちました。 |
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とのさまは、大声でどなりちらしました。
「早く、あいつを、つかまえろ!つかまらないなら、弓で、いころしてしまえ!」
・・・白馬にはとてもおいつけません・・・。矢は、うなりをたててとびました。白馬のせには、つぎつぎに、矢がささりました。それでも白馬は走りつづけました。 |
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そのばんのことです。もの音のようすを見に出ていったおばあさんが、さけび声を上げました。
「白馬だよ!うちの白馬だよ!」・・・
白馬は、ひどいきずをうけながら、走って、走って、走りつづけて、大好きなスーホのところへ帰ってきたのです・・・
「白馬、ぼくの白馬、しなないでおくれ!」 |
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次の日、白馬はしんでしまいました。
白馬は、ゆめの中でやさしくスーホに話しかけました。
「そんなに、かなしまないでください。それより、わたしのからだをつかって、楽器を作ってください。そうすれば、わたしはいつまでも、あなたのそばにいられますから。」 |
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楽器はできあがりました。これが、馬頭琴です。
スーホは、どこへ行くときも、馬頭琴をもっていきました。それをひくたびにスーホは、白馬をころされたくやしさや、白馬にのって草原をかけまわった楽しさを、思い出しました・・・
(♪馬頭琴の音色2) |
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やがて、スーホの作り出した馬頭琴は、広いモンゴルの草原中に、広まりました。
そして、ひつじかいたちは、夕方になると、より集まって、そのうつくしい音に耳をすませ、一日のつかれをわすれるのでした。
(H6、8、9、10、11、14、15年2月吉日) |