群馬県生産性本部 I T 化推進先進企業事例集
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  株式会社サンポウ

 
 ■所在地  群馬県沼田市屋形原町1407
 ■設立  昭和46年
 
 ■資本金  3,000万円
 ■従業員数  155名
 
URL http://www5.wind.ne.jp/sanpo


 
販促支援としての I T 化を目指す

  ■ダイナミックな事業の多角化が進む

 株式会社サンポウは、建築用石材の採掘・施工会社としてスタートし、ヨーロッパにおける「石の文化」を日本の風土に提案すべく、創業以来石一筋に歩んできた。
 一方、近年では業態の多角化がダイナミックに展開され、建築石材事業をはじめ、住宅事業、テーマパークなど観光事業やホテル事業とそれに伴うブライダル事業など、次々に新分野の事業を開拓し業績を伸ばしている。
 その業務形態からも、同社では顧客情報や市場情報など、営業展開を支援するための各種情報のデータ化を中心にIT化が進められている。


■風土づくりに『IT推進会議』がスタート

 まず同社が進めたIT化を追うと、ITという言葉が盛んに言われ始めた頃、2001年に立ち上げた『IT推進会議』がエポックとなっているようだ。
 当時、ITというよりもパソコンを使える人間自体が社内に少なく、同社ではまずパソコンを使える人間を養成することから始めるべくIT推進会議がスタートしたのだった。
 社員の多くはMicrosoft社の基本的なソフトウェアの使い方はもちろん、プリントアウトの方法もインターネットへ接続をすることもわからないという状況だった。
 「何もわからない人が全体の8割。
 実際の話ITなどと言っていられる状況ではなかった」と社内のIT化を中心的に担った同社専務は当時をふり返る。
 それに加えて特定の製造業等と異なり、IT化が即業績に反映したり、ネットワーク環境の整備や規格統一が取引の条件となったりという業態ではないことも、"パソコンなんか無くたって生きて行ける…"という気分が営業に携わる社員から一部の上層部にまで広がっていた。
 株式会社サンポウのIT化は、会社にあったそんな雰囲気を一掃することからスタートだった。


■株式会社サンポウのIT化第二段階とは

 こうしてほとんどの社員を対象に、まず必要最小限なパソコン講習が5回に分けて行われ、その結果パソコンを操作できる社員が増えてきた。
 そこで今までFAXで通信・連絡していた営業的な集計や契約などの書類を、Eメールで行うことを推進した。
 次はネットワーク化の推進にも手をつけ、各支店、店舗にはパソコンはもちろん導入済みだったが、端末は孤立していたため、回線の整備をしてネットワークで結び、各支店、店舗のネットワーク環境を整えた。
 こうして社をあげての初期段階のIT化が一定の結果を見たのは、IT推進会議が催されてから8か月程経過したころだった。
 株式会社サンポウにおけるIT化推進を概観すると、それに要したコスト的なデメリットは当然のことながら、社員がパソコンに向かう時間が多すぎるという弊害が起こるが、それも操作に慣れるに従って解消された。
 一方、社内の情報通信に関する意識が大きく変わり、上層部に対する情報伝達、稟議が飛躍的にスムーズに行われるようになり、小さな事でいえばFAXに要するコストや送付用書類づくり手間の軽減など、さまざまな収穫があった。
 さらに大きな可能性も開けてきた。
 それは社員が電子情報を扱えるようになったことで、「現在まで社内に蓄積された、多くの貴重な情報を、共有化するための、スタート地点に立てた」(同社専務)のである。
 それまで5つの事業部は個別で営業活動を行っており、必要に応じて情報のフィードバックを行っていたものの、情報の2次活用、3次活用というレベルには至っていなかった。
 ネットワーク化、社員のIT標準化により、今まで生かしきれなかった顧客情報をうまく整理して、事業部同士が共有化することが検討されている。


■Webサイトの営業ツール化は可能か

 情報の共有化と共に、株式会社サンポウにおけるIT化の第二段階としては、ネットによる販促支援である。
 同社のホームページは1996年頃に立ち上げたが、2002年に新事業部のサイトの立ち上げとリニューアルが行われ、さらに個別に展開されていたすべての事業部サイトも統合され、全体で200画面に迫る大きなサイトで、同社の営業支援ツールとして機能し始めている。
 金融機関等のサイトを除けば、民間としては県内でも有数のサイトとなっているが、中でも観光事業部『ロックハート城』のサイトは80画面にものぼり、アクセス数も10万件を超えるという。
 内製化とアウトソーシングをうまくマッチングさせた結果、ボリューム・質共に高いレベルを確保できたが、現状は観光誘客やホテル事業部の宿泊や婚礼の営業支援ツールとしても有効だという。
 インターネットでのビジネスはたいへん難しいと言われるが、他の事業部の商品へさらに可能性を広げるための真剣な検討が行われている。
 社員のIT標準化をスタートとして、営業支援としてのIT化という新しい局面が、同社でははっきりと輪郭を結び始めている。


 
システムフローの図