群馬県生産性本部 I T 化推進先進企業事例集
企業の一覧へ

  矢島工業株式会社

 
 ■所在地  群馬県太田市新野町944
 ■設立  昭和26年2月
 
 ■資本金  6,800万円
 ■従業員数  180名
 
URL http://www.syms.co.jp


 
消費者ニーズに直結した生産システム構築へ

  ■昭和26年、富士重工の協力工場として出発

 矢島工業株式会社は、昭和26年、富士重工業の協力会社として、スクーター部品の生産を受注したときにその歩みを開始した。
 以来富士重工を中心にプレス加工による自動車部品の生産などを主力とするが、最近では他メーカーからの引き合いも多い。
 また、平成7年からはモータースポーツの分野にも進出、「syms」のブランド名で、レガシー、インプレッサー、フォレスターをベースにしたエアロパーツなどの商品生産も手掛けている。


■ITとは付き合わざるを得ない

 「ITとは付き合わざると得ない。日常生活そのもの。例えば、メールは業務進行に大きな力になっている」と横山溥社長。
 最近、開発研究部を海外に設置した同社。
 グローバリズムの進展で、日本ローカルな考え方を超えて、例えば打合せ一つとっても世界の広がりの中でのやり取りということを意識せざるを得ないと指摘する。


■ITの利用は富士重工の
 オンライン受注に始まる


 同社のIT利用は、平成5年、やはり富士重工からのオンライン受注に始まる。
 受注データは同社営業部に入り、そこから生産現場に配信されるが、同社が富士重工に供給する製品は、月単位で種数1,000、総個数100万と膨大なものであり、現況、生産指図は、品番・納期・個数など記入された荷札による工程管理をしている。
 一方LANは先の富士重工とのオンライン化を契機に敷設済みで、生産管理システム構築を急いでいる現況にある。
 もちろん、個別のパソコンなどは活発な利用がなされている。
 「以前は紙の図面が送られてきましたが、今は技術的な情報も含めてデータ化しています。また、シュミレーションなどのデジタル技術も必要になってきていますから、その意味でもIT技術は、業務に不可欠です」と技術部の江原志彦部長。
 またネットワーク化で懸念される情報の漏洩について、同社は平成12年にJNX(Japanese automotive Network eXchange)に加入。
 JNXとは自動車メーカー、自動車部品メーカーなど自動車業界の関連企業を結ぶネットワークだが、ここがセキュリティを確保している。


■消費者ニーズに直結した生産システム

 こうしてネットワーク社会への準備を着実に進める同社だが、自動車業界は、「極端に言えば、消費者ニーズに直結した生産システムの構築」を求めつつあると横山社長は語る。
 それに伴って自動車メーカーのいわば内部工場としての対応も迫られてきつつあるという。
 そのためには、ネットワークの確立、効率的なシステムの構築、さらには、生産システムそのもののリスクマネジメントも従来になく厳しくなることが予想されるという。
 月間100万個もの部品を供給する同社にとって、メーカーとの緊密な連携を構築していくことは飛躍のチャンスでもあるが、同時に求められる精度は、従来の比ではなくなる。
 「とりあえず1部品か2部品くらい検討実施をしてみようと思っている。今は現場にパソコンを見て、指示を出すという形だが、そこから一歩踏み込んで、その端末から設備側に直接オンラインで結んで生産を行うことを計画中」と江原部長。
 システム開発に当たっては、同社技術部生産技術課が担当し、ソフトメーカーとも連携し、自前でやれる部分の明確化を図り、メンテナンスについては自社対応を前提にしたいという。
 内部工程化は、メーカー本体の生産システムに直結するため、システムダウンにも迅速な対応が迫られることは必至。
 また生産設備の保守点検、品質管理も従来以上に要求が高くなる。
 さらに緊急の場合の修理も自社で行えることを前提にしなければならなくなる。
 要するに同社生産システムの全体的なグレードを上げることが要請されることになる。
 「メーカーとの緊密な連携のもと、さらに高いノウハウの蓄積ができればと考えている。
 これは同時に昨今海外への生産現場の流出への一つの対応。こうした取組みを通して継続的な発展を望みたい」と横山社長は期待を寄せる。


  システムフローの図