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■社風を生かしてITも内製化で始まった 昭和22年3月創業、計数機の製造から始まった同社はその後自動車部品を手がけ、現在では鍛造から切削・研削・仕上げまでの一貫した生産体制を実現している。 昭和54年に冷間鍛造を開始、平成2年にはあずま工場を新設し、熱処理及び冷間鍛造用表面潤滑処理を始め、この時代にあって業績を大幅に伸ばしている。 主要な納入先は自動車部品メーカー大手で、業績を伸ばすには技術開発力は当然の事として、より実効性の高い生産管理、品質管理の達成がキーポイントとなることから、同社のIT化は、生産管理システムの構築から始まった。 『High Quality、Low Cost の実現』をスローガンに、独自の開発力を武器に業績伸長を果たした同社であればこそのIT化が推進された。 独自開発へのこだわりという精神風土が根づく社風は、生産管理システムもまた、安易にアウトソーシングすることなく自社開発によってスタートを切っている。 ■自社の工程を知り尽くした 社内スタッフが開発 内製化による生産管理システムの構築は1995年頃からスタートしたが、その方面に詳しい役員と事務系の社員とが、データベース・アプリケーションをベースに構築した。 ユーザーインターフェースや複雑な関数、アクション等はV.B.(Visual Basic)によるプログラミングを行って支援し、業務を熟知した社内スタッフの『手づくり』によって同社にジャスト・フィットしたシステムが模索された。 システム開発のスキルでは専門企業のエンジニアに及ばないものの、現実に見合った使いやすいシステムを造るには、まさに最良の選択だったと言えよう。 ■フレキシブルなITへの取り組み姿勢 さらに、同じく社内スタッフによって財務会計、給与計算などのシステムが開発され、その後数年の間にわたって役割を果たし続けた。 しかし、時代の変化がますます激しくなるという外部的な状況と、さらにコガックス株式会社の大きな業績の伸展という事情とが絡まり合い、生産管理・財務会計・給与計算という独自開発システムは、徐々に同社の現状とサイズが合わなくなってくる。 ただし、規模の拡大を実現してきた同社だからこそ、当然、世の中の激しい変化に対して鋭敏な感性が働いている。 システム開発に目を向ければ、独自システムの開発という手段が時代の変化に対して実効性を持ち続けられるのかという問いかけである。 社内開発とはいえそこに発生するコストは小さくなく、そればかりか、急激に変化する社会=取引先のニーズに対して速やかな対応をしようとすれば、常に終わりのない開発を強いられることを意味する。 そこで、昨年同社では財務会計、給与計算等をアプリケーションに切り替える決断を行った。 IT化の中枢を担う経営管理部では、「ドラスティックな時代の変化を考えれば、独自システムにこだわらない。 市販のソフトウェアで手当できることは、それを上手に活用していくことが最良の選択」と言い切る。 また、今後は生産管理システムの見直しはもちろん、資材・在庫管理、品質管理等のシステム化も目指しながら、実効性のあるIT化に取り組んでいく。 反面、例えば生産計画では一定ラインまではPC(パーソナルコンピュータ)によって計画化されるが、さらに細かな稼働計画などは各現場に一任、基幹システムとは一線を画している。 すべてをシステム化・一元化するのではなく、従来の方式が合理的な場合はそれでいい、というのが同社にとっての実効性ある現実的なIT化ということなのである。 ■将来に向けてのネットワーク活用を視野に さて、時代の目まぐるしい変化を象徴するネットワーク環境の伸展に対しても、コガックス株式会社は敏感に対応しようとしている。 CAD等データのやりとりや取引先とのネットワーク構築に止まらず、技術情報収集のためにもインターネット環境をより改善し、内製化によって立ち上げたホームページを、技術公開を始めオープンな方向性を追求しながら、新規取引先の獲得や資材調達など営業ツールとして機能するまで確立させていく方針だ。 さらに、会社の将来性を担う技術開発部隊を主軸とした製品開発力、製品提案力に力を注いでおり、その点でもネットワークの活用は重要なポイントと同社では考えている。 こうして、同社におけるIT化の取り組みを概観すると、今後のネットワーク社会を見据えながら、実効性のより高いIT化を上手に、しかも内製化という基本姿勢を貫きながら駆使する手腕が浮かび上がってくる。 この厳しい時代にあって、コガックス株式会社が大幅な業績拡大を実現した秘密は、このような企業風土の中に隠されているに違いない。 |
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