君の為に出来る事



ゾロがその日目が覚めた場所は甲板の上であった。


そうだ、昨日はあいつと…

サンジと夜中まで飲んでいたのだ。
しかし、一緒に酒を飲んでいた筈のサンジの姿は既に見えなかった。
大方朝食の用意か何かで先に起きているのだろう…

コックであるサンジを少し尊敬した。



…俺には無理だ

毎朝ほぼ同じ時刻に起床し、朝食を作るなんて

…俺には無理だ
何事もレディーファーストに考え、愛嬌を振りまく事など自分には到底出来る筈がない。
最も、サンジの場合はその行為には“もしかしたら”という下心が無いと確定は出来ないのだが

…俺には無理だ
日中、家政婦のようにこき使われる事も、ルフィ達年下組の世話焼き役も…
これはきっと気配りの利くサンジだからこその仕事なのだろうが。

…俺には無理だ

改めて自分には戦闘時の戦闘員と買物の荷物持ち位しか仕事がない事を痛感した。
周りが自分を“ごく潰し”と言うのも分かる…

分かってはいるのだが、だからと言って
サンジが普段しているような仕事を代わりに自分が出来る訳がないのも分かっている。





…考えていたらまた眠くなったので、もう一眠りすることにした。












サンジは夕飯の支度をしながら窓から甲板を眺めてみた。
そこにはいつもと同じ風景があった。
自分の想い人もいつもと何変わらずにそこに横たえている。

昨晩夢を見た。
ミホークと再会し、世界一になる夢を…
ゾロはその屍の上で確かに笑っていた。




その夢を見て、確かに不安になった自分がいた。
―ゾロが夢を叶えた後、自分達が一緒に居る事は有り得るのだろうか…―



もし離れ離れになるのだとしたら…





・・・あと何日こうやってアイツを見ていられるのだろう

確かに、敵船との戦闘の度にゾロの剣術が上達しているのは目に見えている。
そろそろ切りを付けるべきなのだろう。

自分は筋肉になりやすく、脂肪になりにくい食事を多くだすなど、
食事に気をつける事や身の回りの世話等しかしてやれないが、
それが今の自分に出来る限度である。



考えながらも料理をする手を進めているとキッチンのドアが開きナミが入って来た。

『サンジくん、一つお願いがあるんだけど…』




食事の用意が整い、集合をかけると真っ先にルフィが飛んできた。
「うおー!!肉肉!メシー!…ん?」

ルフィがある物を見てその動きを止め、サンジに尋ねてきた。
「何だ?誰かの誕生日か??」
そうさっきナミに頼まれたのだ。

『誕生ケーキを一ホール焼いてくれない?』
と。
誰かの誕生日なのかと尋ねたサンジにナミは返答した。
『ゾロよ』



よりによって、今日の主役はゾロである。
ルフィにその事を話し終えた頃にはメンバーの殆どは席についていた。
ただ一人、ゾロをおいて…

普段であれば席についていない者が居ようとも、ルフィは待ち切れず、サンジの目を
盗んで摘み食いを始めるのだが今日はそれがない。

さっき今日の主役はゾロだと話した為、彼は彼なりに気を使っているのだろう。
そんなルフィの努力を目のあたりにしたサンジは

「ちょっとアイツ連れて来ます」
とナミに告げキッチンを後にした。



甲板に出るといつもと同じ様にゾロはそこに居た。

たまには優しく起こしてやろうという考えが頭の中をかすめて行ったが、
普段と何変わらずその緑色の頭を蹴り上げた。


「おら、飯だぜ!」




キッチンに戻っても尚ゾロの機嫌は悪かった。
来る途中で
『テメェはもっと違う起こし方は出来ねぇのか!?』
さっき今日の主役はゾロだと話した為、彼は彼なりに気を使っているのだろう。
そんなルフィの努力を目のあたりにしたサンジは
「ちょっとアイツ連れて来ます」
とナミに告げキッチンを後にした。

甲板に出るといつもと同じ様にゾロはそこに居た。
たまには優しく起こしてやろうという考えが頭の中をかすめて行ったが、普段と何変わらずその緑色の頭を蹴り上げた。
「おら、飯だぜ!」

キッチンに戻っても尚ゾロの機嫌は悪かった。
来る途中で
『テメェはもっと違う起こし方は出来ねぇのか!?』
等と文句や不平を言われた。

恐らくその起こし方の所為で機嫌が悪いのだろう。


食事の全てが終わり、クルー各々がゾロに一言ずつ声を掛け部屋に戻って行く。
ゾロはと言えば、サンジが後片付けをしているのを手伝う訳でも無く、ただ見つめている。

片付けが終わり、ワインを持ってゾロの席の向かいに座ったサンジは
、尚も黙り続けるゾロ相手にどう祝いの言葉を切り出せば良いのか分からずに焦っていた。


しかし、そんな沈黙に終止符を打ったのは意外にもゾロだった。


「おい…」
「な、何だよ!」


挙動不振にも程がある。
よく見れば微動ではあるが、緊張で肩が震えている。
そんなサンジの様子に口元を弛ませながらゾロが続ける。

「今日のあれ、有難うな。自分じゃ誕生日なんて一々覚えてねぇから‥その、嬉しかった‥」
言い終えると、恥ずかしかったのか俯いてしまったゾロを

“コイツらしいな”

と思いながら続きの言葉を待つ。

「俺は…お前みたいに毎日食事を創るのも、ナミ相手にへろへろデレデレすんのも、家政婦も
子守も出来ねぇし、お前の誕生日が来ても俺はこうやってケーキを焼いたりもできねぇ!」


「・・・・! (へろへろデレデレは余計だろ‥)」


等と思いながらも内心嬉しくて仕方ないのは言うまでもない。
何を言っているのか良く分からない片言の言葉ではあるが、ゾロがサンジに対する
感謝を述べたがっているのは感覚的に分かる。
そんなゾロに感化され、今まで喉にせき止められていた言葉が自然と口を割った。

「ゾロ、あの。誕生日おめでとう。お前が生まれて来てくれて本当に嬉しいよ。
俺、今じゃもう、お前が居ない生活なんて考えられないよ。」


本当に有難う。






サンジからのその言葉を聞き、ゾロはそっと目を閉じる。








サンジ・・・



お前の居ない生活なんて

















…俺には到底無理だ






END





はい。またまたやってしまいました、甘々。
実際これは多分、1時間位です。
なかなか時間が取れなかったので、通勤時間に書いていた物です。
今は便利に世の中ですね・・・ほら、携帯電話・・・
ヒナタはあまり(というか殆ど)携帯でメールをしない人なので、入力に苦戦!!
頑張りました。色んな意味で・・・

久しぶりの甘々だったので、とても楽しかったです。(最近ダークが多かったので)
しかし、ゾロ誕生日っぽくない・・・
どちらかと言えばサンジの誕生日??
疑問が残りますが、まぁ良しとしましょう(良いのかそれで・・・)
DLFとしてSSを書くのは初めてなのでとてもドキドキですが、何方か是非持っていってやって下さい。
持ちかえって貰うためのDLFですので。
「私はサイト持っていないけど読んだわ」って方も是非BBSなどに感想書いてやって下さい。

企画はおそらく、終了までにもう一枚位イラストが増えると思われます・・・
いつになるか分かりませんが、お時間がある時にでもまた覗いて頂けたら光栄です。

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