ロバートソン委員会


 1950年頃、CIAもUFOに関心を持っていた。ソ連がUFO情報を都合よく使う事によって、米国内に混乱をもたらす可能性が考えられた。またUFOが飛んでいると、のほほんと見ていたら実はソ連のスパイ機であった、などという事もあるかもしれない。これらによりCIAは科学者によるUFO研究委員会を組織し、独自の立場から研究を開始した。
 1952年12月にできた、この委員会は物理学者のH・P・ロバートソン博士を議長とし、当時の天文学、電磁気学、ロケット工学等のエキスパートが集められた。研究対象には目撃証言、記録がはっきりしている数十例について検討された。その結果は



未確認飛行物体(UFO)からは、何ら国家の安全に物理的な影響はなかった。また敵対行動する兆候もなかった。


これらの物体、現象に労力を割く事は本来の国防に支障をきたす事になりかねない。


上記の危険性に対処する手段として、
a.未確認飛行物体(現象)から謎めいた雰囲気を払拭するよう、啓蒙を計る。
b.国防を担当するする各機関は、本物の敵対行動を判断できるように訓練、教育などのプログラムを確立する。

との報告書を出した。
 この委員会の報告は非常に理性的で合理的な結論であったが、長らくCIAが関与していた事を隠していたため、それが明るみに出た時「CIAは国民がUFOの事をばかにするよう教育するつもりである」という趣旨にすり替えられてしまった。また、文中では未確認飛行物体(原文では”UFO”)という単語が使われてい為、「CIAは公式にUFOを認めている」とも言われるようになってしまった。本来は冷戦の最中に科学者が出した真面目な報告だったのだが。

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