ナチスが造ったUFOが火星探検をしていた?

 1994年10月11日に日本テレビ放送「矢追純一UFO特集 ナチスがUFOを造っていた!」の中で驚くべき事件の紹介があった。第二次大戦中のドイツは高度な科学技術を持っており当時、飛行可能なUFO(円盤型航空機)を製造していた。その中でも「ハウニブー3」は全長71m、最大速度7000Km/hで惑星間航行できたという。1945年4月20日、ハウニブー3は日独の科学者を乗せて火星に人類のルーツを探しに飛び立った。翌年7月、火星に到着した一行は人面像付近を調査したと地球に通信してきたというのだ。確かに当時のドイツは世界に先駆けてジェットエンジンやロケットを実用化し、戦闘機や大陸間弾道弾V−2号などを運用している。人類は本当に火星まで行ったのだろうか。

 真相

 この事件は番組の中で「ドクターキング(仮名)」と呼ばれる人の証言だけでその他の証拠が一切無い。もし本当だとしてもこんな事が可能なのか?地球の重力を振り切るには11.2Km/s(第二宇宙速度)が必要だがハウニブー3は時速7000Km=1.94Km/sしかない。東方向に打ち上げれば地球の自転速度分、稼げるがそれでも足りないようだ。また火星に着いたのは翌年だが、この時ドイツはすでに降伏している。通信を受け取ったのは連合軍だった事になるが、そんな資料も出てこない。どうやら「UFO+ナチス+人面岩」を組み合わせた「ネタ」だったようだ。
 では、だれがこの「ネタ」を作ったのだろうか?放送とほぼ同時に発行された本「ナチスがUFOを造っていた」の中で、別のドイツ人証言者に「ミステル・ヤオイ」と呼びかけられているシーンがある。英語なら「ミスター」、ドイツ語は「ヘル」、フランス語は「ムッシュ」となるが「ミステル」とは何語なのか?実は事前に「台本」が渡してあり、「Mister Yaoi(ミスターヤオイ)」と話すのをドイツ読みで「ミステル」と読んでしまったのではないだろうか。台本があったとすると、事件も日本テレビ側が「作った」可能性もある。

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